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日本の出生率は世界と比べて低いのか?(その2)

日本の人口減少の主要因は「少子化」と言われています。

前回、日本の出生率は世界の中でも低いことを説明しました。ただ、日本と同程度の出生率の国は多く、日本だけが少子化なのではありません。
今回は日本の出生率を踏まえて、どのような戦略を採っていくかについて考えてみようと思います。

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日本の出生率は1.3人なので先進国の中でも低い部類に入ります。

先進国には出生率が日本よりも高い国はあります。例えば、フランスです。

先進国の中で少子化対策を頑張っているフランスの出生率は1.83人です。高くはありません。
先進国がいくら出生率を高めようと頑張ってもフランスが上限と考えた方がいいでしょう。
つまり、日本政府がどれだけ少子化対策を頑張っても、出生率が2を上回ることは期待できません。

日本政府は少子化対策を何もしていないわけではありません。例えば、少子化対策に繋がる子育て支援策として様々な施策を採用しています。

最近の子育て支援策では、児童手当の支給対象を18歳(高校生)までに延長し、所得制限を撤廃、第3子加算を行うように変更しました。
育休取得については育休時の手取りが維持できるための制度を作りました。出産費用については保険適用に変更し、保育所利用要件の緩和、住宅ローン金利の優遇などを変更しています。

このように、日本政府が少子化対策をしています。子供を出産し、育てやすい環境を作ろうとしていることから、出生率が少しは上向くでしょう。
ただ、出生率が2を上回ることはありません。断言できます。
つまり、日本では人口が自然に増えることはありません。

――自然増に頼らずに人口を増やすにはどうすればいいか?

私が考える答えは移民です。

例えば、G7の中でカナダは特殊な人口政策を採用しています。
カナダの出生率は1.43人(168位)で高くはありません。しかし、カナダは外国からの移民を大量に受け入れることによって人口を増加させています。
つまり、カナダの人口増の原因は移民です。

カナダの人口は3,800万人。その国民の4人に1人が移民です。
カナダ政府は今後も年間50万人の移民受け入れを表明しています。だから、移民によってカナダの人口は増えていく見通しです。

先進国では自国の出生率を高めようと努力しても人口増加は望めません。
出生率の低い先進諸国は、他の発展途上国から人を奪ってくるしか人口を増やす方法がないのです。
今後、移民戦略を採用する国(先進国だけではなく)は増えてくるのではないかと思います。

日本が人口を増やす戦略を採用するかは分かりません。
でも、日本の人口を増やそうとしたら、カナダと同じ移民戦略を採用することになるでしょう。

<おわり>

<前回はこちら>

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