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不動産担保の種類(その1)

不動産は借入の担保として代表的な存在です。今回は全2回で不動産担保の種類について解説します。


1.  担保の種類


 
借入の担保に利用するのは預金、売掛金、在庫、不動産など様々です。
 
預金は(日本円では)担保価値が変わらないため担保として利用されます。
A銀行が融資を行うときに自分の銀行(A銀行)の預金口座に担保を設定することは可能です。しかし、B銀行にある預金口座にA銀行が担保設定する際には、B銀行の承諾が必要です。通常、B銀行は自行預金への担保設定に応じてくれません。
また、普通預金は残高が日々変動します。担保価値が日々変動するため長期間の融資の担保としては適しません。銀行が自行に設定した定期預金に対して担保設定するのが一般的です。
 
また、売掛債権や在庫等の流動資産は短期間で資金化されます。
売掛債権や在庫を担保にする際には担保となる債権(担保の在庫)の資金回収と借入金返済のタイミングを細かに設定しなければいけません。売掛債権や在庫を担保とするファイナンスもありますが、担保設定が面倒なので一般的に借入金の担保としては適していません。
 
この点、不動産は長期間保有します。頻繁に売買するわけではないので担保設定は一度だけです。不動産は担保の設定が楽なので借入金の担保に適しています。
 
不動産の担保設定の方法には①質権、②譲渡担保、③抵当権があります。ほとんどが③抵当権を利用します。
ここでは、それぞれの違いを説明します。 

2.    質権

 
質権は担保とするために占有します。簡単に言うと、質権者は占有のために自ら不動産を使用するか、誰かに賃貸しなければなりません。
担保設定する全ての不動産を銀行が利用するわけありませんし、銀行が自ら担保物件を賃貸して管理するのは大変です。なので、不動産の担保に質権は利用しません。

<その2に続く>

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なお、不動産の担保融資について詳しく知りたい人は下記の書籍を参考にして下さい。

【金融マンのための不動産ファイナンス講座】

【金融マンのための実践ファイナンス講座】


【図解 不動産ファイナンスのしくみ】


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