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オテロイ騒動?

 先日もちょっと記事にしたオテロイが「思ってたんと違う」姿に成長する件、良くも悪くも波紋が広がりつつあるようです。当初は、不満ばかりが先行した感がありましたが、ここにきて肯定的?な意見もちらほら出てきたようです。自分としては当初から種子の信頼性やアガベの個体差というものはある程度許容すべきであるというスタンスでしたので現在の傾向は好ましいものと考えます。ちなみに上の写真は我が家で育成している「チタノタ」のうちの一株です。もしかしたら「オテロイ」かもしれませんが。
 過去の投稿記事にもちょくちょく記しておりますとおり、アガベという植物は非常に個体差というか同種であっても変異が非常に大きい植物だと感じます。以下に個体差がどういうものかという一部を紹介します。

マクロアカンサの一株。短葉でむっちりしている印象です。
同じくマクロアカンサ。葉長がながくすらっとした印象。
クイオテペセンシスの一株。チタノタに近縁の種らしい短葉系
同じくクイオテペセンシスの一株。今はやりのピーコッキー?のような長くうねった葉。

 そもそもアガベの種という分類そのものが実に曖昧で、例えばA,Bという二種類のアガベがあるとしてA種寄りのB株とB種よりのA株があった場合、その見分けがつかないということになります。

育成中のオテロイ
育成中のディフォルミス。葉裏の模様以外そっくりさん。

 我が家では入手が可能なアガベについては、できるだけたくさんの種を育成することとしていますが、たった3年の経験だけでも上記のような状況はたびたび目にすることができ、それは種子の取り違いなのか個体差なのか判別はできません。

 いま最も人気種といえるチタノタ、オテロイですが、この種でさえ分離?したのはつい最近のことで本当に別種であるといえるのかどうかはいまだにはっきりしていないようです。実際、チタノタから分離したオテロイの成長した姿はまだ(分離の論文を発表した方以外の)だれも目にしたことは無いと思います。
 そもそも、今現在もてはやされている「ネームド」の株は、こういったある「種」のうち、個体差によって好ましい形質を有している株を取り上げただけであって、いわゆる「選抜株」の一種であるので実生した株がすべて好ましい形質を有していることはあり得ないわけですから成長した姿が自分の思っていた株姿と異なってもそれは当然のことだと思うのです。
 オテロイ騒動とは、たまたま現れた個体差がある特定の種の特徴に似ていただけということもあり得ない話ではないということがようやく広まってきたということなのではないでしょうか。

ケルチョベイの一株。短葉で縁取りの白トゲがカッコいい。
これもケルチョベイの短葉系。
ケルチョベイの中ぐらいの葉長の株。これはこれで良いかも。
ケルチョベイの長葉の株。葉色が同じだけでもはや別種とも思えるほどの差異。
葉の長さだけでなく鋸歯の状況も全く異なります。

 以前、ケルチョベイの魅力という記事を上げた通り、この種は個体差が非常に大きく育てていてとても楽しみな種でもあります。これも以前に申したとおり、オテロイチタノタだけもてはやすのではなく、他種にも目を向けてその差異を楽しみたいものです。


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