見出し画像

戦争って何なんだ?紫電改のタカを読んで感じたこと

 最近、Xのタイムラインに出てきた広告で「紫電改のタカ」という漫画を知った。「あしたのジョー」で有名なちばてつやさんの作品で、戦争を題材にした漫画。数年前に司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読んで以来、戦争を題材にした小説を読むことにハマっていたので、その流れで中古本を買って一気に読んでみました。漫画の内容にはあまり触れずに、感じたことをつらつら書いていきます。

戦争とは何なのか?

 漫画のラストにかけて、主人公が飛行船に乗りながら「戦争ってなんだ?何のためにやるんだ?」と自問自答するシーンがあります。僕が小学生の頃から学んだ戦争は、原爆投下の悲惨さ、空襲や強制的な徴兵によって愛すべき人を失う絶望感などから、戦争は二度と起こしてはいけない、とインプットされてきました。

 小学生くらいから学ぶのであれば分かりやすいし教育の方針として間違っているとは思わないけど、年齢が進むにつれてもう少し深く「戦争って何なのか?」と考える機会があって良いと感じてる。数十年前の日本で起こった事で、自分たちの生活や社会制度は少なからず戦争を経験した上に成り立っている事が多いため、学びも多い。

 「戦争って何なのか?」地政学的背景や経済的理由など、事の発端は色々あるし、主体となっているのは国vs国。だけど実際に戦地に赴いてるのは、生身の人間です。紫電改のタカでは、激しい戦闘後にアメリカ人と互いの健闘を称え合うというシーンがあります。坂の上の雲でも、ある戦線でロシア軍が降伏の白旗を上げた瞬間に最前線で戦っていた日露両軍の兵士たちが「やった!終わったぞ!」と互いに停戦を喜ぶシーンが。

 最前に立つ人間は誰も死なせたくないし、一人の人間として家族との時間を大切にしたいと思ってるし、戦争に行かず実現したい夢や熱中したい事が誰にだってある。国vs国の抽象化された戦争が、その時代に生まれた人たちの人生に多大な影響を与えていく。

 戦争って単に悲惨で悲しい出来事ではなく、人として大切にしなきゃいけない事が無慈悲に潰されしまう瞬間がたくさんあって、その一つ一つに向き合うことがもっとあって良いと思う。それが「戦争って何なのか?」の出発点でもある。

怒り憎しみは連鎖する

 戦争で一度対峙すれば、生きるか死ぬかの世界です。自分が生き残る為には相手を銃で撃ったり、戦闘機に乗って爆撃しないといけません。紫電改のタカでも、兄弟を目の前で失い、その怒りに震えて復讐に動くシーンがあります。その執着する気持ちは容易に想像ができるし、戦争という極限環境だからこそ、自らの死もいとわずに復讐を全うする。

 人間誰しも、暴力や暴言を浴びると瞬間的に反撃モードへ入ってしまいます。それで反撃をしたら、相手は更に怒り、収集がつかない事に。子どもの喧嘩もそうですね。自分も小学生の頃は友達同士でよく喧嘩してましたし。

 子どもの喧嘩であれば、ちゃんと謝る機会を大人が入って終わります。戦争も謝る機会、というよりも弾劾される裁判が行われたり条約締結があって、戦勝国と敗戦国との線引が明確に行われ、遺恨は残ります。第一次大戦の敗北で失意の中強いドイツを取り戻そうと第二次世界大戦にまた繋がる構図もある意味憎しみの連鎖です。

 目の前で起こった行為を許せず奮起する事が悪いとは思わないけど、その行動がどんな結果に繋がるのか、結局自分も同じことを相手にしているのではないか、私生活でも憎しみや怒りが連鎖する事ってよくある。その究極が戦争なのかもしれません。

結局、日常をどう過ごすか?

 戦争からの学びとして、平和ボケしているから戦時中のようなマインドで頑張れとか、戦後を生き抜いた人たちを見習えといった事ではなく、自分たちの日常とリンクさせて日々の行動を少し変えみることが大事だと僕は思う。

 上記したような憎しみや怒りは連鎖するから常に心穏やかでいたいと思うし、相手に何かを求めるよりも自分で出来る事を増やせた方が失望する事が減ってむしろ誰かを助けられるようになる。

 今の日本は戦争状態にないけど、経済活動の中で競合他社と競い合ったり、常に成長を求められる環境で僕らは生きている。そこから生まれる価値に恩恵を受けているし、そこで自己実現を達成する人生を自分も求めている。だけど、戦争を色々な側面から学んでいくと、自分たちの行動や思考の中に戦争の種みたいなものがあると気づく。

 清廉潔白な人間など存在しておらず、誰だって弱い部分はある。だから、怒り憎しみを持つなとは言わないけど、そう感じないよう余裕を持って生きていくこともできる。

 「戦争とは何なのか?」過去の義務教育時代の記憶に留めておかず、自ら学び、自分の行動と照らし合わせていくことが、自分にできることだと「紫電改のタカ」を読んで改めて感じたのでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?