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デジタル化ゆく年くる年(2020-12-21 千葉県地域IT化推進協議会データ活用部会・ICTセミナー基調講演)

これは何?

Code for Nagareyama / CivicTech Zen Chibaのミユキーマウスとツッチーマウス(実際はtuttiらしいですが)からお声掛けいただいて、「デジタルで『取り残さない』『取り残されない』ために今できること」と題したセミナーで基調講演をさせていただいたものを、いつものとおりUDトークで文字おこし・必要な修正を行ったものです。

ちなみに、企画を主宰したミユキーマウスのイントロもどうぞ。

私のnoteの長文にお付き合いいただいている方には、他記事でも同じようなことをしゃべっていることに気が付かれるかもしれません。必要なことは、同じことを繰り返しているということでお分かりいただけるかと思います。

ちなみに、写真は千葉県で「ゆく年くる年」についてお話するんだから、ってことで脳裏に浮かんだ「成田山新勝寺」さんの写真をお借りしました。

基調講演スタート

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ちょうど年末年始という時期でもあるので、「デジタル化ゆく年くる年」というタイトルでお話をさせていただきたいと思います。

「ともに考え、ともにつくる社会」を目指す

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Code for Japanっていう名前を聞かれたことある方いらっしゃるかもしれませんが、少しご説明をさせていただきますと、「ともに考え、ともにつくる」社会をめざして、社会アップデートしましょうっていうことをビジョン・ミッションにしている団体です。我々は、そのためにシビックテックのコミュニティを一緒に作っているっていうような言い方をしています。

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先ほど土屋さんのスライドにもありましたが、これ千葉県で昨年開催したCode for Japan Summitのときの集合写真です。この時は、私は京都府職員だったんですが、ちらっと後ろの方で映ってますけれども、私自身は2016年に、京都府でデータ利活用の仕事をやろうと思って知事に提案して始めたときからですね、サミットにも参加をするようになりました。そこで、いろんな方々とお知り合いになってですね、それが基礎になって今こういった活動をすることにもなったように思います。このスライドは繰り返し使っているのですが、やはり「ともに考え、ともにつくる」っていうことが、今まさにこの時期だからこそ、すごく大切になってきたなと改めて思っています。

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そうしたときに、中心となっている考え方が、我々の言葉で言うと「シビックテック」です。いろんな使われ方をするので、一言で言うのが結構難しいですけれども、主に行政の方から見た場合にですね、地域にとってどういう意味があるかという観点で考えますと、登場人物がですね、市民と行政です。今までであれば、市民がいろいろ要望を出したりとかですね、あるいは苦情出すといったことに対して、行政がそれに対応したりとか、そういったことをくみ取って行政サービスを提供したりとかっていうような関係があります。これは「依存」というふうに、言っていますけれども、今後はそういったことだけじゃなくてですね、「共創」っていう考え方が必要だなということです。

ここから、さきほど「ともに考え、ともにつくる」とあったのも、これです。市民と行政が相対で向かい合うのではなくて、お互いは地域の課題を解決するプレーヤーの一つとして、そこには行政もあり、市民もあり、あるいはNPO・大学・企業といった、みなさんもこれまでから一緒にお仕事されたりとかですね、いろんな関係を持っている方々いらっしゃると思います。また、今日はCode for 何々として千葉各地で活動されている方々も参加いただいてますが、みんなで考え、一緒に行動していくといった世の中にしていきたいなと思って活動している皆さんです。Code for Japanは、この千葉各地で活動されているみなさんと、Japanと千葉だから、上下関係なのか?と言われれば、そうではなくて、一緒に連携する存在です。

私も、京都からオンラインで参加していますが、京都にもCode for Kyotoがあります。また、私が住んでいる関西は、千葉もそうなのかもしれませんが、自治体の境界って曖昧です。移動もすぐできますので、私はCode for OSAKAやCode for Naraにも参加しています。というように、日頃から普通に関西を行き来しているので、自分が住んでいるところだけで活動している訳でもありません。ちなみに、私は大学卒業後には会社の寮が、習志野市の津田沼にあったもんですから、そのときは千葉県民でありつつ、東京で仕事をする千葉都民でした。自己認識としては首都圏というものでしたが、自分たちの身の回りのことを考えるといったときには、行政の境界はあまり考える必要はなく、むしろ人が繋がっていると考えるべきでしょう。であれば、地域課題解決に関わる人がみんな一緒になってですね、ともに考えて、取り組みを作っていくということが必要だと私は思っています。

シビックテックの幕開け

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今般、新型コロナが我々に非常に難しい課題を突きつけている面がありますけれども、一方でここまで説明しているように、「ともに考え、ともに作る」という考え方からするとですね、そういったシビックテックの考え方が言葉としては今までも「そういうふうになっていこう」みたいなことは言われてたわけですが、具体的な形として出てきたっていうのがすごく前向きに言えば良かったかなと思います。

それを「シビックテックの幕開け」というふうに言っていますけれども千葉県でもコロナ対策サイトの運用をされていますが、元になっているのは東京都庁の取り組みです。

①正確な情報を迅速に提供、そしてそれをわかりやすい形で

東京都がこうしたサイトを作ってすごかったね、ということを言いたいのではなくて、大きく3つポイントがありまして、まず一番最初が最も重要で、このサイトは何のためにあるのか、ていうことであります。3月の頭ぐらいに、今は第三波と言われているところの、第一波が押し寄せていました。そのとき皆さん不安に思われていましたよね。日々感染者数が増加する中で、一体どうなるんだろうと言われていたとき、都庁としては正確な情報を、迅速に届けることが必要ではないかと考えたものです。正確な情報を迅速に届けることで、疑心暗鬼にならずに、都民の方々が自分たちの行動をどうしたらいいんだって考えていただくとともに、都庁側もいろいろな対策を実施します。それをご理解いただくため、この両面にはまず情報をスピーディにお届けできるかどうかが肝です。

そのために、正確な数字を迅速に出すだけでなくて、その推移がどうなっているのかとか、情報をできるだけわかりやすい形で提供することが重要だと見定め、それを実現するサイトを作ったという訳です。

②オープンデータ(機械判読性ある形っていう意味で)として公開

次に、日々更新するデータそのものをオープンデータとして公開したことです。こうしたサイトの運用に際して、後でも少しお話しますが、日々の更新を、正確かつ迅速にするといったとき、このデータを生成するところと公開するところが縦割りで分かれているがために、作業をして確認をしてといったポイントごとに人の手が介在する訳です。そうすると、迅速になかなかできない。あるいは、転記ミスが出てくる。これらはプリミティブな話だけど、こういう毎日ずっとやり続けるような仕事のときにすごくストレスがかかります。

そうしたときにですね、オープンデータの定義の中に機械判読性っていうのがありますが、コンピューターで自動処理できるような形になっていれば、人の手を介さずに正確に継続して仕事ができる、そうしたデータを最初から作った上でですね、オープンデータとして公開する。

こうした業務の流れを前提にしてこのサイトを作ったっていうこともすごく重要だと思います。裏を返せばですね、他の自治体もこうしたサイトを作っておりますけれども、非常に苦労しているところとして、京都府のサイトも若干私も関わっておりますが、苦労してるのはオープンデータとして作ってないので、日々の更新が結構大変になってます。京都も残念ながら感染者数が増えてきておりますけれども、そうしたときにどうしても数字を確認してサイトに掲載するためのデータの更新がですね、毎日職員さん頑張っていただいてるんですが、データが出てくるのがだんだん遅くなってきています。

今後の感染状況も見通せない中で、こうした事務の継続性がだんだん厳しくなるような状況なのではないか、見直しも必要じゃないかと思っておりますが、そうすると今まで積み上げてきた運用ルールをですね、結構ドラスティックに変えなきゃいけないということで、そのこと自体に苦労するっていうことがよくあります。しかしながら、そもそもサイトの運用の目的は「正確な情報を迅速に届ける」ですので、データの更新が、感染状況に関わらず安定的にできるような仕事にしておく必要があります。

それを都庁の場合はですね、いきなり全部できた最初からできたわけではないですが、早い時点で担当職員さんが構築したっていうのが、隠れた功績というか、もっと言えばそのやり方も含めて他の自治体にも示せたっていうことは非常に大きいことだと思います。それが全ての自治体でできていないということは残念ではありますが。

③ソースコードの公開により他の自治体サイトも立ち上がった

ここまでの2つを前提にして三つ目でありますけれども、このサイトを作るためのソースコードを公開することによって、全国各地の自治体が同じようなサイトを展開できている、海外でも一部使われてるそうですけれども、そうした活動に繋がったっていうことも重要だと思います。

ゆく年くる年な季節に考えよう

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以上お話したことが、デジタル化を考える上での「ゆく年」という意味では、特徴的だったなと思います。

このスライド、千葉ということなので、あくまで真面目な話をしていますが、ネタっぽくもしてですね、これから深刻な話もして、みなさん暗くなってもなので、こういうバランスでお話しようと思います。

新勝寺さんのサイトからお借りした写真ですが、Copyrightをつけて掲載してもいいということで、この文字は画像に埋め込まれているのでそのままなのです。ともあれ、この写真「初詣」というタイトルが付いています。それをモチーフにして、「ゆく年くる年」ってことで、これまでのことを振り返ってこれからのことを展望するという訳です。

ゆく年、我々は何を経験しているのか?

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先ほどのご挨拶の中でもですね、「デジタル」っていうことが行政の中で言われるようになってきて、果たしてどうなっていくんだろうという不安をお持ちでしょう。我々は今、何を経験してるのか、ちょっと振り返った方がいいと思います。このスライドは今年9月に、総理発言ということで、その内容は、自治体のことも相当にディスられていますが、それはともかく、ポジティブに考えれば、これまで指摘されてきた課題が、全部・まとめて・繰り返し到来したということです。

国・自治体含めて、デジタル化が遅れている。そして、その理由の1つがやはり人材が足りないってことが言われました。これを正面から認めることは、行政としては結構難しいことで、自分たちができないことを認めることになります。

ただ、自治体側からすると、人を減らせと言われてきたのは国なのに、そのツケを払わされて、その責任を押し付けるのか、と言いたい気持ちも分かりますが、それも含めて国はやはりまずかったというように自覚したんだと思います。それは重要な点です。

取り残す・取り残される自治体

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しかしながら、やはり深刻だったのは住民サービスが、人が減ってきたという中で、徹底的に劣化していて今般の危機に十分対応できていないということがあらわになってしまったことです。これはここで改めて言うことでもないかもしれませんけれども、やっぱり行政は非効率になってしまっている。住民側から見たときにですね、いろいろ支援策あるって聞いたんだけど、やろうと思ったらめっちゃ手続き面倒くさいとかですね、いつになったら振り込まれるんだろうと、そういうことを考えて暮らすこと自体、これ、最初に申し上げた「依存」関係のままです。

申し上げたいのは、この依存関係がですね、行政サービスが、まずいというよりも、その依存関係を前提にして社会を運営していることが、まずいということを言ってるんだと私は思いました。それが「民間や社会におけるデジタル化の遅れ」であり、これが出来ていれば、そうはならなかったのにって総括しているんだと思います。

そうしたときに自治体の皆さんからするとすごく葛藤するわけですね。

皆さん方も住民1人1人なので、当たり前にこういうことをやってほしいなとできたらいいなと思っていることが、自分の仕事で現実にはできない、ということと、それが人材が足りていないという両方があり、やりたいことがあるのだけど、やろうにもどんどんどんどんこぼれて落ちてしまって手が回らない、ということを現場ですごく感じている。これは非常に辛いことだなと思います。

くる年はどんな年?

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ただですね、くる年、すなわち未来は自分たちで作れるので、このままがずっと続くの嫌だなと、思っておそらく今日は参加いただいてると思うので、難しい話も出てきますけれども、と希望を持ってというかですね、少しやってやろうかっていうふうな気概を持って前に進みたいと思います。

デジタル化時代に向けた「着眼大局・着手小局」

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そうしたときに、重要な観点は、最近言っているのが、「着眼大局・着手小局」だと思ってます。これ言葉の通りですね、象限が4つ、着眼と着手・大局と小局で4つ出てきますが、着眼は大局で、着手は小局、つまり星印のところがいいよって思っています。

着眼、絶賛仕込み中!

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着眼、つまり「これからどういう方向でやるのか」、ゆく年を展望するその展望は、ご挨拶でも振れられていましたが、今は仕込みが急ピッチで行われています。

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おそらく今週ですかね、いろいろ正式に発表出てくると思うんですけれども(注:結局同じ日にデジタル・ガバメント閣僚会議が開催され、各種方針がとりまとめられ、25日に閣議決定となりました)、デジタル社会の目指すためのビジョン、着眼大局ですが、今までできなかったことを前提にして、こうなりたいという宣言を明示する形になります。

そこでは「デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスが選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」を目指すとあります。言ってみれば、これまでもよくあるような言葉だなとお感じかもしれませんけれども、新型コロナの感染拡大で、我々の社会に起こったことを前提に、これをもう1回読み直してみるとですね、シンプルなことだけど、やはりこういうことだよなってという形で結構凝縮されていると思います。何か役所っぽい言葉でありますけれども、これは行政に携わる皆さんにとっては、それほどこの話は外れてないのかなと私は思いました。

ただですね。ただ下に3つあるものについては、具体的なシーンを書いてありますが、これはまだ難しい話です。なんとなくわかるんだけど、どうしたらいいのかなっていうのは、やや不透明なところもあったり、なんでここだけ出てくるんだろうなとかですね、その辺はもう少し具体的にこれから明らかになっていくものであり、あるいは、我々が明らかにしていく必要があるんじゃないかなと思います。

デジタル社会形成10原則

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その話がですね、同じように出てくるんですけれども、大方針として10個の原則にまとめましょうというふうになっています。表現としては、割と今までの国の文書の中に出てくる言葉よりは、具体的なものも出てきています。例えばですね、「8.浸透」にある、“「お得」なデジタル化”という言い方は、あまり行政側からいうような話ではなく、むしろ良くないこととして言われているニュアンスだったと思います。なので、「そういう言い方よくないんじゃないかみたいな行政」がこの先のデジタル社会で残っていてどうすんねんみたいな話も、含む言葉としているようにも思いつつ、いずれにしても結構前向きに言葉を使っています。

そういったことを原則としてまとめること自体はすごくいいことだと思いますが、これ10項目でこれだけ「・」が並んでると、覚えきれないですよね。一つ一つ説明しだすときりがないのでやめますけれども、この中で重要なのは、皆さんにとって響く言葉を見つけるということだと思います。全部覚える必要はなくて、やはりこの中のどれか、「あ、これいいな」と思うようなことが皆さんの着眼大局になり、次にお話する着手小局に繋がってくると私は思います。

誰一人取り残さないデジタル社会の実現

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デジタル社会を目指す上でどういったポイントがあるのかは、究極までまとめていくと、文書にも出てきますけれどもここに挙げた2点だと思います。

デジタル技術の恵沢をあまねく享受できる社会

一つはデジタル技術というのは、別にこれから新しく出てくるような技術だけじゃなくて、もうすでに世の中に存在していて自然と皆さんが使ってるようなもの、例えばスマホの技術もそうですし、昔電話だってそうだったみたいな話をするまでもなくですね、この10年ですごく便利になったと思いますよね。それがいいかどうかと感じる方もいらっしゃると思いますけれども、デジタル技術は、もともとはみんなが使えるようになるために、こういったものが生まれてきたんだけれども、まだそれが難しいということが、さきほどの10原則でも書いてますね。あまねく享受できていないことが言われてたわけですけども、今回はできるようになろうということであります。

そのときに重要なのは、ベクトルとしては二つあって、一つは誰もが参画できてそれによって個人個人がそれによってやりたいことができるようになったりとかですね、今までよりもより良くできるようになるということが、ポジティブに加速するような、順接的に繋がるような社会であります。

もう一つはそういったことを保証するために情報へのアクセス、個人情報を保護しましょうということもそうですし、それはみんなが持ち寄って、社会のためによくしよう、これは考え方としては結構危険なことも含んでるっていうふうに思われる方もいらっしゃると思いますし、そもそもどう扱うんだって結構緊張関係にあることですけれども、ただこれは新型コロナを受けて我々がどのようにするか、これから選び取る社会だというふうに思えばですね、データを活用していくことを保証できるようになるということだけじゃなくて、そのためにしっかり準備しようという意味でこの両輪を書いてるっていうのはすごくバランスがいいなと思っています。

国民目線で、ユーザーの体験価値を創出

一方で、そういった両輪の環境を作った上で何をするかは、今までできてなかった「国民目線」ということです。国民目線あるいは住民目線って、公務員は、ついつい言ってしまいがちなんですけれども、住民目線って結構難しくて、それは行政側の都合が入った独りよがりのものとは正反対で、徹底的にサービスを磨かなきゃいけないということであります。そのためにも、土屋さんのお話の中でも少し出てきましたけれどもデータを連携され、しっかり使うということが重要で、そのために必要な「データの標準化」「データ連携基盤の整備」「APIの整備・公開」と書かれていますが、これがユーザー体験価値とどう結びつくのか、実は結構難しい話であります。

やってくる未来:「できたらいいな」の終了

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私もまだ十分消化できてないんですけれども、ちょうどこの12月にですねデータ戦略というものが取りまとめられつつあってですね、そこに書いていることは、ぜひ皆さんもこれを読んでいただきたいと思うんです。

今までですね、データは現在の石油だって、先ほどのご挨拶でもありました。こんな世の中が来たらいいな、ってふうに書かれていたことが、こうやってやりましょうと割と現実的な形で書かれるようになりました。

今までであれば、特に自治体の皆さんですね、国の方針を見て、あるいは県の方針を見てから、というように考えがちなことあったと思いますけれども、やってくる未来は、「できたらいいな」あるいは「こう言われてるからこうしよう」ではなくて、やはり、自分たちで主体的につかみ取っていくっていうことが重要であります。

「オープンデータの捉え直し」がやってくる

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それが大きな一つが、オープンデータに対する考え方であります。おそらくこれは、データ戦略を考えた人たちも、オープンデータがなかなか進んでいないということは前提にしています。であるからこそ、その要因がどうのこうのといった良し悪しの話はあえてせずに、違う言い方をしていて、それは考え方を変えましょうと言っていると思います。

変更する大きい話としては、業務としてデータを扱っていく、今であれば何かそれをすることですね。余計な仕事が増えるみたいなことをお感じの方いらっしゃると思いますし、それは事実でありますが、ただこれからは仕事を見直すための投資です、ということです。

余分な仕事は増えるんだけど、それによって得られるメリットの方が大きいので、それは戦略的に意思決定をして、ちゃんとそういったふうに変えていこうということです。そして、皆さん一人一人あるいは組織としても、意思決定していかないといけないということを言っていると思います。

その際に、オープンデータの「オープン」ってどうしても情報公開しましょうとかですね、あれは情報提供しましょうという考え方がどうしても出ている、出てきていたと思いますけれども、そうではなくて、データを使っていくために必要なことだというふうに正面から認めましょうと言っています。

それが先ほどの少し言っていたオープンデータの定義の三つあるうちの二つ目に書かれている機械判読性であって、これを徹底的に磨かないといけないということが、考え方の出発点あります。そして、それを前提に皆さんの仕事をどう変わっていくか、という観点では、タイトルのとおり、データのエコシステムとありますが、データが生まれて、それが使われていくプロセスの間で、業務がそれを阻害するようなものがあれば、そのような業務はなくしていきましょう、と。そのための取り組みは、さきほどの「投資」としていきましょうということが、考え方の前提になっていると思います。

そうするとですね、オープンデータが、「何のためするのか?」っていうことを考えてるうちはですね、いつまで経ってもみなさんの業務は良くならない、行政としても住民としても、ということでありまして、オープンデータ進めようということであれば、腰を据えて、でも確実に行うことが必要になってくると思います。

データのエコシステムにおけるオープンデータ

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こういった概念図はですね、ドキュメントからとってきたものなのですが、これを見てですね、分かるんだけど、分からないところもある感じです。ただ、これが重要なことを言っているのでご紹介するのですが、これは形にしていくうちに、いろんな各地で事例が出てきて、こうした枠組みに当てはめていくと、「そうだよな」というように収斂させていくと、それが正しいか、あるいは少し変えなきゃいけないんだろう、といった類のものだと思います。これを金科玉条のようにするのではなくて、それを少しずつ直していこう、これは先ほどのデジタル社会形成10原則の中にもそういった話は出てきていましたが、少なくとも言われてるのは今までもご説明したとおり、住民とやりとりをするような接点の仕事に対して、データを再利用しながらやっていくことと、オープンデータとして活用していくこと両方が必要であり、それは社会活動という形で様々なものが含まれている総称ですが、両方のラインで出てくるものが、社会活動を回していくためにともに必要なものだと言いたいがために整理したものだと思います。

ですので、今度目指すデジタル社会の形成には、オープンデータ活用側の話もないとそれは回りませんということであり、さきほどご紹介した「給付が迅速にできない」とかですね、そうした話も、左側のラインばかりを良くしてもですね、片側通行というか、やはりバランスが悪いということであります。

アーキテクチャに基づいた業務改革

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それを先程「データのフローを阻害するような業務フローは直さないと駄目ですよ」ってことを申し上げましたが、行政の世界でいうと「業務改革」といった言葉遣いが、ここに関わってきます。スライドの下の方にある「データ環境整備」の対象として、今までのいろんなルールとかですね、利活用環境とか、インターネット環境含めたインフラなども含まれています。作業するための基盤は、皆さん業務で使うパソコンみたいなイメージからですね、それを可能にしているようなネットワーク構成とかいろいろオンプレだったりクラウドだったりのサーバーを使ってシステムを回してると思いますが、そうした基盤を前提にして、社会に対して価値を提供する。

価値というのは、サービスと考えていただいたらいいですけれども、そうしたものを業務改革によって、より良くしていくときに、小手先の業務改革ではなくて、その根っこにあるルールとかですね、この環境にもちゃんと手を入れた改革じゃないと駄目ですよっていうことを言っています。

ですので、さきほどの図のとおり、オープンデータに取り組まないと、業務改革にならないということでありますし、データも使いたいということであれば使いたいサービス側だけやなくてですね、その元になってるルールとか環境っていうところにも手を入れないと駄目ですよっていうことになります。

紙をベースにした台帳等の仕組みからの転換点

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着眼は今ご説明したような通りでありますが、そうしたデータ整備はできているとは言ってなくてですね、これからやりますと書いている。

これから10年かけてする、そのための仕組み作り、先ほどのスライドの下のところに関わることは、これから先5年以内にやりますと言っていまして、特に明確に宣言してるのは、これは明治以来100年の、地方行政も含めた行政の仕組みを変えていくことですと言っています。また、それはこれから先100年の世の中の仕組みのベースとなるようなことにチャレンジするんですというふうなことも言っています。

着手は、どうする?

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ですので、転換点にあるわけなのでそうしたパースペクティブというか考え方で取り組めば、いやいや目の前のことをと言ってもすごく大変だなと、思うんです。

行政のデジタル化は、デジタルツールを導入することではない

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私が申し上げられるようなことは、そんなテーマ的なことしか申し上げられないですけれども、行政のデジタル化は、デジタルツールを導入することではないです。どこまでいっても先ほど都庁のサイトをご紹介した際に申し上げた通り、行政サービスをよくするっていうことに関係することであります。どうしてもツール導入があるので、そう見えてしまうので、注意が必要です。

行政のデジタル化は「買ってくる」ものではない

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そのときにどうやってやっていくんだ、みたいな話、経産省の資料で結構前に作られているものですけれども、これ今も通用していて、繰り返し参照すべきものです。「サービスをどうやって良くしていくか」というサービス構築の手法を、今までとは違うものにどのように変えていくっていうことと、それを誰とやるかという組織のあり方です。

これが両方繋がらないと良くならないということが、以前からある資料ということですが、その後は取り組みが進んでいく中で、「だいたいそう」で、「やっぱりそうだったんだな」ってなっていると私は思っています。

ポイントとしては、様々いろんなバックグラウンドを持った人、いろんなルールで動いてる人を巻き込んで一緒にやっていくっていうことが、重要だと思っています。

着眼・着手を間違えない

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そうしたときにですね、行政側から見て、着眼大局、戦略を作ることは得意です。

しかし、その着手のときにですね、着手大局もよくあります。大きいことばっかり言っていて、全然進まないってこともあります。ともすれば、それがそのまま着眼が小局になる、せっかくいいこと言ってんだけど、なんかだんだん目標が矮小化していくようなこと、着眼が小局になって着手が大局のままであったりとか、それがいつしかどっちも小局になって、何のためにやってるかよくわからないことをひたすら続けるみたいな、これは徒労感満載ですが、そのようようなことも出てきてしまう。

あくまで目線は高く、やることは、小さいところからコツコツやっていうことであります。

日本一早い「着手小局」をしよう

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ということで、ご紹介した着眼、公式決定されていませんけれども、着手小局でやりましょうということなので、「日本一早い小局」をやっていきたいなと思います。このあとグループにわかれて意見交換されるときに、いいなと思ったところは、まずパクリましょう。

自分たちにそのまま適用できるか知らないんだけど、なんかいいなって思うものは、みんなでそうやってみましょうということは、重要だと思います。

もう一つは、もう少し考えて、いいなと思ったことは自分たちが今までできてなかったことです。それを自分たちで咀嚼して、自分たちのやろうと思うことにうまく溶かし込んでいくようなことにもぜひチャレンジしてほしいなと思います。

最後に種明かし

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お気づきだったかもしれませんが、背景のが最初真っ黒だったと思いますが、それがだんだん色が薄くなったことに気が付かれた方、いらっしゃると思います。これも新勝寺さんの初詣のカテゴリにあった写真です。

どうしても暗い話題がすごく多かった1年だったと思いますが、夜明け前が一番暗いのです。確かに初日の出を見るのに、すごく寒い思いをしてじっと待つ。

今回は、密になるんでこういう光景はできないと思いますが、そうした経験ある方いらっしゃると思います。そうしたときにですね、初日の出がこうやってぱっと見えたときですね、私も富士山の上で見たご来光を思い出したのですが、寒い・辛いと思いながら、待っていたら、日の光が見えたときにみんな「わっ」て言ったりとかですね、やはり心がすごく動かされます。

そういったことをお日様を待つわけじゃなくて、かっこつけて言ってしまえば、心の中に陽の灯火をつけていくことがこれから求められていることだと思っています。今ある持ち場持ち場でそういう着手をし小局を積み重ねていっていただきたいと思います。私も含めて、シビックテックコミュニティとしても、こうした取り組みに皆さんと一緒に取り組んでいきたいなと思います。

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