”無のビジネス本”を買ってしまわないために心がけているX個の実践

巷には”無”のビジネス本がいっぱい溢れている.今日はそんな”無”の本について考えてみたい.

はじめに「”無”のビジネス本」とは何かをはっきりさせておこう.
「”無”のビジネス本」はその本を読む前の昨日と,読んだあとの明日に一切の変化をもたらさない本で,読了後一瞬の最大瞬間風速だけが高いもの.文字が書いてあるけど文章は書いていない本.レモンみたいに見た目は美味しそうだけど,実際かじってみると痛い目を見るような本だ.(レモンは酸っぱいだけまだいい,こう言う本は無味無臭だから)

その本は”無”なので一瞬の満足以外に得られるものはない.酒などと同じ類である.その本で展開される読者へのメッセージは新規性も深みもなく,ただ,マーケティングだけはしっかりとされていて,さもその本を読めば何かしらの”成功”をつかめると喧伝されて,多くの人が結局罠にはまってしまう.どんなメッセージであれ,その本じゃないといけない理由はない.
*ここでは「読了後のアクションは読者側の責任だろ」ということはここでは考えない.ここで言いたいことは内容がチープすぎる本がかなりの数あるというお話.



こう言う本は毎年よくネタが尽きないなと思うくらい量産される.内容が無いので簡単にコピーできてしまうからだ.それでも著者,タイトル,デザイン,売り出し方などちょっと変えれば別の本に見えてしまうからよく量産される.売れればいいので外見に一所懸命で中身は二の次なのである.

利害関係で考えてみよう.本を売る人にとってのゴールは読者がその本をきっかけに何か生活態度を改めたり日々の行いを本当に見直してもらうこと(もっと仰々しく,彼らの言葉を使うと”成功をつかむ”と言うこと)ではない.
あくまで読者がその本にお金を払ってくれることであり,そこから先は一切責任を取らない.作り手と受け手の利害は一致しているようで一致していないのである.従ってその本に求めるのはある程度の体裁が整っていることで,あとはいかに売り出すか,その本をいかに面白ろ”そう”に見せるか,と言う世界なのである.

こういう本を見かけると非常にイライラする.売れているからor売れそうだからという理由だけで無のビジネス本が書店に並び,本来自分が読みたいと思うような本との出会いの確率を下げているわけだから.
こういう本に感化されてネットでしょうもない発信をしている人を見かけたり,通勤電車の中でその本を手に取ればさも人生が変わるような書きぶりでアピールされた広告を見てうんざりとすることも無のビジネス本の副作用だと思う.

最近,色々な本を読んでいるうちに,こういう本にはいくつかの共通点があるんじゃないかということを思い始めた.これ即ち,ある本を見かけたときにその本がその共通点を有するかどうかでその本への期待値が判断できるはのではないか??.
というわけで筆者が独断と偏見で考える無のビジネス本の特徴や見分け方を思いつくだけ述べていく.
もしかしたら本選びの参考になるかもしれない.

〜”無のビジネス本”を見つけるときに役にたつかもしれないヒント〜

・精神論しか書いていない:
「あなたが成功を掴んだ瞬間を思い浮かべてみよう」みたいな.それができたら苦労しないわ!と言いたくなる.

・本のタイトルなどに使われているフレーズがパターン化しがち:
 ハーバード式,正攻法,X割で決まる,なぜ誰々は〜〜なのか,〜〜術,年収○○,1日XX分で〜,etc
その他,最近は”思考法”という単語や”大全”というワードをよく目にする.

・SNSなどであまり頭が良くなさそうな人が諸手を挙げて絶賛している:
 そういう人はだいたい「即行動!」とか「考えさせられました!」とか言いがち.そして次の日も似たような本を読んで似たような感想をつぶやくのである.

・筆者の過去と現在の経歴がよくわからない:
学歴や社歴などモリモリに書いていても「結局この人は何をしている人出なんだ?」と思ったら怪しい.仮にわかっても評論家ではなく実践家である方が良い.(ただし成功バイアスで自惚れている場合を除く)

・特定の人,特にビジネスマン向けインフルエンサーがその本に関わっていないか注意する:
 某○ews○icksで気持ち良さそうにサラリーマンをたぶらかしていた人とかね.

・正解がない議論にさも唯一解があるような書きぶりをする:
それが絶対なわけないのに「○○をしろ!」と筆者の主観で無責任に主張するものはあてにできない.センセーショナルな言い回しで読者の気をひく目的だったり,生存バイアスで内容が語られ主観的で再現性がない経験,いくらでも反例があげられそうな経験が書いてあるだけである.利害関係の話と同じで筆者はここで書いてあることに100%コミットしなければいけない理由はない.適当なことをでっち上げて書いても証明も,弁明の必要もないのである.

・通販サイトなどでその本の”低評価の”レビューを確認する:
これはかなりオススメ,自分は本を買う前にアマゾンで”低評価の”レビューの数とそのコメントを見る.高評価をつける人よりも低評価をつける人の方が「なぜその評価なのか」という考えを持っているのでこれを参考に本の内容が自分の期待するものかどうかを確認する.
ただ,たまに的外れなコメントがされていることもあるので.低評価数が多いからと言ってその本が悪いとは言えない.むしろ高評価のシグナルの可能性もある.

・いつ出版されたか確認する:
出版年数が古い本かつ,今でも語り継がれる本(=一定の支持者がいる本,いわゆる古典的名著)にハズレはほとんどない.時の試練を乗り越えているかがその本の実力を示す最も信頼できる証拠だろう.

思いついたら他にも追記していく.

また”無の本”ではない,自分にとっていい本と出会うために自分がやっていることもいつか書こうと思う.


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