マガジンのカバー画像

Impressions

2
作品の感想をあつめています。
運営しているクリエイター

#余命10年

小説 『余命10年』~「ひとりぽっち」から感じること

人は必ず死ぬ、その過程はそれぞれ違うもの。 2007年に上梓され、2017年に加筆・再販されたこの小説には、再販の直前に病死した作者・小坂流加さんの最期の遺志が記されています。 それが特に表れているのが物語の終盤第21章で、病室で死へと近づいていく主人公・茉莉の内面を通して切実に伝わってきます。 私はこの章を読んで、死の一つのかたちを教えられました。 そしてそこには、あの歌が流れていました。 臨死体験をした者にしかわからない感覚、肌身に感じた恐怖が伝わってきます。 必ずやっ