小説 『その扉をたたく音』は、ノックなんかしない人だらけの話だった
『そして、バトンは渡された』を書かれた瀬尾まいこさん。
今回もタイトルがキーになると思ったこの小説。
いやいや、扉をたたく音なんかしやしません。
30歳を目前にして親の仕送りで生きているアマチュアミュージシャンの宮路が、老人ホーム「そよかぜ荘」の演奏会で出会った遠慮も問答も無用な人々との交流により、現実世界が動いていくというこのお話。
サックスが上手いことにより宮路にバンドを組もうとけしかけられ、そのうち泣き虫の宮路へぐだぐだ言わずに歌えとけしかけるようになる介護士の渡部君。