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28歳の投稿。結婚と姓とこれからと。

みなさま Happy Unbirthday ってことで、毎年書いております誕生日投稿です。すっかり誕生日は通り過ぎましたし、28歳の初投稿でもなくなったので形骸化も甚だしいですが、振り返りという意味で今年も書いておくことにしましょう。


去年、三鷹に引っ越して、今年3月に結婚をしました。

わかりやすいし春分の日で休みだしってことで結構適当に3月21日に決めたんですが、なんかすごいいい日だったらしいですね。役所に婚姻届を出しに行った際「ご存知の通り、婚姻届を提出する人が今日はすごく多いので…」と時間がかかる旨お断りを入れられた時には「休みだもんね〜」などとのんびり会話していたもので、いろんな芸能人の方が結婚したニュースを見て初めてそんな縁起がいい日だったのか! と驚いておりました。まあなんとも、ゆるゆると大吉を引き当てた感じがおかしかったですね。

note を公開した後、本当は上野の洋食屋さんでご飯を食べる予定でした。付き合うよりも前、初めて一緒にご飯を食べたお店です。入籍日にそこでご飯食べるなんてエモいじゃん、とか言って直前まではしゃいでいました。

しかし予約の電話を入れたら席が空いておらず、まあとりあえず行ってみるかと駅に向かう途中、お互いなんとなく口数が減り、なんとなくお互いを気遣えない時のズレた感覚が起きて、気づくと超えちゃいけない何かにふと行き当たってしまったような不穏な瞬間が目の前に現れていました。

今振り返れば、婚姻届を出すということ、日常を小さく変えるその行動に、自然と力が入ってしまっていたのかもしれないなあと思います。特にぼくはこの一度しかない一日を完璧にしたいと、ついつい望んでしまっていました。それが良くない形で出てきてしまった。ふわふわとした足元で、日常と違う感触に踏ん張ろうとして、捻挫しかけてしまった感じ。

道の途中で2人立ち止まり「今日上野に行くのは違うね」と確認し合いました。来た道を戻るうち穏やかな時間が戻り、そのまま吉祥寺に行って美味しいスペアリブを食べ、井の頭公園を散歩しました。いつも通りの休日でした。いつも通りの休日を、過ごせて良かったなと思いました。2023年3月21日はそうやって、なんでもない特別な一日になりました。


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そういえば、結婚前後でずーっと、書こう書こうと思って書けていないのが姓のこと。どう言葉にしてもなんだか気持ちを掬い切れている気がしなくて、うまく文章にまとめられていません。改めて書きたい。ので、いつか、多分、うん。

ただここでひとつ確実に言えるのは、夫婦別姓が認められていればもっとずっと心穏やかに結婚できただろうということ。

結婚すると決めた時点で、姓を変える、あるいは変えさせる立場に強制的に配置されます。変える側はアイデンティティの問題や諸々の面倒に襲われるし、変えさせる側はそういう重荷を相手に負わせてしまうという息苦しさに直面する。制度という簡単にはどうしようもない枠組みによってこの配置が決定されている不自由に、当時ほとんど怒りに近い感情を持っていました。

結局、我々はぼくの側の姓に合わせる形で婚姻届を出しました。じゃんけんして勝った方が姓を変える、という取り決めをした上で、3連戦して全部パートナーが勝ったからです。これはもうそういうことかと、結果をそのまま採用しました。結婚という喜ばしいことの中に嫌な感情を持ちこんでしまうことを避けたかったから、形式的に決定する必要がありました。そのくらいには、ぼくたちにとっても"問題"でした。

書類を提出してから半年強が経ち、当時の怒りはもう残っていません。感情を排して決定した結果、変えてもらってしまった、という形での負い目もそんなに強く持たずに済んでいます。せっかくそうしたのに、申し訳ないと思う方が申し訳ないという思いもあります。

ですがたまに、相手の郵便物に二つの姓が入り混じっているのを見たり、「この場合どっちだっけ」と名前を書く際に少し迷う様子を見たりすると、感情になりきらないくらいの違和感がぽこっと生まれるのを感じます。

名前なんて記号に過ぎないのにな、と。
自分の人生にずっとあり続けるその記号に与える意味を、扱い方を、自分で決定する権利くらい、あってもいいんじゃないかなあ、と。

いつかこの、鏡に映るニキビのような、小さくぽこっとした違和感も薄れて消えていくのかもしれません。綺麗に治るんだろうか。まだなんとも、わかりません。



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30歳が目前になりました。
結婚もしましたし、今までよりも将来を意識する機会が増えました。

だいぶ好き勝手に生きてきたこれまでですし、これからもまあそれなりに好き勝手するとは思うのですが、飛ぶように過ぎていく時間をどうやり繰りして送りたい人生を作っていくのかをぼちぼち意識していかないと、気づいたら40歳50歳になっていた、なんて未来もすぐにきてしまいそうで恐ろしい。

しばらくフリーランスとして生きるので、今までより柔軟さの増した環境をしっかり活かして生きたいですね。

ずっと、ここではないどこか、自分ではない何かを憧れて生きてきた気がしますが、ようやく地続きな生活の中にしか自分はいないのだということに気づき始めたここ数年。おっそいのかな、どうでしょう。

やりたいを大事にしながら、できることとの折り合いの中で自分を意識的に作っていくよう戒めながら、少しでも楽しい時間を増やしていけるように生きていくべく。28歳もよろしくお願いします。


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