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読書記録『菊地成孔・大谷能生「アフロ・ディスニー』

『視聴覚の分断/再統合という現象と発達学を結びつけ、20世紀を俯瞰する。という構えで行われた、軽狂の擬似人文科学講義』 

この文章だけですべてを説明しきれてると思うんだけど。この意味わからなさというか、怪しさというか。
自分が10年代で一番衝撃受けて、一番影響受けてる一冊(いい意味でも悪い意味でも)
基本的に菊地さんの本は、その軽快さと怪しさから、一部の人には毛嫌いされるので万人に満足してもらいるとは思えないけど。
自分が知ってる世界なんてほんとにちっぽけなもので、(過去に消えてったものも含め)世界はいつまで経っても未知で面白いものに溢れていると教えてもらった。

この本でいえば、20世紀初頭にソビエト連邦の映画監督セルゲイ・エイゼンシュテインによって撮られた戦艦ポチョムキンの革新について。社交やエレガントさや大人的な文化が花開いた19世紀に対して、いかにしてどのような視覚と聴覚が分離した20世紀に向かったのかなど。
視聴覚を主軸に(ポップ)カルチャーを俯瞰しながら、歴史を再編集しておもしろおかしくストーリーを紡いでいく。

彼らが語る(今は語られない)歴史がとても面白く、ときおり自分の知ってる歴史が顔を出す。人によってはトンデモだとかいう人もいるけど、彼らは彼らの「見立て」を発動して歴史を紡いでいるだけだ。それは勘違いかもしれないし、エビデンスもないかもしれないが、その勘違いからスリップして文化は起こるのだと思う。
もちろんそこで語られるものは確からしく、おもしろく、熱量がなければならない。
この本はそれらが詰まってる一冊だ。

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