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ブックスマート

これからの当り前が描かれていた映画

今更ながら、Netflixでブックスマートを観た。
ざっくりとしたストーリーは、 モリーとエイミーという2人の女の子が主人公で、この2人は遊ばずに高校生活を真面目に過ごし勉強に励んできた。 モリーはイェール大学、 エイミーはコロンビア大学へ進学が決まっていて、この事が彼女たちにとってのステータスであったが、ある日同じ学校のクラスメートがGoogleへ就職が決まっていたり、同じイェール大学へ進学する事を知ってしまう。
その事がキッカケで遊ばず過ごして来た高校生活を取り返すべく、初めてクラスメート主催のパーティーへの参加を決めた一夜を描いた作品だ。
(タイトルのBooksmartは「学歴はあるが世間知らず」とかそういって意味がある)

ブックスマートを観て、私たちがこれから先持たなければいけない価値観の模範のような作品に感じた。
この映画のエイミーは同性愛者、レズビアンなのだが、その事にフォーカスされていなく、ダイバーシティやインクルージョンといった点がごくごく普通に描かれ、登場人物のセクシャリティや人種が何か壁になったり障害になったりという描き方がされていない。

セクシャルマイノリティを描く際、家族に打ち明けられない、差別を受けてるとか何かしらの壁があって、それがサイドストーリーとして描かれる事がほとんどだが、ブックスマートはその描写が無く、背が高いとか音楽が好きとか、そのくらいの感覚で話が進んでいく。

これまでのドラマ、映画はそう言った登場人物に過剰にというと語弊があるが、スポットを当てそこでのストーリーを映画の要素としてきた。
多様性の認知といった点では、今だにセクシャルマイノリティへの差別行為が起こっている世の中への問題提起という側面もあるだろう。ただ、もうそろそろ次の段階に行く映画があっても良いし、それがブックスマートだったような気がする。

セクシャルマイノリティが生きてく上で必ずしも壁にぶつかるわけではないし(そうなって欲しい)、ヘテロセクショアルだとしても苦悩だってある。そういった前提が当たり前になる世の中になっていけば、現代の歪みも少しは緩やかになるのではないか。

クラスメートにも様々な人種や個性を持った人物が登場するが、ハイスクールムービーで用いられるスクールカーストがあるわけでもないし、お金持ちの嫌味な女の子とその取巻きが出てくるわけでもない。ステレオタイプのティーンムービーではない新しい価値観、これからのスタンダードになるものをサラッと表現していて観る者の価値観をアップデートしてくれる「もうそういう時代終わったよね。Ver 2.0」という感じの映画であった。

※ハリウッドではトランスジェンダーの役はトランスジェンダーの俳優にという動きもあるらしい。

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