ちいさな庭だより。2023年8月号。

[intro]
 雨らしい雨が降らず、体温と同じかそれ以上の気温が続いた過酷な1か月だった。ありがたいことと言えば、洗濯物が早く乾くことくらい。まったく、うだるとはこのことか。やるべきことは山積しているのに、スイッチが入らないまま、一か月が過ぎようとしている。
 
[街なかの、裏庭より。]
 

(ルドベキア)

 毎日水を撒いていたにもかかわらず、あまりの暑さにちいさな庭の植物たちにも異変が起きている。心配していた和綿は全滅、睡蓮は水が熱くなりすぎたのか、元気がない。フサスグリやビバーナム、フタリシズカは葉焼けを起こしてしまっている。
 先月号で触れたイチイの苗は、カラスにひっくり返されて2つ枯れてしまったし、ミカエリソウはどうやらショウリョウバッタに食べられて葉が穴だらけになっている。あちこちでシャクトリムシの食害も。…とまあ、さまざまにダメージを受けた8月であった。すぐに庭に出て対策を立てられればよいのだけれど、この暑さではなかなか難しく、悩ましい日々でもあった。
 一方、先月号で「もしかしたら…」と書いたルドベキアは…やはりルドベキアであった!初めて参加した交換会で輿入れし旧宅で育てていたものだが、虫に根をことごとく食べられてしまい、半ばあきらめていたのだ。別の植物の鉢にこぼれ種が発芽していたのを移植してみたところ、花を咲かせてくれた。意外に花の少ない時季に、こうして明るい色の花を咲かせてくれるのでうれしい。
 

(いちじく・バローネ)

 旧宅の庭はすっかり荒れ放題になっているものの、いちじくが大きくなっていたり、山芋の蔓にむかごがぶらさがっていたり。ときおり出かけては、水を撒いたり唐桃やアカメヤナギの枝打ちをしたりしている。ポポーも日陰にあるおかげか、この暑さになんとか耐えてくれているもよう。
 

(百日紅)

 お盆には墓参りを兼ねて、能登の祖父母の家の除草も少し行う。5月の地震のあと、タイミングが合わず行けていなかったので、庭がどうなっているか心配だったが、ひとまず祖父の百日紅が咲いていてくれて、ほっとした。前回訪ねた際に、割れた植木鉢で囲んでおいた松の幼木も無事だった。これは秋に鉢上げする予定。それまで元気でいてほしい。
 

(仙人草)

 鉢上げした苗は枯れてしまって久しいが、家の裏の藪に自生している仙人草は健在だ。早乙女蔓などと共にたくさん花を咲かせていた。秋にはあのふわふわとした種になっているだろうか。
 

(ツマグロヒョウモン・雄)
(ツマグロヒョウモン・雌)

 ツマグロヒョウモンは結局、30匹ほどの幼虫がいたのだけれど、この暑さのせいなのか次々に息絶えてしまい、最終的に成虫になれたのはたったの3匹であった。しかも最後の1匹はわたしが能登に出向いているあいだにビオラ・ラブラドリカの葉を食べ尽くして、枝につかまっていた終齢幼虫。ラブラドリカにはじまり、ラブラドリカに終わるツマグロ育成活動であった。(ちなみに、ラブラドリカは新しい葉を出してきたので安堵)この秋も産卵に来るだろうか。願わくば、秋のうちに…と思うのは、こちらのわがままだろうか。

(サボテン・エキノプシス・カロクロラ)

 室内管理チームも、いくらか残念な報告をしなければならない。まずは大事にしてきたプリムラが枯れてしまったこと。この暑さでは無理もないとは思うが、能登の庭から鉢上げした苗だったので、残念だ。もうひとつは、名前のわからない多肉植物が枯れてしまったこと。葉挿しで順調に育っていたのに、唐突に枯れてしまった。これも暑さによるものか、あるいは水のやり方に問題があったのかもしれない。
 昨年の夏に調子を崩したモミジバゼラニウムも、今年は配置を変えてみたのだが、やはり葉焼けのような状態になってしまった。苗そのものはかろうじて生きているようなので、このまま様子を見る。
 一方で、サボテンたちは元気がいい。どの種類も新しい子株が出てきているので、これからがたのしみだ。植え替えた当初はしぼんだような状態でどうなるのか心配だった株も、今ではみっちりとしているから、不思議だ。特にトラブルなく子株まで育っているということは、水遣りの頻度も現状でいいということか。
 このほか、ビヨウヤナギやソケイなどが復活してきたり、昨秋の交換会で輿入れしたヒースのような植物が新しい葉を伸ばし始めたり、過酷な中でも秋の到来を察知して成長している様子。今後の展開に期待したいところ。
 このあとは途中になっている除草作業とタツナミソウの植え替えが控えている。ともかくも、この暑さが落ち着いてからだ。
 
 
 
[ロザリアンへの途…相性って、大事。]
 

(バーガンディーアイスバーグ)

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