ちいさな庭だより。2022年12月号。

[intro]
 とうとう雪も降って、いよいよ冬本番。一旦雪は融けたものの、庭はすっかり冬の佇まいとなった。植物たちにもわたしにとっても、新天地での一年をふりかえる。
 
 
[街なかの、裏庭より。]
 

(紅葉したスチューベンの葉)

 新たな場所でどんな庭になっていくか、期待と不安の入り混じった気持ちでのスタートだったが、過ぎてみると思っていたよりいろいろとチャレンジできたのではないか、というのが正直な気持ち。
 限られた広さで、土ではなくアスファルトのスペースで、という条件が、当初はマイナスイメージだったのが、手を入れていくうちにそうでもないかも、と思えるようになった。もちろん、植物たちにとってはコンテナ暮らしを強いていることになるので申し訳なさもあるけれど、こちらにとっては、コンパクトな状態でかえって観察しやすくなったのはプラスだと思う。
 

 
 難しそう、とか過去の失敗を繰り返したくない、という思いから手を出さずにいた睡蓮や多肉植物を迎えたのも、新しい展開だ。これはもちろん、恒例参加となった植物交換会の影響が大きい。睡蓮は既出の通り繰り返しよく咲いて、夏の間たのしませてくれた。多肉植物は、今のところハダニに少々ヤラれた程度で、その後は順調だ。先月仲間入りしたセダム・サクサグラレ・モスグリーンのポットにくっついてきた名前の分からない多肉たちも、葉挿ししたのが無事に活着したようだ。新しい芽が出てきたのでこれからがとてもたのしみ。
 

(シクラメン)

 先月鉢上げしたシクラメンも、まるで「だいじょうぶですよ」とでも言っているように、ちいさな新しい葉が顔を出した。花はまだまだ先かもしれないけれど、もうこれだけでもかなりうれしい。こちらも多肉同様に水のやりすぎに引き続き注意している。
 

 

 そういえば、ヒモサボテンの鉢に埋まっていた謎の球根も、芽が出てきた。まだ先端しか見えていないので正体が何なのか、さっぱり分からない。春になってのおたのしみだ。
 

(蛹化したツマグロヒョウモン)

 そして先月のハイライトからの続報、ツマグロヒョウモンたちのその後である。14匹のうち2匹が残念ながら命を落としてしまい、目下は12匹。そのうち4匹が蛹化した。残る8匹もみんな終齢幼虫、食べ盛りである。今季は冬越しできるように、とは思うものの、時期が時期だけに、食草であるスミレの葉がもうすぐ底をつきそう。できるだけのことはしてあげたいのだけれど…悩ましい日々だ。
 状況によっては園芸害虫とも呼ばれる彼らだが、スミレ科の植物しか食べないし(このことを先日知人に話したところ、「詩人みたいやなぁ」と言われたが)、蛹化がアクロバティックで毎回どきどきさせるし、向き合っているうちになんとなく、音沙汰がないとちょっと淋しいくらいの存在になっている。昨シーズンに引き続き、そして新しい環境でツマグロヒョウモンたちと年を越すことになるとは正直思わなかったが、ちいさな不思議な生きものとの暮らしもまた良いもの。まずは植物たちも虫も人も、無事越冬できますように。
 
 
[ロザリアンへの途…意外に休まない。]
 

(アイズ・フォー・ユーの蕾)

ここから先は

727字 / 1画像
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?