ちいさな庭だより。2022年5月号。

[intro]
 春の土用が明け、大型連休も過ぎて、あっという間に初夏。梅雨を目前に控えて、枝葉を繁らせている植物たちの姿が目にまぶしい。ときどき思いがけず真夏日になることもあり、うっかり日焼けしつつも水を撒いたり虫害のチェックをしたり。バラたちはハイシーズンを迎え、名前の通りちいさな裏庭でもそれなりにいそがしくなってきた。
  
[街なかの、裏庭より。]
 

(野イチゴ)

  以前よりずいぶんとコンパクトになったはずの庭なのだけれど、もともと置いてあった鉢も含めて数えてみたところ、100種を超える植物があることが分かった。ほとんどをじぶんで持ち込んでおきながら正直驚くやら呆れるやら。もう少し落ち着いたら植生のリストをつくりたいと思う。
 今月は恒例の草花交換会にも参加し、こちらにも15種以上の植物を交換に出した。おかげで旧宅の方はとりあえず玄関周りはこざっぱりとしている。
 旧宅について言えば、密かに期待していたイチジクは途半ばでうまく実らず。杏はどういうわけか1つ、数センチ枝がついて未熟な状態で落ちており、結実しそうなものは残り2つとなった。地植えとプランターのイチゴたちは実ったものの、熟したおおきな実から何者かに食べられてしまい、収穫には至らず。イチゴの種がいっぱいの糞や、マンネングサの上に寝そべったあとが見受けられたので、昨年話題にのぼっていたハクビシンが再来しているのではないかと思う。
 

(クランベリーの花)


 一方、街なかに生まれたこの新しい裏庭の方では野イチゴがせっせと実をつけていて、熟したものから順に収穫して冷凍した。ストロベリーポットに植えてある分のみなので、ジャムにしても一瞬で食べ終えてしまうほどだけれど、イチゴジャムをつくる、という作業はなんとなくこの時期のおたのしみなので、ちまちまと集めているところ。その他ベリー類ではブルーベリーが結実し始めている。ブラックベリーは結局古い鉢のまま、一旦新しい庭に持ってきて様子を見ている。目下はカイガラムシの被害も収まって、明るい緑の新芽をのぞかせている。クランベリーはようやく花を咲かせているところ。いつもより少々遅い気もするが、どうだろう。
 


 春の草花交換会は中旬と下旬に2つの会場で行われ、今回は両方に参加した。持ち寄る植物を交換するだけでなく、庭づくりのプロが会場にいてくださるので植え方の相談ができたり、育てている人同士で情報交換が和やかにできるのもうれしい。春の交換会は特に、これから庭をしつらえる人も多いので、静かにアツい感じがする(笑)。

(タツナミソウ)

 
 何より心地よく思えるのは、参加される人の多くが、お持ちになる苗を「ウチのコ」的に呼んでいるところ。苗のひとつひとつが、それぞれちゃんと生きものとして向き合ってもらえているのがいい。常連になると、過去の交換会でそれぞれが迎えた植物たちのその後なども報告しあったりして、終始あたたかい雰囲気。おいしいサンドイッチの販売やコーヒーのテイクアウトもあって、穏やかな良い時間が流れる。
 おなじみの植物はもちろん、今まであまりなじみのなかった植物の良さに触れて、育ててみようか、という気持ちになるのもいいところ。今回は手向山なるモミジや白のタツナミソウ、姫睡蓮(!)にアッツ桜、モミジバゼラニウムなど、わたしにしては少々レベルの高そうなラインナップを迎えた。彼らの様子をながめてはひとりニヤつく日々である。

(ツリガネスイセン)

 今月はおよそ半年ぶりに、祖父母の家の庭の手入れにも出向いた。毎回、こんなに長く何度も訪ねていながら、まだまだ見たことのない植物が育っていて驚く。今回はツリガネスイセン。球根で育つ植物のようなので、少し持ち帰って鉢で育ててみることにした。

(イタリアンパセリ)

 種を蒔いたものでは、イタリアンパセリやニゲラが発芽。交換会でいただいた和綿の種は、指示をいただいたとおりにしてみたが、2週間経ってようやくひとつだけ発芽、という状態。ここの環境ではあまり期待できないのかもしれない。もうしばらく様子を見てみることにする。こぼれ種で育ったパクチーは、薄いピンクのちいさな花から緑の丸い実に変身中。
 

 この時期はどうしてもハイライトが多くなってしまうので申し訳ないのだけれど、もうひとつ。昨年迎えたイワヒバ、3つある鉢のうちのひとつが一時枯れた(というより消えた?)ようになっていて、半ばあきらめていたのだけれど、転地療法効果なのか(笑)、復活の兆しを見せている。もともと生育には時間がかかると聞いているので、これはゆっくり向き合っていくつもり。このほか、室内管理の植物たちのこともいろいろあるけれど、さすがにキリがないので次号にあらためるとしよう。
 
 
[ロザリアンへの途…ハイシーズン、です!]
 

(ザ・ジェネラス・ガーデナー)

ここから先は

1,129字 / 4画像
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?