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『脱マウス最速仕事術』

本屋をぶらぶらしていたとき、赤い表紙と至極わかりやすい題名が目に飛び込んできて、思わずジャケ買いした。

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この本で言わんとすることは表紙と帯にほぼ書いてある。

ぼくは事務系の仕事をしていて、作業は基本PCというのもあって、ショートカットキー関連の本は数冊持っている。しかしほとんどが、ここを押したらこうなるよ、と紹介だけで終わっており、これならネットで調べても変わらんやん、と買うたび苦々しい思いをしている。

自分が求めているのは、体系的にまとまっていてキー自体への理解が深まるラディカルな本だ! と探していたところ、やっとこの本に出会えたのだった。

なぜここにこのキーがあるのか、ここでショートカットできたらどう得なのか、あえてショートカットキーを使う必要がないのはどんな場面か。

本書は痒い所に手が届く内容となっている。大事なのは、暗記しているショートカットキーの数ではなく、キー自体の理解、つまりキーの意味と役割の理解だという筆者の意見には、全面的に賛成である。

なにより「はじめに」の文章がいい。ショートカットキーについてここまでの熱意で語っている前のめりな本は見たことがない。いくつか抜粋してみよう。

ホワイトカラーの働き方改革は「指の動き方改革」があってこそ

自分の職場を見渡すと、指の動かし方が上手な人と下手な人の作業スピードを比べると、倍どころじゃない差が出ている。人手が足りない! と言う前に現有戦力の指の動かし方を改革すればいいのに、と常日頃思っている。

ショートカットキーは「キーとキーの組み合わせ」で構成されているものが大半です。その組み合わせのベースとなる1つ1つのキーの音色を理解して初めて、組み合わせである「和音=ショートカットキー」を奏でることが可能になります。

ずいぶん大げさな表現だが嫌いじゃない。ショートカットキーを奏でる、という表現にちょっと笑った。

①PCの作業時の生産性が圧倒的に向上する(時短)

②マウスが置きづらい場所でもストレスなく作業できる

メリットとして上の2つが紹介されているが、若干気になる。

①はいい。圧倒的向上である。気になるのは②で、そもそもマウスが置きやすい場所で作業したほうがいいのでは? と思ってしまった。たとえば電車とかで、パソコンをひざに乗せて作業せざるをえないような状況を想定しているのだろうか?

企業の生産性とは、社員一人一人の1秒の積み重ねで決まります。皆さんの人生の生産性も、この1秒の使い方の積み重ねで決まります。

こう言われると、マウスでぽちぽちやっていた自分が恥ずかしくなってくる。

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題名にもあるように本書は「脱マウス」について書いている。ここで注意してもらいたいのは、なんでもかんでもマウスなしでやればいい、というわけではないこと。筆者はマウスを使わない「脱マウス」の段階と、マウスへの依存度を減らしていく「マウスダイエット」の段階に分け、場面によってゴールを別に設定しているのだ。

試していくなかで分かったが、アプリケーションソフトを使っている際はショートカットキーが機能せず、マウスを使うしかない動作が出てくる。こういうときは「マウスダイエット」をゴールにするべきだと。あくまで目標は、マウスを使わなくすることではなくて、生産性を上げることである。


細かな内容を紹介していたらキリがないので、気になる方は本書を読んでもらうとして、ぼくがハッとした内容を以下に書きだそうと思う。

キーボードの四隅には非常に重要なキーが配置されています。

この一文を読んだとき「そうなんだ、どれどれ」と自分のキーボードを見てみたら「Esc」「ctrl」「delete」「矢印キー」となっていた。caps lockとかinsertとか絶妙に邪魔なところに配置されていて、「適当にキーばらまいてんのか?」と生産者を呪っていたが、どうやらそれなりに意味のある配置になっているらしい。

Ctrl=最前面のアプリ操作に使う

Alt=最前面のアプリのボタン操作に使う

Windows=使用中のアプリと関係なくウィンドウズそのものの操作に使う

このボタンとこのボタンを組み合わせたらこうなる、と丸暗記していたが、母体キーの機能によって分類することでいままでの記憶の整理に繋がった。

「AIt」は「Alternative」の略称だと言われています。

何百、何千回とプッシュしたボタンの元単語を知らなかったことにゾッとした。「オルトオルトオルト」と口にしていたこのキー、元がAlternativeだったなんて……たしかに「代替手段」の意味合い通りの機能を有している。


ほかにも本書には「そうだったんだ!」が溢れている。

本書をパソコンの脇に置いて何度も振り返りつつ、ショートカットキーの壮大なハーモニーを奏でられるよう日々精進していこうと思う(了)




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