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あぁもう、暇じゃなくたって会いたい


一目見たとき、胸の表面からふわっと花を咲かせるような感覚。一瞬にして身体中に根を張り巡らせ、枝を伸ばし、鮮やかな色が実る。
マッチ棒を擦ったその一瞬、勢いよく燃え盛る炎のような煌めき。
その対象が人間であろうとも、他のどんなものであろうとも、一目惚れというものは確かにある。
一心不乱に見つめ、目で追いかける。その人だけが、それだけが、周りの光を全て吸収してしまったかのような輝きを得る。目を奪われる。心を溶かされる。
真っ赤な炎の足元で揺らめく青。赤よりも燃えたぎる青。それは、一目惚れの先の如何なるものか。
恍惚か、執着か、綻びか。

想いは創られる。ありえなかったはずの想いは、気がつけば灯ることもある。
偶然の産物なのか、必然の奇跡なのか。どちらにせよ、得体の知れない奥深いところから沸々と身体中に滲み渡っていく。
好きになるはずじゃなかった人を忘れることができないし、夜もすがら語り尽くした人を大嫌いになる。
自分のどこにこの想いが隠れていたのか。それとも、無かったものが生み出されたのか。
もう、さよならをしようと決めていたというのに、あなたがいないと生きられない。
あなたさえいなければ、苦しいも憎らしいも眠れないも知らずに済んだけど、あなたがいなければ、嬉しいも愛しいも、やけに眠たいも知れなかった。
依存することがこんなにも怖いことだって、分かってた。教えてくれなくてもじゅうぶん分かっていたのに、あぁもう、暇じゃなくたって会いたい。
綺麗な海のさざなみも、部屋に差し込む一筋の細い光も、茜色に染まる大空も、一緒がいい。一緒がいいんだ。その瞬間には並んでいたいんだ。
心が狭くなったり広くなったりして忙しないけど、完璧にはなれないけど、泣くより笑っていてほしいから。だから、おやすみって抱き寄せてもいいだろうか。
今がそのタイミングじゃなかったら、あとで謝るから。今夜が最後じゃない保証なんて無いんだから、骨が砕けるくらいのハグをして眠ろう。
もう、どうしようもない夜に泣かないでさ、縋り合って生きていこう?
星矢一縷せいやいちるのこの想い、「いつかの日」まで閉まっておくよ。
ほら、顔をあげて。

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