試合編:こんなに違うん?アメリカと日本のラグビー
みなさんこんにちは!お久しぶりです。おおたけです。
留学生活も間も無く半年、time flies like an arrow(光陰矢の如し)ってまさにこのことか!って感じです。
さて今日は、日本とアメリカのラグビーの違い、特に試合について書いていきたいと思います!
実際にプレーしているからこそわかる、スタイルや運営方法の違いなどにフォーカスを当てていきます!
目次は
1.まるでお祭り?アップ編
2.実際に試合中ってどんな違いがあるの?
3.試合後のイベントは?
です。
さっそくいきましょう!
1.まるでお祭り!アップ編
アメリカのアップ(試合開始前)までの特徴は
(1) ワイワイ、ガヤガヤ、緊張感ゼロ
(2) 超短アップ
です。
(1) ワイワイ、ガヤガヤ、緊張感ゼロ
・集合開始は2時間前、その時間になるとロッカーに人が集まり始めます。(2時間前と言っても、もちろん時間通りには来ません・・・笑)
日本だったら試合に遅刻したらどんなに怒られるか、、と考えると大きな違いですよね。
・ロッカーに入ると
このようにユニホームが番号順に並べてあります。チームの総務、GM(日本でいうとマネージャー)がユニホームを並べます。
ちなみにソックス、パンツを洗濯するのはGMの仕事。試合会場でこれらは配布、回収されます。日本だと多くのチームが試合前日に配られるのでは?プロチームでなくてもこのようにソックスやパンツはチームが管理するのは大きな違いかもしれません。
またアップの時点からユニホームを着てしまうところも違うところかもしれません。
・音楽がガンガン。超騒がしいです。
こんなでかいスピーカーからアップテンポな音楽がガンガン。ここはクラブか何か?って感じ。1人で静かに集中しようにも不可能です。
試合までの時間はそれぞれ仲間と喋っていたり、音楽に合わせて踊っていたり。日本でやったら「集中しろ、試合前だぞ」と怒られてしまいますよね。
(2) 超短アップ
アップは試合開始の40分前からです。
3分間キャプテンやヘッドコーチが話した後、ダイナミックウォームアップ、パス、タックル、ユニット、合わせと流れていきます。
この辺りの流れは変わらないけれど、アップの時間の短さは異常ですよね。
実際試合開始5分前にはアップは全て終わっているので、30分ほどしかアップをしていないことになります。ワシントン大学ラグビー部に所属していた時もそうでした。
例えば日本の大学の試合前、感極まり涙を流しながら出て行く選手、いますよね。下のyoutube動画なんかいい例です。
でもアメリカでは絶対にそんなことはありません。
アップの少し前、キャプテンやヘッドコーチからのミーティングで、下のツイッターリンクのような真面目なお話はあります。
でもそれはそれだけ。真面目な空気になるものの、アップではみんな笑いながら楽しくアップしています。
アップでミスなどが起きれば「turn the switch on」とか言われたりはしますが、深刻さはない。
ここから思うのは、勝つ負けるっていう勝利への執念以前に、まず1人のラガーマンとしてラグビーを楽しむという意識です。
思えば、練習でも、タッチフットや競争など楽しむ要素が散りばめられていたり、週2回=ちょっと物足りない、練習に行きたい!って感じさせるようにしてあったりと、楽しむというところが重視されているところはたくさんあります。
2.実際に試合中ってどんな違いがあるの?
試合の大きな違いは
(1)プレー面では
・雑、でかい、早い、
(2)運営面では
・リスペクト、オーガナイズの少なさ
が挙げられます。
(1)プレー面に関して(言語から見る違い)
ここは既に
でたくさん書いていますので、ある程度割愛。
雑、全ては身体能力・・・。
しかし言語から見てもその違いは明らかでした。
例えば、SHがボールを出しやすいようにロングリリースして欲しい時。
日本なら「ロングリリース」とかの声がかかったりします。
でもアメリカではそれに適合する言葉はない。
もちろん直訳はできるけれども、試合の中でそういう声がかかることがないのです。つまり、ボールを綺麗に見せてSHが出しやすくするといったことまで気をつけたりはしないということです。
またパスをもらう時も日本なら「近め、深め」「遠め」「浅め」とか、細かくどこにいるかわかるようなコールもたくさんあります。
でもアメリカでは基本「I'm with you」=付いてるよ
たまに「inside」「flat」とかもありますが、近いのか、深いのか、浅めなのか、遠めなのかについてコールすることはほぼありません。
このあたりでもきめ細やかな日本のラグビーとのコントラストはよく表れているかもしれません。
(2)運営面では
・リスペクト、オーガナイズの少なさ
が挙げられます。
リスペクトを表す具体例には
・レフリーの呼び方はsir
・ラックで相手選手を起こしてあげる
・試合後はトンネルを作って、相手チームとハイタッチ
など
・Sirというのは男性への敬意を含む呼び方です。店でお客様に対してもつかうし、手紙やメールで「Dear Sir」と書いたら「拝啓」のようなニュアンスにもなります。
レフリーが変な判定をしていても、日本のようにレフリーにキレたりは滅多にしません。「今のノックオンありません?」くらいのニュアンスでやんわりと言います。
ちなみにゲーム後に一緒にビールとかを飲んでいると敵味方問わずレフリーへの悪口を言っている選手もいるので、判定自体への不満は持っているようです。
・またラックなどで選手が寝ている時は起こしてあげるし、ハイタックルをしてしまった時などは謝り、笑顔で許していたりもします。たまに乱闘はありますが、そういう時に投げ飛ばされるのは大抵体重の軽い僕です。笑
(起こしてあげたあとの3番同士)
(引っ張られて投げ飛ばされているのが僕笑)
選手の間に生まれる優しいやりとりもお互いのリスペクトを表しているものの一つです
・試合後は
このように一旦グラウンドで丸くなったあと
勝利チームが両側に分かれ、負けたチームを通します。
この時にも「good tackle」といって相手を褒めたり、試合中に揉めた相手には「Sorry about it」などと謝ったりもします。
・オーガナイズの少なさに関して
・ボールボーイやウォーターボーイなどがチームでは割り当てられません。16~23までの控え選手がやったり、メンバー落ちした人がその場で適当にやっていたりもします。
だから試合の最初のキック(コンバージョンやショット)のチャンスでは、ティーを持って行く人がいないっていうこともよくあります。
日本のマネージャーのありがたさを感じるのもそんなときです。
・ただその反面、我々のホームゲームでは得点時には音楽がかかるし、アナウンスもあります。
また日本の大学の試合でも春の大会などはタッチジャッジは控え部員だったりすることもありますが、こちらではどんな試合でも専門のレフリーが行うというのも違いの一つです。
ちなみにハーフタイムにはもちろん、水などを入れますが、
こんなグミを食べます。謎ですね。笑
3.試合後のイベントは?
試合後のイベントは基本的に日本と同じ。
主役は何と言ってもビール。
ただ、そのラフさが違います。
・まずロッカーで。
みんなで写真をとったり、お互い褒めあったり。
ちなみに試合の装備(ソックス、パンツ、ジャージ)は全て回収され、チームで洗濯されます。
・そのあとはアフターマッチファンクション
ただここにはいくつかの違いがあります
(1)名前はSocial **または **Post game function
(2) 服装は自由。チームのポロのが良いが、パーカー、サンダルもいる。
(3) ホームチームが食事を提供
(4) Man of the Matchはビール早飲み
です。
(1) に関しては日本で言われるAfter match functionとは言いません。
Post game functionとタイムスケジュールには書いてありますが、もっぱらSocialといいます。この言葉はclubに行く際にも使われ、人と知り合う場面をsocialということがおおいです。
(2)に関しては本当に自由です。
ポロシャツの選手も、パーカーの人もいます。
また日本では選手だけですが、こちらでは関係者皆が参加します。
右の写真で写っているおじいさま方は皆観客たち。もしかしたら昔チームに関係していたのかもしれませんが、少なくとも今関係している人たちではありません。そういった境界線のゆるさも特徴かもしれません。
(3) ホームチームが食事を提供
ここで出されるのは基本ご飯とビール。
我々の場合はピザ、アウェーのカナダのチームの場合はオバチャマ方がいつも美味しいご飯(カレーとかサラダとか)を出してくれます。
日本のように壁のある話し方ではなく、相手チームの人とかなり仲良く話します。これは数値的に言えるものではないですが、そもそもの言語の違いは大きいでしょう。
(4) Man of the Matchはビール早飲み
会も深まってくると、アウェイチームの主将が挨拶をします
そのあとDivision1からFW,BKのMVPをそれぞれ1名ずつ、premierからも1名ずつ出します。
同様にホームチームからも。
4名ずつ、計8名が並び、二列を作ります。そしてビールの早飲み対決。
コップ並々のビールを1人目が飲み終わったら2人目が飲めて、終われば3人目がという形。
これをホームとアウェーどちらが早く終わるかという競争です。
ちなみに勝つとこんな感じに盛り上がります。
ちなみにカナダのチームのクラブハウスは非常に豪華です。理由はわかりません笑
日本とアメリカでは大きな違いがあります。
もちろん試合の傾向やスタイルもそうですが、ラグビーに関わる人の精神性や試合後のイベントに至るまで。
両方経験した身として、どちらがいいか、甲乙つけるのは難しいです。
日本の学生ラグビーにあるような、一瞬の時間を大切にし、試合前の極限に緊張感が高まる瞬間は何事にも変え難いでしょう。そのような鳥肌の立つ瞬間はこちらでは少ないです。
しかしアメリカの深刻さを嫌い、楽しむことをベースにラグビーをしていく感覚もまた素晴らしいです。失敗を恐れず、何事にも挑戦できる環境、自分の持っている力をフルに出せるような場の力がそこにはあります。
繰り返すようですが、どちらがいいということはありません。
でも、日本に、特に部活動の環境に、ほんの少しでもアメリカの「ラグビーを楽しむ」という姿勢があれば、まだ眠っている才能が開く選手はたくさんいるのではないかとも思います。
今後とも色々と発信していきます。よろしくお願いします。
(サポートもよろしくお願いします・・・笑)