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普通のチョコブラウニーを10倍売った話

見せ方を変えると商品は売れる


みなさん、ブルボンの「濃厚チョコブラウニー」ってご存じですか?
値段の割に本格的な味でおいしいですよね。食べたことが無い方は是非一度食べてみることをおすすめします。ブラックコーヒーとの組み合わせは最高です。
こちらの商品、スーパーやコンビニにて1本108円で買えるのではないでしょうか。
私の店ですと、一週間で4,5本くらいは売れていました。

数年前、私の経営している小売店でこちらの商品を10円引きで売ろうということになりました。この10円引きセール自体は定番で、値引き期間中は2倍の10本/週くらい売れるようになります。でも、10円引きしても98円ですから、ディスカウントストアではいつもこれくらいの値段で売ってるんですよね。それなのに、10円引きの表示をするとお客様は何かに価値を感じて買って頂けるんです。そこで私はふと思いました。
お客様は「安い商品だから」買うわけではなく、「安そうな商品だから」買うのかもしれない。つまり、究極的には値段自体に意味は無く、表現方法に意味があるのかもしれないと思いました。

実験してみた


そこで、今回は表示を大げさにしてみて(明らかに安そうな表示にしてみて)、今までのセールとの違いを確かめてみました。
ちなみに、今までの販売方法は棚にPOPを差し込むだけでしたが、今回はA4のポスターにデカデカと値段を強調しました。再現すると下図のようになります。違いは目立つポスターを着けていたかどうかのみで、陳列方法やフェイス数(商品を並べる列数のこと)は一緒にしました。
※当時は税込表示義務付け前

結果

結果的に、なんと!一週間で125本売れました。いつものセールの10倍以上売れたんです。A4の紙たった1枚で・・・
98円×(125-10)=11,270円の売上を生み出したことになります。
正直言って、ここまで結果に差が出るものかと驚きました。だって、どこにでも売ってる商品ですし、値引きしたとしても相対的にそこまで安くはないんですから。
ただちょっとだけ「何か凄そうなことをやっているぞ感」を出しただけでお客様は「買わなきゃ」と思うわけです。でもこれって当たり前のことで、日用品の買い物で1品1品の値段を慎重に絶対評価して買うことって難しいですよね。なので私も普段は半額シールに引き寄せられてしまうのですが…。

教訓


今回の経験から、私は伝えることの大切さを学びました。
せっかく原価率を上げてまで安くした商品も、それがお客様に安いと伝わらなければ意味がありません。どんなにおいしい料理もそれが伝わらなければ誰も注文してくれません。
でも、伝えることって特別な技術はいらなくて、結局は伝えたいことを強調するだけなんです。何万円も使ってチラシを撒いたり大きな立て看板を用意したりしなくても、A4の紙1枚で変わることもあるんです。
もしこの文章を読んで頂いている経営者の方や店長さんのうち、「どうしてうちはキャンペーンをやっているのに売上が変わらないんだろう」と思っている方がいれば、表現方法をちょっと大げさにしてみるといいかもしれません。今回でいえば98円の文字を紙の半分以上使いました。
他にわたしのチョコブラウニーの話で工夫したのは遠くからでも目に入りやすい文字の色と大きさ、また、なるべく視線の高さにポスターを置くようにしたことです。

今回の方法が成功するかどうかは店の雰囲気や商材によっても変わってきますが、失敗してもA4の紙1枚とインク代だけなので、やってみて損はないと思います。

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