未熟
僕は天才というものに憧れる。
誰もがそうかもしれない。
でも天才じゃないと気づく日が必ずやってくる。
天才じゃない人は天才じゃないと早く気付けた方が切り替えてリスタートできる。
これは完全に個人的な意見だが、僕はそう思う。
僕は天才じゃないと気づいた時期は早かった。そういう意味では幸運だったのかもしれない。
一体何を言ってるのかとお思いだろうが、芸人になろうと志したものは、はじめの方、俺は天才じゃないか、この世の中で1番面白いと本気で思ってる奴がほとんどなのだ。
でもそれは学校や地域という狭い世界の中での1位であって、大きな広い世界を見ていないからだ。よしもとで言うとNSCに入った瞬間、自分が地方予選1位なだけだったんだと気づくのだ。いや地方予選すら勝ち上がってないことに。
僕がはじめてそれに気づいたのは、NSCに入る前年だった。
高校3年のときに同級生と飛び入りで出たお笑い大会で優勝した僕は、それこそ天才の顔をしていたのかもしれない。
その優勝特典でワッハ上方の舞台(今のよしもと漫才劇場)に立ったのが、僕の初舞台だ。
そのライブでは僕たち以外はほとんどプロの芸人が出演する。ビッキーズさん、フットボールアワーさんなど錚々たるメンバーが出ている中、僕はある漫才師を見て、衝撃を受け、自分は天才ではないと悟るのである。
その漫才師が、当時2年目くらいのプラス・マイナスさんだ。
こんなにも面白く上手い漫才師がいるのか、そしてこの人らと同じ世界に入ろうとしているのか、そしてこんなにすごいのにこの人たちですら売れてないのか、様々な感情が全身を走ったのを覚えている。
かくして僕ははなから天才ではないと確信した状態でNSCに入学するのである。
もう一つ、才能がないなと思い知らされたことがあった。
それはよしもと漫才劇場がまだ5upよしもとだったころ、僕たちはその2軍メンバーにいた。
その2軍メンバーに新星のごとく現れたのが、粗品という19才のピン芸人だった。
いわゆる笑いの天才を具現化したような存在。明らかに才能が抜きん出ていた。
粗品は勢いそのままにMBSオールザッツ漫才を最年少で優勝してしまう。
しかし、彼はあっさりとピン芸人をやめ、コンビを組む。霜降り明星。
粗品もよくテレビで言っているが、コンビを組むとき色んな人に反対されたと。その一人が僕だ。
オールザッツを優勝して、すぐにそれをやめコンビを組むのは自分の思考では考えられなかった。でも粗品はせいやの才能に気づいていた。
僕はせいやの才能に全く気づけてなかった。
僕は人を見る才能もない、自らの才能もない。
でもこの世界にはかろうじて存在している。
自らの最後の才能はきっと、
続けるという才能。
はたしてこのnoteを書く作業はいつまで続くのでしょうか?
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