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仕事帰りの飲み会の効用

私が若かったころは、仕事帰りによく上司や先輩、同期どうしで飲みに行っていました。仕事がうまくいった話をしては先輩から「調子に乗るな」とたしなめられたり、失敗した話をしては「大したことない」とはげまされたりしました。今となってはなつかしい思い出です。

仕事帰りに飲みに行って仕事の話をすること

仕事帰りに「飲みに行って仕事の話をする」ことについてはさまざまな意見が言われていますが、私は、キャリアという観点で見てみると、ある重要な役割を果たしていたと考えています。
人は、体験したことを自分の中で意味づけします。例えば、仕事がうまくいけば「自分はやればできる」と意味づけたり、失敗すれば「自分はダメな人間」と意味づけたりします。
人は、自分ひとりで意味づけをすると、自分の既存の意味づけを強化してしまいがちです。例えば仕事で失敗すれば、「自分はやっぱりダメな人間」と意味づけ、ネガティブなスパイラルにおちいってしまいます。
これに対して他者と話をしながら意味づけをすると、他者の異なる視点に気づき、自分の新たな意味づけが生まれ、自分の意味づけが拡大していきます。この意味づけの拡大こそが、自分の内面の成長になるのです。
「飲みに行って仕事の話をする」ことは他者と話しながら意味づけをすることであり、自分の内面の成長のきっかけの一つであったと考えられるのです。

しかし、近年、仕事帰りに上司と部下や先輩後輩、同期どうしで飲みに行くことが減っていると言われています。特にここ3年は、新型コロナ感染症の影響で、在宅勤務やオンラインミーティングが広がり、同僚との話は仕事の進捗状況や課題についてなど必要最小限になっています。
そのため、他者と話しながら意味づけをする機会がなくなり、内面の成長が進まない状況になっていると考えられます。そして、この状況がこのまま進んでしまうと、個人にも組織にも大きな悪影響が出てくると思います。

ウイズコロナの時代の解決策

ウイズコロナの時代、そして今の時代の価値観の中で、「飲みに行って仕事の話をする」ことがこの問題の解決策とはならないでしょう。まずは、勤務時間中に他者と話しながら意味づけをする機会をどれだけ持てるかが重要になります。
キャリアの視点では、その機会を自分で作り出す工夫をすることが必要です。その方法として例えば、上司や先輩や同僚に声をかけて、自分の体験のふりかえりを手伝ってもらう「キャリアトーク」があります。また、マネジメントの視点では、上司や先輩が部下の話を聞く機会を作り出す必要があります。その方法として例えば、上司と部下が一対一でミーティングする「One on One」があります。
どちらも、構造は同じす。そして実施する上での最大のポイントは、どちらも、10分や15分という立ち話程度の手軽さで実施することです。

余談ですが、One on Oneが短時間ということに違和感がある方がいらっしゃるかもしれませんが、One on One発祥の米国シリコンバレーのITベンチャー企業では、実際に、週1回程度の短いサイクルで、1回15分から30分程度と短い時間で実施されています。

自分の意味づけの拡大を意識して、自分のキャリア自律や、部下のキャリア支援、コミットメントの向上につなげていきましょう。

吉田善実


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