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ピカソの逸話から考えるクリエイティブな仕事の価値(ピカソその2)

前回
「ピカソの示唆する時間の価値、労働の対価」の中で、ピカソの逸話を紹介しました。

一応再掲しておきます。

すでに世界的な名声を得ていたピカソが、ある日、マーケットを歩いていると、一人の女性が近づいてきて、ピカソに一枚の紙に絵を描くようにお願いしたそうです。
「ピカソさん、私あなたの大ファンなんです。この紙に一つ絵を描いてくれませんか?」
ピカソは彼女に微笑んで、たった30秒ほどで小さいながらも美しい絵を描いたそうです。
そして、彼女へと手渡しこう続けます。
「この絵の価格は、100万ドルです」 と言って、女性は驚きました。
「だってこの絵を描くのにたったの『30秒』しかかかっていないのですよ?」
ピカソは笑います。
「30年と30秒ですよ」

女性の絵を30秒とは言わないから1分くらいで描けそうな感じでラフに描いて!
とAIに描かせました

なんらか受託の仕事をした人なら経験あると思いますが、仮に仕事が30秒で終わったとして、それに50万円とか100万円とか請求できますか?
それなりの巨匠とか大先生なら別ですが、難しいですよね。
仮に「私単価が高いんです!」と言っても、30秒だとだとさすがに厳しいですよね。
でも、価値があるならそれは請求すべきところ・・・

ピカソの話から学べる最初の教訓は、スキルと経験が、見えない形で価値を生み出しているということですよね。
例えば映像やクリエイティブ業界における下請けや制作会社は、日々、この「見えない価値」を提供しているはずなんです。
クライアントが見落としがちな、磨き上げられた技術や豊富な経験がきっとありますよね。

それに、誰もが経験あると思いますが、知識や経験の浅いクライアントの場合、プロジェクトが完成するまでの背後にある膨大な作業量や、課題、それを可能にするための解決策が見えていない場合がありますよね。そもそも何にどれだけお金がかかるかをわかっていないという感じの方々。仕方がないんですけど、たくさんいますよね。
ピカソの「30年と30秒」は、一見簡単に見える作業も、実は深い知識、技術、経験に支えられているということを示しているんですよね。

あまりわかっていないクライアントが、わからないまま気軽に強気でオーダーしてきたりするとき、なかなか大変ですよね。
でも私たちは「プロ」として、そのオーダーを成功させるに、あれやらこれやらクライアント側が気がついていないさまざまな課題や、それを乗り越えるための解決策をアレコレ考えなくてはなりません。
それは30秒ではなく30年という年月や、成功だけではなく失敗を重ねた経験と努力による価値なんですよね。

ということで、クリエイターや、エンジニア、またはなんらかの制作物を納品する仕事をしているなら、その納品物の価値は、その作成にかかった時間ではなく、持つスキル、経験、そして作品に込められた深い考えによって決定されるべきであって、適正な報酬になるように、理解を得たり、交渉する必要があるということなんですよね。

翻って私たちも気をつけなければなりませんよね。
見た目以上の価値や、目に見えない努力を理解し、それに対して適切な価値を認めるていけるように、気をつけないといけないですよね。

価値が理解されない時、自分たちの能力が足りないのか?と思う時がありますよね。
その時に、仮に自分でまだ能力が低い、、、と感じるなら、
その「低い」という自己評価も、成長の一歩かもしれません。

ピカソの話に学ぶなら、彼の絵が「30秒」で描かれたように見えても、その背後には「30年」の努力と学びがあるわけです。
30年間の最初の1年目で今のピカソレベルになっていたのであれば、数ヶ月と30秒でしかないです。
今の私たちは、これまでの数十年に加え、まだ数十年積み上げて価値を出していけるかもしれませんから。
小さな成功、小さな改善を貯金として積み上げていきましょう!


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