見出し画像

コードが書けないQAもハッカソン出たらええ

QAエンジニアの皆さんはハッカソンに参加したことがありますか? 私は先日、Qiita Hackathonの予選大会で、初めてハッカソンに参加しました。

自分はコードも書けないしデザインもできない、純粋にテストを職能としてきたQAエンジニアです。しかしそれでもハッカソンに参加し、なんとか貢献できることを探して、ハッカソンを楽しむことができました。

今回は、特に開発スキルを持っていない自分が、それでもハッカソンに参加してみた体験記をお届けします。


開発スキルはないけど、ハッカソン出てみたい

ハッカソンってなに? という方のためにご説明。ハッカソンとはハックとマラソンを掛け合わせた造語で、開発者らがチームを組み、あるテーマに則った開発を一定期間内で集中的に行い、その成果や技術力を競うイベントです。

今回参加したものは、エンジニアコミュニティのQiitaが主催するハッカソンです。約70チーム、200名超の人数が参加した、ハッカソンとしても国内最大規模のものです。

チームメンバーのうち2人はハッカソンに何度も参加している歴戦の士。今回もその2人が参加するにあたって、社内で追加メンバーを募集していたのがことの始まりです。

(↓メンバーの以前の活躍はこちらのインタビュー記事からご覧いただけます)

そこに新卒1年目のPdMと、「ハッカソン、なんか合宿みたいで楽しそうやんけ~」と何もできないが故に呑気な私が名乗りを上げて、われわれチーム・エニッツは4人で出場することになりました。

私以外のメンバーは、それぞれ開発スキル、デザインスキルを持っています。開発スキルがハッカソンのチームに必須であるのは言うまでもありません。そしてデザインスキルについても、UIデザインやプレゼン資料の作成などで重宝されます。

そんな中、QAエンジニアであるこの私。この世には開発経験があり、ゴリゴリにコードを書けるQAエンジニアも存在しますが、私はそうではありません。

テストや品質改善が主な職能です。しかし今回は2日の開発期間ですので、まともなテストを行う余裕がないのは初参加の自分でも分かります。

参加表明した際には「賑やかしで参加しますね!」と冗談半分に言っており、「ありがたいです~」と優しい言葉をかけてもらったりもしました。しかし、実際のところ自分に何ができるのだろう……と不安に思い、いろいろとイメージをしてみました。

テーマから企画のアイデアを出すことは、私にもできるかもしれません。ファシリテーションもできますが、PM経験豊富なメンバーがいるので自分は不要。しかし要件の整理をする必要があれば普段のように仕事ができるカモ。

うーんやれること、なくはないのか? そんな調子で心構えだけ行い、本番に臨みました。さて、私にはいったい何ができるのか……!?

びっくりするほど、なにもできない!

蓋を開けてみれば、想像していた以上になにもできませんでした! なんてこった。

まずはハッカソン開始直後のアイデア出しにおいて。私たちのチームは企画をしっかり練るよりも、着手を早めてクオリティーを高める戦略を取ることにし、アイデア出しとブラッシュアップにはそこまで時間をかけませんでした。

頑張ろうと思っていたところですが、短時間だったことと、どういったものが開発可能なのかの理解度も浅い中で、自分からはあまり良いアイデアを出すことはできませんでした。

採用されたアイデアはハッカソン経験者のメンバーが出したもので、「つながり」というテーマを「ツナが利」と読み「ツナ缶を物々交換するためのアプリ」を作るという冗談のようなアイデアでした。

しかし、このようなネタ的なアイデアもハッカソンではよく見かけるイメージがあったので、良さそうと思われました。

プレゼンではアピールできなかったが、ツナ缶がオイルランプになることから
「災害時の物々交換に」というのが当初コンセプトにはあった

企画が決まると、ざっくりとした要件だけ話して、それぞれのメンバーはすぐに手を動かし始めました。

おおっと、このままでは認識のズレが生まれてしまうのでは? これは活躍のチャンスかも! と意気込みながら、自分はツナ缶交換アプリの要件について整理しはじめました。が、徐々にソレジャナイ感を覚えるようになりました。

というのも、「みんなで1つのものを作ろう!」と認識を綺麗に揃えるよりも、ゆるい認識の下でそれぞれが作れるものを作り、多少の違いも即興で受け入れつつ作るほうが、結果的に想像を超える面白いものができるのでは? と感じたからです。

この考え方が合うかどうかはチームによって異なるかと思いますが、少なくとも私たちのチームの場合は、それぞれで自走できるメンバーでかつ個性も強かったので、下手な認識合わせはその強みを損なうことになりました。

無理にあれこれやろうとしても他の人のリソースを奪うだけになってしまうので、「必要ないなら、それならそれで……」と割り切りながら、メンバーの作業を見守ることになりました。

イチオウシゴト、チョットアッタ

ただ、プレゼンという大仕事がまだ残されていたので、そこはせめて自分がやろうと任せてもらいました。メンバーが安心して個々の作業にリソースを使えるよう、自分は初日のうちからプレゼンの準備に取りかかりました。

発表はきっかり3分、過ぎると強制ミュートという厳しい条件。審査項目も公表されており、全ての項目を時間内に網羅できるプレゼン内容を考える必要がありました。そんな中で、案外これはQAに適任の役割かもしれない、と気付き始めました。

作られているものがどのようなものかを客観的に理解する。散逸した情報源から必要な情報を集めて整理する。そして品質、つまり提供しようとしている価値を言語化する。プレゼンのためのこれらの作業は、QAエンジニアとして普段行っていることに極めて近いものがありました。

いま作っているプロダクトがどういうものなのかを自然言語で表現し、理解しようとする

また、プレゼンのための工夫として2つ、GIF画像の採用と、明るいトーンの作成を行いました。

GIF画像はプロダクトが動く様子を見せるのに使いました。厳しい時間制限の中で、撮影した映像をそのまま見せると、再生・停止の作業ぶん、持ち時間をロスしてしまいます。シームレスなデモンストレーションにgif画像を使うのは効果的でした。

そしてトーンの工夫は、ネタ的なアイデアをより魅力的に伝えるためのものです。明るくコミカルなプレゼンになるように作ったことで、他チームのプレゼンの中でも目を引くものにできました。

本番で使用したプレゼンスライドはこちらです。構成の大枠と台本を自分が作った上で、最後にデザインを入れてもらいました。

工夫の甲斐あってか、なんとわれわれチーム・エニッツは見事、予選通過となる上位チームに選出されました! 

レベルの高い作品が多く、予選通過できるかどうかはかなりギリギリだったかと思います。その中でも、プレゼンで評価を得られたところは少なからずあったのではないかと感じています。

多くのチームがプレゼンにリソースを割くことができていない印象でした。実際、3分の制限時間に収められず、強制ミュートを食らうチームも多々ありました。そんな中、プロダクトの魅力を制限時間内にきっちり収めて提示することができたので、この点は勝因の1つと言えるかと思います。開発経験のないQAエンジニアであっても、このような形でハッカソンで活躍できるのです!

QAもハッカソン出たらええ

もちろん、一番苦労したのは夜を徹して手を動かし続けていた他メンバーですので、自分は全く頭が上がりません。ですが、プログラミングもデザインもできないQAエンジニアでもハッカソンで役割を持つことができた! というのは大きな喜びと発見がありました。メンバーからも「開発以外のところで動ける人が一人いるだけでかなり助かった」と言ってもらえ、ウォ~なにもできない~と思っていた自分としてはかなり救われた気持ちでした。

その後の本戦については、日程が祖父の米寿祝いと被ってしまったため、私は欠場することとなりました。代わりのメンバーに入ってもらっての本選の結果、チーム・エニッツは見事「Findy 挑戦するエンジニア賞」を受賞しました! 現地にいられず残念でしたが、おめでたい!

今回のハッカソン参加を経たことで、次はもっと貢献できる! という自信がつきました。機会があれば、是非またハッカソンに参加したいです!



そんなわけで、QAエンジニアであって、ハッカソンで役割を持てるし、楽しめるよ! というのがこの記事でお伝えしたかったことです。

自分と同じように「コードが書けるわけでも、デザインができるわけでもないから」というので、興味があってもハッカソンを敬遠しているQAエンジニアは少なくないのではないかと思います。

開発のできる他メンバーが揃っていることが前提にはなりますが、そんなチャンスがもしあれば、ぜひ勇気を出してハッカソンに参加してみてください! きっと大きな学びを得られると思います!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?