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中古高機動車再利用が安全保障上の脅威だと騒ぐ軍事的幼児性


9月17日付けの読売新聞が「陸自の高機動車流出、日本に「逆輸入」された車両も…自家用ナンバー交付」と報じて話題になった。
陸上自衛隊の防衛装備品である高機動車が海外に流出した問題で、海外から日本に「逆輸入」された車両もあることが、読売新聞の調べでわかった。解体して輸出後に現地で再び組み立てられた車両とみられ、2両の現物を記者が確認した。高機動車が逆輸入された場合、自衛隊車両への偽装など、安全保障の観点でリスクが生じる」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230921-OYT1T50274/

またこの記事の読売新聞の9月21日の続報では、
「陸自の高機動車海外流出、幕僚長「出回った車両の駐屯地への侵入が懸念される」では、「陸上自衛隊が売り払った高機動車が海外に流出した問題で、陸自トップの森下泰臣・陸上幕僚長は21日の定例記者会見で、「解体、破砕がされていないことは重大な契約違反だ。陸自車両が出回ると、それを用いた駐屯地への侵入などが懸念される」と述べた」
と報じている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230916-OYT1T50275/

この件では小野寺五典元防衛大臣も安全保障上の重大な問題だとX(Twitter)で発言している。再生された高機動車がロシアに輸出され、ウクライナ戦でも使用されているという報道もある。

 だが率直に申し上げて、軍事的にいえばこんなことを針小棒大に大騒ぎするのは日本の防衛当局とメディアぐらいだ。高機動車は所詮ただのオフロードトラックに過ぎない。高機動車のメーカーであるトヨタが世界中に販売しているランドクルーザーや、ハイラックと大差はない。軍事機密も、安全保障上の問題も存在しない。
 このようなことで大騒ぎをするのは、日本の軍事的センスが外国からみれば異様に幼稚であると自己宣伝しているに等しい。
 諸外国では使える軍用トラックは民間や外国の軍隊に払い下げている。当然売上は国庫にはいっている。これをあたかも軍事機密の塊のごとく扱って、費用やコストを掛けて、使えないようにしてスクラップとして払い下げるのは単なる税金の無駄使いでしかない。 更に申せばこのような感覚では政府が旗を振っている武器輸出振興など成功するわけがない。また欧米では軍用のハンヴィーやランドローバー、Gワゴンなど軍用4x4が販売されているが特に問題になってはいない。

再生された車輌を使って駐屯地への侵入が危険だと本気でいっているのだとしたらの森下泰臣陸上幕僚長はセキュリティの概念すら理解できないことになる。何のためにゲートで車両に対して誰何をしているか。
大臣以下幹部用の公用車含めて防衛省、自衛隊では多く民生用の車輌を使用している。また出入りする民間業者も当然ながら民生品の車輌を使っており、自家用車で通勤している隊員もいる。それらを偽装すれば駐屯地への侵入は容易、ということになり使用を禁じていなければならない。
だが実際は防衛省や自衛隊では普通に一般車両を使用している。森下陸上幕僚長や小野寺元防衛大臣はこれに違和感を持たないのだろうか。そうであればすべての防衛省や自衛隊に出入りする車輌を専用に開発して使用しなければならない。

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