見出し画像

記者クラブ会員の新聞に防衛調達の記事は書けない。


以下の記事は例によってですが軍事や軍事産業、更に申せば経営の知識のバックグランドが記者にないために何を言いたいのかわからない記事になっています。
ラーメン食ったことも、ラーメン屋に入ったこともない人間が、傾いたラーメン屋の立て直しを提言するようなものです。

小説一度も呼んだことがない人間が小説の書評を書くようなものです。

本日がわかっていないからそれらしい人たちの話を聞いて記事にしているだけです。ですから、問題の本質を理解していない。本質や問題点を理解する基礎的な知識が欠如しているのですからマトモな結論に達するはずがない。

せめて軍事関連の記事を記者はJDWなど海外の専門誌を何年か購読して、年に数度は海外の軍隊なり見本市を取材させるべきです。

日本の防衛産業も防衛省も自衛隊も、軍隊や軍事産業の常識を知りません。世界から隔絶したガラパゴスのような孤島に生きております。
例によって下品で恐縮ですが、AVやフランス書院の小説読んでばかりいる童貞に、3Dのおねいさんの口説き方を教わって記事を書くようなものです。

本質は防衛省、自衛隊、政府に軍事と軍事産業の常識がなく、防衛産業が産業であるという認識がないことです。


ヘリ1機100億円増、防衛装備品の高騰続々 背景に円安や資材高
https://digital.asahi.com/articles/ASS4864ZSS3HULFA038.html?_requesturl=articles%2FASS4864ZSS3HULFA038.html&pn=7

>防衛装備品が軒並み高騰している。2024年度当初予算の主な装備品の購入価格と、19~22年度の平均価格を比べると、約1・5倍に膨らんでいることが分かった。歴史的な円安や資材の高騰などが原因だ。政府は27年度までの5年間で、防衛費を大幅に増やして総額43兆円程度にする計画だが、枠内に収まるかは分からない。

>防衛省によると、隊員や物資の輸送に使われる大型輸送ヘリCH47(チヌーク)の場合、19~22年度の平均価格は1機あたり76億円。それが、予算では陸上自衛隊保有分が176億円、航空自衛隊が196億円となり、2・3~2・5倍に膨らんだ。

>日本海域を監視する固定翼哨戒機「P1」も、部材の高騰などで1・45倍となる325億円に価格が上がっている。リチウムイオン電池を搭載する最新型の潜水艦「たいげい型潜水艦」は、1・34倍の950億円で、製造に使う鋼材や半導体などの上昇が響いた。
>7種類の価格は平均で47%増えた。これ以外の装備品も値上がりしている。

P-1に関しては、何度も申し上げていますがあまりににも不具合が多くて、頻繁に作り変えていることも原因です。その原因の一つはエンジンですが、数の少ない専用エンジンを搭載すると間抜けなことを決めたからです。ぼくは開発時から悪手だと申し上げてきました。更に申せばカヤバが撤退して油圧計の調達先などの変更も理由でしょう。

潜水艦では二社体制が癌です。設計はMHIがやっているのに、製造はMHIとKHIの隣り合わせの造船所でやっている。それぞれぶら下がっているベンダーも異なる。コスト削減ができないのは当たり前です。


>背景にあるのが、円安や資材の高騰だ。為替は足元で1ドル=150円を超え、19年の110円程度と比べると大きく円安が進んでいる。海外製を輸入する際の支払いが増えるほか、国内で製造する装備品は部品を輸入に頼ることが多く、価格が上ぶれする。

これもおかしい話です。確かに円安、それにここでは触れられていませんが、外国の方がインフレ率も高いことは要因です。ですが、例えばチヌークでは一昨年韓国が輸入したものよりも遥かに高くなっています。本当に円安だけが原因だけなのか?コンポーネントは全部輸入しているわけでない、そして工賃は日本の方が米国よりも安い、それでなぜ米国製より高くなるのか。そのあたりを取材すべきです。せめて米軍の調達単価は調べるべきでしょう。

>さらに、装備品の調達方法が、価格を押し上げている面もある。装備品は、メーカーの販売先が政府などに限られることから、製造にかかる原価に一定の利益を上乗せする仕組みが採られている。物価高でも利益が確保できるよう上乗せするため、価格の抑制がききにくいとされる。

後述しますが、その「調達方法の問題」を記者等は理解していません。

>価格の上昇は、防衛予算の柔軟性を縛ることにもなる。他の調達品に比べて高額な装備品は、ある年度に購入したものを一括で支払うのではなく、複数年度にわけて支払っていく。購入額が膨らむと、翌年度以降の支払いも増え、その分、必要な要員を確保できなかったり、装備品の修理費にしわ寄せがいったりすることにつながる。

いつも申し上げているように、調達数、調達期間、予算を計画で決めて議会に提出して、予算がおりたら契約するという他国ではどこでもやっていることをやっていないからです。
例えば40機調達するとして、毎年10機づつ生産するならばメーカーも予定は立てやすいし、部材をまとめて調達することもできます。
これでは事業計画が作れるわけもなく、メーカーは損をしないために、多めに原価を要求しているからです。20年以上この点を指摘していますが未だに新聞記者には理解できないようです。海外の取材の経験がないからでしょう。それでも専門誌を購読すれば理解できるのですが。

>政府は2024年度に17機を導入する計画で、直近でチヌークを調達した20年度と比べて1機あたり2・5倍ほど高くなった。財務省が例にあげた装備品の中でも、上昇率は群を抜いていた。
>なぜここまで膨らむのか。財務省の資料によると、陸自ヘリの増額分109億円のうち、まずは円安や輸入部品の高騰が30億円程度となる。防衛費は23~27年度で総額43兆円に増やす計画だが、想定為替は1ドル=108円。いまは150円まで円安が進んでおり、コスト上昇圧力になっている。

そもそもでいえばヘリメーカーが多すぎる。3社にまんべんなく仕事を振って、仕事を維持するならば細く長くになります。それは高コストなるということです。
将来性がないメーカーを維持しているからです。日本のヘリメーカーが自立することは今後ありえません。また独自の優れたヘリを開発する能力もありません。特にチヌークのような大型ヘリを開発する能力はありません
顧客はほぼ防衛省だけで、警察や消防からもそっぽを向かれています。当然事業規模も小さいから研究開発費も少ないわけです。税金という胃ろうで生きながられているようなものです。
であれば輸入に切り替えるべきです。それかヘリメーカーを1社に絞って他国との共同開発をベースにすべきです。

>さらに審議会が問題視していたのが、調達制度に関わる高騰だ。上昇分は20・3億円にのぼる。装備品の調達価格は、製造にかかる原価に、利益を入れた一定の経費率をかけて算出する仕組みだ。これだと、物価高や円安で原価が膨らむほど調達価格も上がる。利益率は一定なので、メーカーにとって調達価格が上がるほど利益が増えることになる。

審議会にも軍事産業を理解している人はいません。ですから根源的な問題点を理解していない。出された資料をみて評論しているだけです。
このような現状で利益率を8%から13%に引き上げれば、更に高コスト体質になります。なんの努力もせずに、国が利益を増やしてくれます。だれがコスト削減の努力をしますか。


>昨秋の審議会後の記者会見で、増田寛也・財政制度分科会会長代理は「今の調達制度だと、価格を下げるインセンティブ(動機)が働きにくい」と指摘。財務省は、防衛装備庁に原価の監査の徹底や、過去の部品価格と比較するシステムを使って価格を抑えるよう求めた。

>防衛省が2月に立ち上げた防衛力の抜本強化をめざす有識者会議。座長の榊原定征・経団連名誉会長が「43兆円の枠内で、求められる防衛力の強化はできるのか。現実的な視点で見直す必要があるのでは」と発言すると、自民党の国防部会でも「柔軟に考えるべきだ」との声が強まった。

これまた「有識者がいない有識者会議」という不思議な会議です。当然問題の本質を理解してません。彼らは防衛省や自衛隊や国内メーカーはら話を聞くだけなので「洗脳」されているのですが、その自覚がありません。

対策は大きく3つです。
1, 数、調達期間、予算を計画で決める。そのためには情報公開が必要ですが、防衛省や自衛隊は隠蔽が大好きなのでそれを嫌います。
2, 事業の統廃合。零細規模のメーカーを整理して事業希望拡大。
3, 輸出によって市場で産業とは何かを「教育」してもらう。



>防衛省は、契約のまとめ買いを進めるなどして価格を抑えたい考えだ。しかし、経済官庁の幹部は「このままでは、43兆円の枠を超えるのは明らかだ。枠内に収めるには、合理化だけでなく、装備品の数の削減など抜本的な対応が求められる」と漏らす。

まとめ買いしても無理です。過去まとめ買いは何度もやっていますが、効果はでていません。それはそもそもの計画がないからです。財務省と防衛省の高レベルではマトモな調達計画を作っていく方向で話は進んでますが、現場レベルでは全然だめです。アブノーマルをノーマルと信じ込んでいるわけです。

>これに対して、ある防衛関連企業の幹部は、すでに見込んだ分から数が減らされれば、調達や製造にかかる1品あたりのコストは逆に増える可能性があると主張する。「今から減らすと言われても、その分高くなる。政府側に(43兆円から)上積みして下さいと伝えている」

未だにこんな幼稚なポジショントークのコメント乗せるなよ。そんな要求するまえにあんたの業界の事業統合が先だろうが。そういう苦い薬を飲むのがいやで、ケーキ食いたいといっているような間抜けなコメントを熱心にメモ取って記事にしているだけです。

率直に申し上げて勉強不足です。シロウト記事を書いていいならば、中学生の新聞部のっ記者でも書かせればいい。防衛記者クラブで口開ていれば、防衛省が餌をくれるから、デスクでじっとしているだけでしょう。

防衛産業も自動車産業や外食産業と同じく「産業」です。その当たり前の事実を理解できないからトンチキな記事を書いても疑問に思わないのです。

■本日の市ヶ谷の噂■
カスタマーが日本オンリーで、将来近代化でも延々とロッキード・マーチンの言い値で近代化を行い、近代化の単価も高くなるので金食い虫のお荷物確定で、海自の戦力を下げること決定のイージスシステム搭載艦だが、NSSやそのOBの元防衛事務次官等が中心となって、3隻目のイージスシステム搭載艦の調達を画策している、との噂。


東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
航空専門医がいない空自に戦闘機開発はできない
やる気のある医官が次々に辞める自衛隊の内情
https://toyokeizai.net/articles/-/744651


月刊軍事研究4月号に陸自の18式防弾ベストに関する記事を寄稿しました。


軍事研究 2024年 04 月号 [雑誌]

Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
https://japan-indepth.jp/?p=81695

次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1
駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
https://japan-indepth.jp/?p=81667

ここから先は

0字

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?