法規制も見直さず、火の出る玩具の大人買いで防衛が強化できるのか?


年末の政府予算案の策定に向けて、防衛費の大幅増額を政府も与党も主張しています。それは国債発行による借金軍拡の主張から、適正な財源の裏付けが必要だというものまであります。

ですが不思議なことに以下のことについて主張する議員、そしてメディアはありません。
それはいつもぼくが述べている、防衛省、自衛隊の乱脈を正すということ。
それから、これまたいつも申しておりますが、自衛隊を縛る法規制や各種の制約の見直しです。
こういってはなんですが、「火の出る玩具」を買えば防衛強化ができると信じているのは政治家やメディアとしては精薄であります。

小泉内閣では「有事法」「国民保護法」が成立しました。これはそれまでの法令は触らないことにしようという宿痾のある我が国では画期的な法整備でした。自衛隊は私有地や公有地では塹壕を掘ることも、野戦病院を使うこともできませんでした。この改正でこれらが可能になりました。

かつて来栖統幕議長の「超法規発言」が問題になって以来の大改革でした。
それまで有事の法整備など考えなくて良い、というのが与党自民党の姿勢でした。その場合、戦時になれば自衛隊は法を守れば侵略を傍観せざるを得ず、国を守ろうと思えば、犯罪集団になるしかない、という実態がありました。

それが「法治国家」を自称する我が国でまかり通って来たわけです。

「有事法」「国民保護法」は大きな変化となりましたが、それでもごく一部です。ところがその後の政権は民主党も含めて、自衛隊を縛る法律や規制の見直しをしてきませんでした。


いやしくも国会議員が火の出る玩具買えとか、自衛官増やせとかまるで程度の低い軍オタレベルの思いつきを、あたかも政策の如く主張するのは大変問題だと思います。ご自分が軍事の素人だと宣伝するに等しい。

そういう人たちに限って、自衛隊を縛る規制に関しては無視しています。
無線や無人機の周波数帯が軍用に向かない問題は東日本大震災でも見せつけられた話ですが、未だに無視されております。

ですからせっかく導入されたスキャンイーグルも日本用にダウングレードされて、低性能となって墜落も多い。これでどうやってネットワーク化を推進するんでしょうか。
現状のまま、いくら新型装備を導入してもネットワークに問題があって機能はしません。

自衛官の増員にしても無駄な配置が多いし、少子高齢化もあってそもそもリソースが少ない。多額のリクルートコストを掛けて、その少ないリソースから隊員が入ってもセクハラ、パワハラ、いじめでどんどんやめている。
こういう問題に取り組もうとしないから中途退職者が多い。それを「一身上の都合」と一括りにして分析しようともしない。陸自は日がな一日チャンバラごっこや、かけっこやっている隊員がいるわけです。それを減らそうともしない。駐屯地を集約して効率化を図るわけでもない。当事者能力が欠如している。


そして議員の先生方は、部隊の充足率が2割で、護衛艦に乗っているべき医官がいないことも問題視しない。あるいは知らない。
自慰的な無敵皇軍を夢想しているだけです。
この程度の見識の人たちが借金での軍拡を叫んでいるわけです。

■本日の市ヶ谷の噂■
19式自走155ミリ砲は装填手二名が車体真ん中に座らせるという世界に類のない間抜けな構造となっているが、これはキャブを極小化してC-2に搭載するというファンタジーにあわせた軽量化のため、との噂。

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