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政府のジブチを邦人保護の拠点化の構想は失敗する。

政府、ジブチを邦人保護の拠点化 自衛隊の活動装備を集積へ
https://news.livedoor.com/article/detail/25482418/


>政府は、アフリカ東部ジブチにある自衛隊の活動拠点を、邦人の保護や輸送が必要になった場合に活用するため整備する方針を固めた。中東情勢の緊迫化などで近年、邦人退避任務が増加。ソマリア沖アデン湾での海賊対処活動のため開設したジブチの拠点に必要な装備を集積し、迅速に活動できるよう備える必要があると判断した。近く現地部隊の任務への追加を閣議決定する。関係者が6日、明らかにした。
 
>ジブチ政府と協議の上、来年1月から実施する。邦人保護や退避に必要な装備品の集積・管理の他、平時からの情報収集や他国部隊との交流を強化し、任務を円滑に実施できるようにする。

アイディアはいいですが、多分失敗します。これはスーダンやイスラエルなどからの邦人輸送がジプチを拠点に行われて成功したから気をよくしているのでしょう。

ですがそれは極めて属人的な要素が大きかった。大塚海夫在ジプチ大使と後藤医務官・参事官のコンビがあってこその機能です。どちらが欠けてもあそこまでは成功はしなかったでしょう。
大塚大使の経歴は以下の通り。

職 歴:
昭和58年3月  海上自衛隊入隊 主な配置は以下のとおり。
護衛艦とね艦長、第21護衛隊司令、第2護衛隊群司令、練習艦隊司令官
海上幕僚監部教育班長、同防衛調整官、同指揮通信情報部長
アメリカ合衆国中央軍司令部日本国首席連絡官、自衛艦隊司令部幕僚長
幹部学校副校長、同校長、情報本部統合情報部長、同本部長

令和元年12月20日 退職
令和2年9月15日まで 以下のとおり。
・公益財団法人 日本国際問題研究所 客員研究員
・英国王立防衛安全保障研究所(RUSI) 特別名誉フェロー
・株式会社MIHARU スペシャルアドバイザー
・株式会社FRONTEO 戦略アドバイザー
伊藤忠商事株式会社 参与

国際派の提督でした。これが普通の外交官あがりの大使ではああいう仕事は出来なかったでしょう。

後藤浩也医務官は元陸自の眼科の医官で、2佐で外務省に移りました。

緊急OB講演会報告  外務省・在ジブチ大使館医務官・参事官 後藤浩也氏(46期)
https://www.hakuyu.jp/archives/3737/

以下の本の執筆者の一人でもあります。
外傷救護の最前線―事態対処医療の手引き


外傷救護の最前線ー事態対処医療の手引きー - 齋藤 大蔵, 関根 康雅, 吉村 有矢, 秋冨 慎司, 後藤 浩也
後藤元二佐も国際派で英語が堪能、米国での戦傷医療関連の訓練も多数受けており、米軍他諸外国の軍隊に広くネットワークを持っていました。陸自の戦傷医療の第一人者の一人でした。

既にご案内ですが、東日本大震災のおり、封鎖された仙台空港に米海兵隊のC-130を着陸させた作戦をコーディネートしたもの彼でした。これは単に英語ができるだけでは無理で米軍内の組織にも精通してたからできたことでした。

ところが自衛隊という組織はこういう実戦に備えて研究や提言をする医官を異端扱いして嫌います。影に日向に嫌がらせをします。
彼も本来は一佐になっていて然るべきですが、2佐のままでした。彼以外でも戦傷医療に熱心な医官は嫌がらせで昇進させず、2佐に留め置かれて自衛隊に失望して、去っていきました。このため今の自衛隊には戦傷医療に熱心で、知識のある医官はほとんどいません。後藤氏も嫌気がさしたのでしょう。

このような本来自衛隊の戦傷医療に不可欠な人材が流出しています。ですから戦時に自衛隊の衛生が役に立たないでしょう。多くの本来救命できる隊員が犬死にすることでしょう。

因みに当時彼が所属していた自衛隊中央病院の眼科では眼科の医官4名全員が一度に退職しています。

ジプチを拠点に成功しているのは大塚大使と後藤医務官というコンビがあってこそです。
それは属人的なものでしかありません。どちらか、あるいは両名がやる気や能力のない人物に代われば全く機能しなくなるでしょう。

果たして今の自衛隊や外務省に彼らの代わりになる人材がいるのでしょうか。
またこういう構想を機能させる仕組みを作ることができる人間がいるでしょうか。

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