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孤高のストロングスタイルから磨かれた至芸

もう勝手な想像の妄想だ。
まだ二回しか聴いてない、噺家さんから感じたストロングスタイルについてだ。

柳家三三師から発する様子から、噺家として芸を磨く直向きな姿勢を、感じずにはいられない。


まず、陰気なのである。(スミマセン!)
明るい噺家さんが多い中で、ムリには明るく振舞わない。自分には似合わない、っと言わんばかり。
そして、猫背である。
噺家やってると、前のめりに語りかけるから自然とそうなった。っと言わんばかり。
あくまで、ワタシの妄想です。

ネタに入ると、陰気さも猫背も、もう落語のためである、と言わんばかりの風情なのだ。


初めて聴いたのは、2019年10月の「林家彦いち独演会 彦いち式」での演目「掛け声指南」である。
この演目は、彦いち師の創作落語ネタで、落語によく登場する人たちに、新たな人物が加えられたダイバーシティで、インクルージョンな演目。
一所懸命なムアンチャイが、みんなを必死で応援する噺である。

「掛け声指南」の始まりを聴くだけでワクワクします!
「熊さんに八っつぁん、横丁のご隠居さん、人の良いのが甚兵衛さん、バカの与太郎、一生懸命なのがムアンチャイ」
(落語の國に、新たな住人が増えた歴史的演目の幕開けでしょう。)

この創作落語を、古典落語を得意とする柳家三三師が語った会でした。
ムアンチャイ以外に、外国人が登場するのですが、年取った人は、ご隠居さんにしか聴こえない。人物から風景まで、すべて「江戸落語」に変身させる。


11月に博多で、「粗忽の釘」を聴くことができた。派手さはない、あくまでいつも通り。でも、どんどんその世界に引き込まれていく。

重ねて重ねて、積みあがっていく粗忽ぶりが、可笑しみの連鎖を生む!語れば語るほど、どんどんおもしろくなってくる。

違うレイヤーの笑いを足さない。落語というものを追求しているストロングスタイルを感じる。


なぜだか、総合格闘家のアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラを思い出させる。ノゲイラは、ブラジリアン柔術の達人で、「千の技を持つ男」の異名を持つ。派手な立ち技の強い相手を、あらゆる寝技を駆使して、タップアウトさせる。

そんな魅力が、ワタシの頭の中で結合される。


「粗忽の釘」を聴いたあとすぐに、12月のチケットを取った。もっともっと浸りたくなった。

師匠であり、人間国宝の柳家小三治師との親子会が、今から愉しみです。


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