ゼロからモバイルオーダーアプリをデザインしてみた #BONO #UI #ラフデザイン編
モバイルオーダーの話です。
利用した人なら既に体感していると思いますが、モバイルオーダーは飲食店での体験を大いに変えるサービスです。
実際に「これは本当に便利なサービスだ」と思わせるような取り組みは多くありませんが、待ち時間の短縮から表立って見えなかったカスタマイズまで、顧客の立場で利用すると様々なメリットを体感できます。
列に並ぶのが大嫌いな私にとっては、半ば革命的な瞬間でもありました。
デザイナーの立場からしても、モバイルオーダーは顧客データを取得するための身近で扱いやすいサービスです。日本でもより浸透して、暮らしが好転することを願います。
ゼロベースからモバイルオーダーアプリのUIをデザインしました。
今回は「#ラフデザイン編」となります。
モバイルオーダーの知識も踏まえつつ、コンセプトの設定〜ラフデザインまでの過程をご紹介。
なるべく脚色を付けずに記述していますので、少々読みにくいところもあるかも知れません。どうぞお付き合いください。
その他のシリーズ↓
1. 完成品
▼プロトタイプ
▼動画
2. モバイルオーダーとはなにか
モバイルオーダーとは、
レジではなくスマートフォンから直接注文することで、顧客理解を促しやすくなり店舗スペースを活用できるサービスのことです。
今回は、モバイルオーダーアプリのUIをゼロからデザインします。
目的は3つあります。
▼プロダクト体験を意識する
プロダクト体験とは、ユーザーのゴールに対してシステムを提供するとき、プロダクトを「最もシンプルに適切に扱えるような体験」のことです。
プロダクト体験を設計するとき、以下のことを意識します。
▼コア体験を設計する
どんなサービスにも、最低限押さえておかなければならない「サービスフロー」があります。これをサービスのコア体験と呼びます。
コア体験=「そのサービスで最も体験してもらいたいこと」であり、アイデアを実際に形にするとき、ブレないためのセンターピンとして機能します。
コア体験の例として、以下のようなものが挙げられます。
いずれもサービスのコア体験を理解することで、本質を捉えながら設計することができます。
noteCXO深津貴之さんの「noteにおけるコア体験と相互作用メモ」に詳しく描かれています。どのサービスにも応用できる公式みたいな内容で、一読しておきたいところです。
▼世の中の事象を理解する(DX)
世界ではデジタル・トランスフォーメーション(DX)が進んでいます。
顧客がいつ、どこで、どんな注文をするかという情報をデジタル化することで、新しい体験や最適化されたサービスを提供できるようになります。
重要なのは、サービスの一部をデジタル化するだけではなく、アナログを包括するようにデジタルが存在する状態にしておくことです。
モバイルオーダーという概念が、買い物の手段ではなく買い物そのものの体験として我々の生活に浸透することがDXにおいて肝要です。
データの運用はもちろんですが、まずはユーザーに寄り添ったDXが色んなところで求められています。
3. どんなサービス?
それでは早速、制作過程に入りたいと思います。
今回デザインするものは「カフェ店舗のモバイルオーダーアプリ」です。
BONOで用意されたコンセプトを元にデザインします。カイさんいつもありがとうございます。
▼お店のコンセプト
【SWITCH COFFEE】
”Send you Next.”
頑張る人、休む人。
気持ちを切り替える柔らかな一杯をお届け。
日常の生活シーンの切り替えを後押しする。
▼誰のためのアプリ? - who
様々なシーンで「切り替え」が必要な人のための一杯を提供します。
▼何のアプリ? - what
SWITCH COFFEEというカフェ店舗でモバイルオーダーをするためのアプリです。
▼何のためのアプリ? - why
SWITCH COFFEEは他のカフェとは違い、「気持ちを切り替える」ために利用する顧客を捕まえるような体験・創意工夫が求められます。
▼いつやるアプリ? - when
特に「気持ちを切り替える」ための工夫が必要です。
朝に使えばスッキリし、夜に使えば落ち着いた気持ちになれる雰囲気を与えられるようにします。
▼どこでやるアプリ? - where
商品を受け取れる場所・状況で使うことが想定されます。
コーヒーショップのようなファストフードでは注文してから数分以内に受け取れる移動中や、席を確保してからじっくり注文する店舗内での利用が考えられます。
4. サービスフローを確認する
UIを作るために、画面構成を決めていきます。
画面構成を決めるには、既存のサービスを参考にするかアナログで行われているサービスの流れを把握する必要があります。
今回は、BONOで予め用意されたフローを参考に組み立てていきます。
▼モバイルオーダーのサービスフロー
サービスによってフローの順番は前後する場合がありますが、基本的に以下のようなフローになると思います。
画面構成もこのフローで問題なさそうですが、まだ解像度が低いのでここからさらに分解して考えます。
ここでサービスフローを大まかに、
・商品を選んで注文する(決済)
・商品を受け取る
の2つのフローに分けて考えます。
A. 注文する
まず、モバイルオーダーを始めると「お店を選ぶ」か「商品を選択」から始まります。ECサイトのように、商品を選んでからオーダーのサービスフローに入る場合もありますが、今回は適用しません。
アナログで考えると「お店を選ぶ」=「お店に入る」に近いと思います。
お店を選んだら「商品を選択」します。
例えば「コーヒー」を注文しようとしたら、「サイズ」や「温かさ」を決めると思います。お店によっては更にカスタマイズすることもできます。
商品を選び終わったら「お店で飲む」か「持ち帰り」かを選びます。
お店でも、会計前に聞かれると思います。
利用方法が決まったら「お会計」です。
「決済方法」を選択してお会計に進みます。
お店では会計の前に商品の確認を済ませますが、モバイルオーダーでは先に決済方法を決めます。ECサイトも同様のものが多いですね。
モバイルオーダーでは時間的余裕があるので、決済する前に確認するフローを最後に持っていくのでしょうか。
B. 商品の準備
注文が確定したら、調理に入ります。
殆どのお店では注文番号が記載されたレシートを受け取ります。モバイルオーダーも同じように注文番号を受け取り、調理が終わるまで待ちます。
アナログで注文した場合は列に並んで待つことが多いですが、モバイルオーダーでは調理が完了次第カウンターで受け取れます。
調理が完了するとモバイルに通知が届き、カウンターまで受け取りに来るよう促されます。
▼フローから要件定義・アイデア出しを行う
ある程度サービスフローが把握できました。
今度は画面を作るために、そこから要件定義とアイデア出しを行います。
アイデア出しはコンポーネントを決める大事な要素です。
ここでは初期段階なので、書き出したアイデアで決定にはしません。
画面順にアイデアを書き出していきます。
▼参考UIを集める(UIリサーチ)
画面毎にアイデアを出していきました。
次はこのアイデアを実際に具体化していきます。
そのために、参考UIを集めて事例を元にUIパターンのアイデアを考えます。
できるだけたくさん集めますが…多すぎてもなかなかしんどいです。精度の高いUIを見つけるために、「何を調べるべきか」の解像度を上げておくと良いでしょう。
今回は以下のサービス、20以上調査したアプリから6個のアプリを参考にしました。
参考UIを集めるまでに2〜3日掛かりました。時間がかかりすぎたので、効率よく集める方法を模索していこうと思います。
この段階では細かいビジュアルにあまり注目せず、サービスフローとパーツ(コンポーネント)に注目します。
参考にした6社のサービスフローは細かな違いこそあれど、比較すると同じようなフローを辿ります。
5. UIのラフデザイン
突然ですが…ここでいきなりUIを作成することはありません。
まず基本となる画面UIをラフデザインで仕上げます。
流れとしては「ラフスケッチ」→「ラフデザイン」です。
▼紙/タブレットにラフスケッチ
ラフスケッチでは画面の目的と構成を、アイデアを駆使してスケッチします。参考UIも見ながらでも良いかと思います。
■ホーム画面
■店舗選択画面
■商品選択画面
■商品詳細画面
フローには詳しく書いていませんでしたが、商品のカスタマイズを行うための画面フローを追加します。情報量が少ない場合はハーフモーダルにして工程を減らすことができそうです。
■カート導線
商品詳細画面で商品をカートに入れた後、商品選択画面に戻りカート導線を作ります。
■決済画面
受取店舗や注文した内容を確認し、利用方法や支払い方法を選択します。
クレジットカードで支払いする場合、フォーム画面に移動させるか画面内に組み込みます。今回はモーダルで表現しようと思います。
■注文確定画面
注文が確定し、決済できたら表示させる画面です。
■ホーム画面 注文後
注文をした後のホーム画面にも変化を与えます。
モバイルオーダーの動線に変更を加えます。
■注文状況画面
現在注文中の内容を確認することができます。
レシートとしても機能できるイメージです。
■通知画面
調理が完了したら表示する画面です。
パネルなどの通知でお知らせし、この画面に遷移させます。
▼デザインツールで簡単に作る
ラフスケッチが終わりました。
このラフスケッチを元に、デザインツールで簡単にUIを組み上げます。
このとき、フォント指定や色は付けません。
無機質になりますが、この時点では心が無機質なので問題ありません。
■ホーム画面
■店舗選択画面
店舗を「マップから探す」「現在地から近いところ」「お気に入り」のアイデアがありましたが、まずは「マップから探す」のみ作成。
■商品選択画面
メニューの表示方法は色々ありそうですが、まずは思いついた形式から。
■商品詳細画面
モーダルにせず一画面で作成してしまいましたが、一画面で収まってしまう感じになりました。写真サイズが大きすぎるかな。
■カート導線
■確認画面
■クレジットカード入力画面
入力フォームを表示させます。
入力の際、画面遷移させるアプリが多かったですが、そういう必要もなさそうな画面占有率です。モーダルかページ内に組み込んで表示させるか。
■注文確定画面
■ホーム画面 注文後
少しごちゃごちゃした印象を受けます。スッキリできないものか。
■注文状況画面
■通知画面
取りに行きたくなるようなビジュアルを作りたいですね。
6. プロトタイピング
デザインツールで組み上げたものを動かせるように、Ver1.0のプロトタイプを作成します。作成後、機能面を考慮し、画面フローを確認します。
(↓実際に触れます)
▼気になったこと(コメント)
プロトタイプを作成し、気になったことを書き出します。
■店舗選択画面
・検索のアクションを考える
・タップすると入力画面になる
・入力後の画面はどうするか?近い順にリスト表示させるといいかも
・現在地、お気に入りのタブも作成する
・リスト表示
・履歴も表示させるか?
・マップのどんな部分をタッチすると背店舗情報が表示されるのか?
・アイコンで示す
・現在地も示す
・店舗情報は下からポップアップさせる
・「現在地」という意味のあるアイコンを探す
■商品選択画面
・表示のパターンを考える
・リスト表示
・カードUI表示
・説明文入れる
・画像入れてリアリティ出す
■商品詳細画面
・モーダルVerも作ってみる
・タップしやすいか確認する
・アレルゲン情報は今回はいらないかも
■カート導線
・これはどんな商品の数量/金額なのかわからない
・これは合計金額なのか、商品固有の価格なのか?
■決済画面
・店舗情報…欲しい情報はこれでいいのか?
・店舗名
・住所
・受取時間
・営業時間
・変更する導線
・クレカ入力後、入力情報が隠れてしまいどのクレカで決済するのか分からない
■クレジットカード情報
・モーダルではなく、画面内埋込みVerも作る
・スペースが気になるので、もっとつめこんだら良いかも
・クレジット会社表記…こういう表示はいらないのでは?今回だけは
■注文確定画面
・もう少し目立たせたほうが良いのでは? 背景色を変えるとか
・この表記パターンはあまりない
あまりにも長くなりすぎたので、ここで一旦区切ります。
ここまでお読みくださり真にありがとうございます。
この記事で紹介したのは、以下の通りです。
モバイルオーダーとは
どんなサービスなのか?
サービスフローを確認する
UIのラフデザイン
プロトタイピング
次回は「UIパターン作成」となります。
パターン作成の準備
UIパターンの作成
ビジュアルを整える
最終プロトタイピング
総括
でお送りしたいと思います。
どうぞよろしく!
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