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和紙ー「細川和紙」と「小川和紙」

2年ほど前からFacebookで「和紙ネットワーク」公開グループを運営してます。

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「細川和紙」と「小川和紙」
先日、NHKラジオ第1放送で「細川和紙」のお話をされている方がいましたので、知っていることを憶測も含めて書き残します。


 現在、ユネスコ無形文化遺産に指定されている和紙は「(本)美濃和紙」「石州半紙」「細川和紙」です。
 細川和紙は埼玉県小川町を中心とした地域に古くから根付く伝統和紙です。このFBグループでは「小川和紙」として投稿している回数が一番多いと思います。理由は簡単で3箇所のうち和紙を目的として訪問した唯一の場所が小川和紙だからです。
 ユネスコ無形文化遺産の「細川和紙」は伝統的な手法を継承している工房でそれに伴う伝統的な器具類や工房がなければ紙漉きができません。
訪れる前は小川和紙と細川和紙が同じ地域に存在するのは何故だろう?と疑問に思っていました。


 現地に行くと「細川和紙」よりも「小川和紙」の看板が目に付きます。細川和紙よりも小川和紙のほうがすでにブランド化されていますね。

 周辺の和紙工房や関連施設に訪ねて話を聞いているうちにだんだん謎が解けて来ました。

 話を端折ると(間違っていたらコメント欄にお願いします。)
☑細川和紙のユネスコ無形文化遺産認定の前後で地域全体で地域起こしの機運が高まった。
☑実際に細川和紙を名乗れるのは10軒程度、なかには先祖が使っていた古い工房の修理が必要で指定を断った工房もあるらしい。
☑地元には歴史のある和紙の工房や関連産業、事業者が数百軒あり、この「細川和紙」とは名乗れない。

 このことが地域ぐるみの「小川和紙」のブランド強化につながったと憶測しております。

 驚いたこともありました。
☑細川和紙の半紙も小川和紙の半紙も価格差があまりないこと。
つまり、
「半紙のままでは付加価値がほぼない」ということです。
この気づきがFacebookグループを立ち上げるキッカケにもなりました。

 和紙を使う方やクラフト作家が世界中に増えていくことが和紙産地の為になります。
 

今では小川町周辺は多くの観光客が訪れる首都圏から近い「和紙の里」です。

今朝のラジオによると、現在「細川和紙」の後継者候補になりうる研修者は約20名とのことでした。地域も自治体も力を入れています。
「細川和紙」のユネスコ無形文化遺産認定がきっかけで生まれた地域活性化

の例だと思います。
 ユネスコやその認定に努力した自治体、地域の関係者も始めからこの結果を予想していたかどうかはわかりません。
ひょっとしたら「ひょうたんから駒」かもしれませんね。

「美濃」も「石州」も同じような動きになっているでしょうか?ご存知の方は教えて下さい。

 話が変わりますが、海外で有名な日本一(=世界一)薄い和紙の土佐和紙。
世界中の図書館や博物館の古文書や美術品の修繕によく使われています。
アメリカの図書館では洋紙で綴られた200年前の文献の半分以上は劣化が激しく貸し出し不能であると聞きます。
 一方で奈良の正倉院には1300年以上前の古文書がそのまま残されています。
和紙の凄さや美しさは日本よりも海外で知れ渡っているようです。

日本にはまだ他の和紙産地もたくさん残っていますが、できる限り訪ねてみたいと思っています。

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