アポロ:ヴァンパイアキラー
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アポロ:ヴァンパイアキラー

 アポロンは羊飼いの守護神にして太陽の神。またその名を冠したアポロ計画は、太陽神の加護を受けて月に潜むヴァンパイアを討たんとする大規模遠征作戦であった。

 宇宙服姿のアポロ11号の乗組員たちは、茫然と月の原野に立ち尽くす。彼らの囲む中央には半ば白砂に埋もれて眠る一体のヴァンパイアがいた。これほど無防備な姿を前にするのは、乗員たちの誰もが初めてだ。怪物は月の影の面に居城を築き、夜になると地球に飛来して人を襲う。ゆえに人前で眠ることがない。

 まず輪の中から進み出たのは船長のニール・ヘルシング。根っからの学者肌。痩せぎすの体格を皮肉って周囲からはアームストロング(腕自慢)と呼ばれているが、職務意識は他の誰よりも強い。彼は手に持った星条旗を振り上げると、先端をヴァンパイアの心臓目がけて突き立てた――が、浅い。ヴァンパイアはかっと目を見開くと、腰に下げたレーザーガンに手を伸ばした。

【続く】

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