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毎年、この時期の傾向なのですが
ここのところ増えているご相談。

それはズバリ「皮膚のかゆみ」

わが子も先月あたりから
乾燥によるかゆみを訴え始めました。

そして
「あのクリーム作って!」と
リクエストがありましたので、
毎年恒例のアロマクリームを作りました。


様々なアプローチを経て
わが家はクリームに落ち着いていますが
痒みへの植物療法的対策は
クリームだけではありません。


考えられる痒みの原因

1.皮膚の乾燥
2.心理的問題ー心配事や不安がある
3.アレルギー
4.自律神経の乱れ

 

原因を想定して、アプローチを考えます。


人類の歴史は紀元前の時代から連綿と続いていて
そのそばにいつも共にあったのが
芳香植物、いわゆるハーブ。

それを蒸留したり圧搾したりして得られたのが
アロマまたはエッセンシャルオイルと呼ばれる「精油」です。

 

お薬が出てきたのは20世紀。
それより前は植物を用いて
心や体を整えてきました。

植物から有効成分を抽出できるようになり(単離と言います)、
それが技術の進歩によって化学合成できるようになり、
現代のお薬の有効成分として使われているものもあります。

お薬を使わずにケアしたい、
いつまで薬を使い続けないといけないのか・・・
そんなご相談も多いので
ぜひご参考になさってください。


それでは、原因を緩和する作用が期待できる
アロマやハーブでの対処方法を
以下に挙げてみます。

植物油についても、
有名なホホバオイルから
マイナーですが薬理作用の高いものまで掲載しました。


原因別 精油&ハーブ&植物油


1. 皮膚の乾燥

乾燥には、まず保湿。
植物療法の保湿アイテムとしては以下があります。

①ハーブウォーター
②植物油
③融点の低い基材を使ったクリーム

ひとつずつ、説明します。

①ハーブウオーター

ハーブウォーターとは
芳香植物から精油を採る時に得られるもので、
水溶性の成分+わずかな精油で構成されています。

皮膚は弱酸性でないとトラブルが起こりやすくなりますが
ハーブウォーターはお肌と同じ弱酸性ですので、
皮膚のPHバランスが乱れた場合に
シュッシュッと吹きかければ、
良い効果が期待できます。


様々な種類のハーブウォーターがありますが
私のおすすめファーストチョイスはラベンダーウォーターです。

過去にハーブウォーターについて書いたInstagramの記事を挙げますので参考にしてください。
その① 
その② 
その③

また、乾燥しているところには
すぐオイルを塗りたくなりますが、

荒れた肌にオイルを塗ってもなじみにくいので、
ハーブウォーターで水分を補ってから
オイルを塗るのがベストです。

②植物油


植物油は、キャリアオイルとも呼ばれます。
キャリア=carry(運ぶ)+er(人)
精油を肌の奥まで運んでくれる人、という意味で
キャリアオイルと名付けられました。

おすすめキャリアオイル

・ホホバオイル
・マカダミアナッツオイル
・オリーブオイル

 

ホホバオイル
しっとりとして少し重たい感じがありますが
保湿するオイルとして、とても優秀です。

ホホバオイルは厳密に言うとワックスエステルの分類になり、
オイルではないのですが
オイル形状をしているので、ホホバオイルと呼ばれます。
ワックスエステルは、人体の皮脂の構成成分の約25%を占めています。
つまり、皮脂と同様の成分を含むため、
バリア機能を損なってしまった肌の保護に最適なのです。


市販品のホホバは透明のものが多いですが、
搾りたてのホホバは褐色でニオイもあります。
精製したり脱色したりの過程を経ると透明になります。

生活の木には、ホホバを搾ったままの「バージン」と
精製し脱色した「クリア」、二種類が売られています。

お肌の弱い方は『クリア』がおすすめです。

マカダミアナッツオイル。
パルミトレイン酸という人体の皮脂にも含まれる成分が他の植物油よりも多く含まれています。
赤ちゃんの皮脂にはパルミトレイン酸たっぷりと含まれていますが、パルミトレイン酸は加齢によって徐々に減ってしまうことが分かっています。
そうするとカサカサしたり、弾力がなくなったりといったことが起こりやすくなります。
つまり、マカダミアナッツオイルは肌を若々しく保ってくれるのです。

オリーブオイル
オレイン酸という、人体の皮脂の主な構成成分を含みます。
酸化しにくく、しっとり感が持続します。
肌に塗布するためには、食用のオリーブオイルではなく、
化粧用のオリーブオイルを使うようにしてください。

結婚前、夫の家に泊まりに行ったとき、
化粧水の類を持って行くのを忘れてしまった私は
風呂上りに顔がピキン!とつっぱって仕方ない!

苦肉の策で使ったのが
キッチンのシンクの下に入っていた食用のオリーブオイル。
彼のキッチンでコソコソしていたら、背後から忍び寄る影が・・・
「何してるん?」と声をかけられ、テカテカの顔で振り返り、2人で大笑い。
それで肌が荒れることはありませんでしたが、基本的に皮膚に塗布するには化粧用のものをおすすめします。

③クリーム


先述の植物油に、ミツロウなど融点の低い植物由来の基材を使って作るため、クリーム状になります。

おすすめクリーム基材

・ミツロウ
・ヤシ由来のファーナスペレット
・エミュルシファイングワックス
・シアバター

・ミツロウ、ファーナスペレット

植物油とともに湯煎して使います。しっとりしてバリア機能の壊れた肌に、一枚薄いベールをかけたように肌を保護しますので、植物油だけでは心もとない…という人は、これらでクリームを作るのがおすすめですが、少々べたつくのがデメリット。

・エミュルシファイングワックス
水分と油分を乳化させてクリームにする基材で、
ミツロウやファーナスペレットとは違う性質のものになります。

水分が多いクリームが出来上がるため、
使用感はサラリとしているのにしっとり。
べたつきもないので、ファンが多い基材です。

シアバターや抗炎症作用の期待できる植物油(カレンデュラオイル、アルガンオイル、カロフィラムオイルなど)を加えてもOKです。
これらは加熱したら酸化しやすいので、湯せんから引き揚げた後加えます。

・シアバター

シアの木から採られるバター状の油脂。
それ自体が常温でクリーム状なので、
シアバターに精油を加えれば、それだけでスキンケアや
ヘアケアに使えます。
シアバターだけでは固くて使いづらい‥そんな時は植物油を少しずつ
加えてお好みの固さになるように調節してみてください。

クリームを作ってみたい方、オンラインでワークショップもしますので、ご希望の方は公式LINEよりメッセージをお送りください。


2.心理的問題ー心配事や不安がある

メンタルが不安定な時は、皮膚にトラブルとなって症状が出る場合が多いです。

「皮脳同根」という言葉があります。アロマトリートメントやベビーマッサージのセラピストでは知らない人はいないほど有名な言葉で、「皮膚と脳は根っこが同じ」、という意味です。

受精卵が人体のカタチになる前の『胚子』という状態のとき、
皮膚と脳は同じ部位、外胚葉という部位に位置しています。
外胚葉から分化して皮膚と脳が出来上がるため、
「皮脳同根」と言われます。

皮膚は「露出した脳」との別名もあるくらい
現代の科学では、皮膚に触れると脳が活性化することが分かっています。

脳は頭蓋骨に包まれているため、触れることはできませんが、
皮膚はいつでも触れることが出来ます。

皮脳同根なので、皮膚に心地よい刺激を与えると、
脳も心地よさを受け取り、リラックス状態になります。
反対に、脳がストレスを受けると、肌にもストレスが現れます。

特に、不安や焦り、心配、恥などの感情は、
脳で処理しきれない場合、皮膚に症状として出やすいと言われます。

自分で抱えきれない(処理しきれない)感情がある時は、
精油の香りを脳に届けて感情をケアしてあげましょう。

精油だけでなくハーブにも、リラックス作用をもたらすものが多くあります。
温かいハーブティーを飲めば、心も体もリラックスできて
身体や心に出ている症状を鎮めてくれるでしょう。

不安や心配、焦りなど感情を整えるのにおすすめ精油

・ネロリ
・コリアンダー
・フランキンセンス
・サンダルウッド
・ローズ

 

ネロリ
抗不安作用があります。不安が強く不眠または眠りが浅い人にもおすすめです。華やかな柑橘の香りは、どんな人にも寄り添います。

コリアンダー
d-リナロールといって、疲労回復作用の期待できる分子が入っています。リナロール自体、リラックスが強い成分ですが、通常のリナロールはℓ体です。コリアンダーのリナロールはd体なので、深く人の心と体に作用します。

フランキンセンス、サンダルウッド
昔から宗教行事で使われてきた歴史があります。沈んだ心に寄り添い、天からの癒しをもたらします。

ローズ
言わずと知れた精油の王様。
ボディ(体)・マインド(心)・スピリット(精神)に働きかけて、心と体のバランスをキープします。

不安や心配、焦りなど感情を整えるのにおすすめハーブ

・パッションフラワー
・セントジョンズワート
・カモミール
・リンデン
・レモンバーム

 

・パッションフラワー
「天然のトランキライザー(精神安定剤)」との呼び名を持つハーブ。
花の中心部分がイエスキリストの受難(パッション)のカタチに見えることから、この名前がついています。和名は「トケイソウ(時計草)」。
気持ちを安定させて、穏やかな心をもたらします。

・セントジョンズワート
「聖ヨハネの草」という名前の薬草。
聖ヨハネが没した日、つまり日本では夏至の頃に最盛期を迎えます。
欧米ではサプリメントもたくさん出回っているほど、その効果は有名。
月経前の気分の調整にも。
ハーブティーとして飲むのはもちろん、植物油に漬けこむと、ヒぺリシンという赤い色素が出てきて、皮膚の炎症に良いオイルになります。
※お薬との相互作用あり。ピル、ワルファリンなどを飲んでいる人は飲めません。また、浸出油は光毒性があるため、塗布後4-5時間は日光に当たらないようにしましょう。

・カモミール
ハーブの万能選手。精神的なものだけでなく、体内の炎症を取り除く作用も期待できます。例えば、胃が荒れた時に空腹時に飲めば、胃の内部に働きかけ、炎症を鎮めます。ハーブティーをコットンに浸してパックをすれば、痒みにも。甘味があるので飲みやすく、ミルクティーもおすすめです。

・リンデン
ファルネソールという精油成分を多く含み、鎮静作用・抗炎症作用が期待できます。心と体をリラックスさせて血液循環を良くするため、発汗作用といって体温を上げる作用も期待できます。熱が出た時はさらに発熱を促進させて、白血球を活性化し、発汗により体温を自然に下げます。利尿作用が高いので、就寝前に飲むのは注意が必要。

・レモンバーム
メリッサともよばれ、鎮静作用が高いのが特徴。神経系や消化器系の作用を期待して使われる精油です。パニックやヒステリー、交感神経が高まりすぎることによっておこる不眠、食欲不振にも。レモンのような香りでとても飲みやすいので、誰にでも使いやすいハーブです。抗菌力も高いので、ウィルス性の疾患などにも使われます。


3.アレルギー

アレルギーは、アレルゲンが体内に入ってきて起こる症状です。
花粉や小麦など、特定のアレルゲンが体内に入ってくると、マスト細胞や好塩基球から「ヒスタミン」という物質が出て、三叉神経を刺激し、アレルギー反応が起こります。
ヒスタミンが出ると痒みが出ますので、ヒスタミンが出ないようにするのが「抗ヒスタミン薬」です。精油にも抗ヒスタミン作用が期待できるものがあります。
また、体が炎症を起こすと天然のステロイドと呼ばれるコルチゾールを副腎から出して炎症を抑えます。精油にも同様の働きをするものがあり、その作用を「コーチゾン様作用」と言います。

抗ヒスタミン作用の期待できる精油

・レモングラス
・カマズレンという分子を含む精油ーカモマイルジャーマン、ヤロー、タナセタム


 

・レモングラス

ゲラニアールとネラールという芳香分子に抗ヒスタミン作用が期待できます。血管拡張作用も期待できるため、冷えて血行が悪くなっている部分にも。抗炎症作用も期待でき、痒みと炎症を抑えます。

・カモマイルジャーマン、ヤロー、タナセタム

これら3つの精油の共通点は、紺碧色のカマズレンという芳香分子を含むこと。香りは独特ですが、カマズレンには、抗アレルギー、抗ヒスタミン、抗炎症、鎮掻痒、皮膚組織再生など沢山の皮膚に良い作用があります。アズノール、うがい薬など、一般薬にも使われています。


コーチゾン様作用の期待できる精油

・ブラックスプルース
・アカマツヨーロッパ
・パイン

 

・コーチゾン様作用とは

体内にコルチゾールが分泌された状態と同じ状態を作り出す作用のこと。
ストレスがかかった時、体内の炎症を抑えるため、副腎からコルチゾールが分泌される。コーチゾン様作用の精油を使うと、体内がコルチゾールが分泌された状態と同じ状態になるため、『天然のステロイド』と言われる


・ブラックスプルース、アカマツヨーロッパ、パイン

どちらもマツ科でα、βピネンを含み、強壮作用を持つ。森の中にいるような香りでリフレッシュさせるため、ストレスが溜まった時に。コーチゾン様作用を持つ。
鎮咳作用が期待できるδ-3-カレンを含むため、咳が出ている時にも。


4.自律神経の乱れ


自律神経が乱れることも、痒みを引き起こす原因になります。
自律神経が乱れると、体内のホメオスタシスが一時崩壊、常在菌や皮脂膜のバランスも乱れるため、皮膚トラブルが起こりやすくなります。

自律神経に良い精油については以下に書いておりますので、こちらをご覧ください。


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