頸部治療におけるリスク管理〜「危険な領域」〜
こんにちは!理学療法士のこじろう(@reha_spine)です。
普段はCLINICIANS【腰痛マガジン】のメンバーとして腰痛に関する記事を投稿しております!
今回の記事は、頸椎アプローチにおいてのリスク管理についてまとめていきたいと思います!!
これを知らないまま頚部へのアプローチを行っていては大変危険ですので、頚部へアプローチを行う方はぜひ確認して下さい。
▶︎頚部のリスク管理に重要な危険な領域
❶外側頸三角部(後頸三角)
*胸鎖乳突筋の後縁、僧帽筋上部の前縁、鎖骨に囲まれた領域。
この中には外側頸リンパ節、胸管、外頸静脈、頚横動脈、副神経、頸神経叢、腕神経叢がある。
また、頸神経叢の皮枝は胸鎖乳突筋を迂回するように走行するため、その周辺での圧迫刺激に注意する。皮枝を圧迫するとその周囲へ疼痛が出現する。
❷頸動脈三角
*胸鎖乳突筋の前縁、顎二腹筋後腹の下縁、肩甲舌骨筋の上腹で囲まれた領域。
この中には頸動脈分岐部、頸動脈小体、総頸動脈、内頸動脈、迷走神経、舌下神経がある。
頸動脈洞(総頸動脈の外頸動脈と内頚動脈の枝分かれするところに存在する)の圧迫刺激に注意する。強い圧迫を5秒以上行うと頸動脈洞反射を引き起こす。胸鎖乳突筋前縁より前方が相当部位になるため、注意する。
【頸動脈洞反射】
頚動脈洞を刺激することによって起こる舌咽神経-迷走神経反射。喉仏の左右にある頚動脈洞を圧迫すると、圧受容体が圧上昇を感知し、迷走神経が過剰な反射を起こし、心臓の洞房結節や房室結節に伝え抑制され、徐脈となり、血圧が低下し、脳幹へ行く血液が少なくなり脳幹での酸素量減少で失神状態に陥ることもあります(頚動脈洞性失神)。
上の写真の赤線で囲まれているのが「前頸三角」でその中にある青線で囲まれている黄色の領域が『頸動脈三角』になります。
写真でなんとなくの場所が理解できたと思いますが、では詳細な部位をここでは紹介したいと思います。
【頸動脈三角の目安ポイント】
①胸鎖乳突筋前縁:ここは分かりやすいと思うので省略します。
②顎二腹筋後腹の下縁
:舌骨の端(のどぼとけの約1cm上でやや外側)にマーキング。このマーキングと乳様突起を結ぶライン
③肩甲舌骨筋の上腹
:舌骨の外側端をポイントに真下に下ろしたライン
この①〜③で囲まれた部位が頸動脈三角の目安ポイントになります。
斜めから見るのが分かりやすいですが前方・側面からみると以下のようなイメージです。
頸部へのアプローチは危険であるとよく耳にするのはこの辺りの解剖の理解せずにアプローチをしているからかもしれませんね。
リスク管理としてはここの解剖は理解しておきたいところです!
ではこの辺で今回は終了となります。
少しでも臨床のお役に立てれば幸いです!
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