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【書評・感想】恐怖の地政学 ―地図と地形でわかる戦争・紛争の構図【国民国家が馴染まない地域で紛争がある】


著者

ティム・マーシャル(著)、甲斐 理恵子(翻訳)

発売日

さくら社 / 2016年11月04日

書評

本書は各大陸・地域について地政学的な観点から網羅的に概観している書籍です。本書では地政学は下記のように定義されています。

地政学とは、おおまかに言うと、国際情勢を理解するために地理的要因に注目する学問である。地理的要因には、自然の要塞となり得る山脈や川筋のつながりといった物理的な地形はもちろん、気候や人口統計、その土地固有の文化、天然資源の埋蔵量も含まれる。こうした要素は、政治的、軍事的戦略から、人間社会と共に発達した言語や交易、宗教に至るまで、人類の文明のさまざまな局面に重要な影響を与える可能性があるのだ。

恐怖の地政学

第一章の中国から始まります。北側はゴビ砂漠を挟んでモンゴルと国境を接し、東側にはロシアがあるが山岳地帯で隔てられており、南側に向かうと黄海、東シナ海、南シナ海と海岸線が続き、さらに移動するとベトナム、ラオス、ミャンマーとぶつかります。さらに北に行くとヒマラヤ山脈が国境線上に出現し、チベット自治区、パキスタン、アフガニスタン、タジキスタンと非常に多くの国家と国境を接しています。砂漠や山脈、ジャングルなど自然の境界で隔てられている地域もあれば、簡単に国境を越えられる地域もあります。

第二章からは、ロシア、日本と朝鮮半島、アメリカ、西ヨーロッパ、アフリカ、中東、インドとパキスタン、ラテンアメリカと続き、最後は北極圏です。現在の世界が西洋的な構成であり、国民国家の概念が馴染まない地域で紛争が絶えない現状への理解を深めることができました。

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