都道府県別幸福度ランキング
世の中はランキングで溢れている。
いろいろな物事の要素を項目ごとに細分化し、数値化し、序列化する。
そうして、ランキングができあがる。
先日、面白いランキングを発見した。
その名も「都道府県別幸福度ランキング」である。
これの何が面白いかというと、2つの機関がそれぞれ異なる指標で「幸福」を数値化していることである。
もちろん、「幸福」という目に見えないものを数値化しているという時点で十分に興味深いが、それぞれの調査で用いられる「幸福」の尺度が異なるため、ランキングの結果も相違が見られるのである。
調査方法
それでは、それぞれの調査方法を見てみたいと思う。
①ブランド総合研究所 (主観型)
アンケートはインターネットにて実施。1万6000人から回答を得た(各都道府県から約350人)。調査期間は2020年6月12日~29日。住民に対し「あなたは幸せですか」という問いを投げかけ、「とても幸せ」「少し幸せ」「どちらでもない」「あまり幸せではない」「全く幸せではない」の5段階から1つ選んでもらった。回答はそれぞれ100点、75点、50点、25点、0点として全回答の平均を「幸福度」とした。
住民に「あなたは幸せですか?」と問う方法。
ドストレートである。
これは回答者の気分や性格によるところが大きいので、極めて主観的な調査方法だ。
②日本総合研究所 (客観型)
地域の社会的状況や構造を示す5つの基本指標と、人々の幸福感を具体的に評価する尺度として「健康」「文化」「仕事」「生活」「教育」の5分野・50指標を設定。それに追加指標を加えた計75指標を総合して、都道府県別の「幸福度ランキング」を算出している。
幸福に関連するであろう指標を設定し、それらを数値化する。
「健康的で文化的な最低限度の生活」を送れる基盤が整っているかを客観的にデータで表す方法である。
調査結果
それぞれの調査結果を1つの表にまとめてみた。
左側の数値(「主観的」)がブランド総合研究所によるもので、「あなたは幸せですか」とストレートに聞いた調査の結果。
真ん中の数値(「客観的」)が日本総合研究所によるもので、細かい指標で総合的に評価した結果。
右端の数値は、両調査における順位の差を表している。
「主観型調査」から分かること
ベスト5とワースト5はこんな感じ。
1、宮崎県
2、沖縄県
3、大分県
4、福井県
5、石川県
・
・
・
43、新潟県
44、青森県
45、福島県
46、佐賀県
47、秋田県
例外はあるけれど、温暖な地域の住民は幸福だと感じやすく、寒冷な地域の住民は幸福を感じづらいというイメージかも。
秋田出身の友人が、「年間を通して秋田は日照時間が短いから精神的に病む人が多い」という話をしていたが、それはかなり関係がありそう。
ただし、同じ理屈で考えると北陸3県の順位が高いのは謎。
データ入力をしていて思ったのが、関東と東北の順位がかなり低いということ。
関東で最上位なのが25位の東京、東北だと24位の岩手ということになる。
順位の半ばになって、やっとランキングに登場するので、東日本は幸福だと感じている人が少ないということがわかる。
地方を一括りにしてみると、九州地方も面白い。
九州の3県がベスト3を独占しているが、佐賀県はブービーという結果になっている。
「客観型調査」からわかること
以下、ベスト5とワースト5。
1、福井県
2、富山県
3、東京都
4、石川県
5、長野県
・
・
・
43、長崎県
44、青森県
45、沖縄県
46、大阪府
47、高知県
まず、北陸勢が強い。
それ以外は特に共通項は見られない。
都会や地方、温暖な地域や寒冷な地域、人口の寡多、治安のイメージ等。
あえていうなら、ワースト5は地理的に日本列島の周縁に位置するといったところか。大阪は例外だけれど。
「差」からわかること
これらの調査結果の面白いところはここだ。
同じテーマの調査でありながら、集計方法の相違によって異なる順位が算出されているのである。
順位の差の絶対値が小さいほどギャップは少ない。
つまり、行政等の介入によって幸せな生活を送るための基盤が整っており、住民もそれらを享受して、幸せであると感じているということ。
あるいは、生活基盤が整っておらず、住民も幸せを感じづらいということ。
反対に順位の差の絶対値が大きいほどギャップが大きい。
プラスが大きい場合は、生活基盤が整っているのに、幸せだと感じている住民が少ない。
一方、マイナスが大きい場合は、生活基盤が整っていないのに、幸せだと感じている住民が多いということになる。
では、それぞれの数値で特徴的な都道府県をピックアップしてみたいと思う。
①差が少ない都道府県
石川県(5,4)、富山県(8,2)、福井県(4,1)、鳥取県(6,10)、山梨県(12,7)、岐阜県(16,13)
これらの県は、両方の調査でともに上位にランクインしている。
つまり、生活基盤が整っていて、住民もそれらを享受しているということだ。
最強の県である。
やっぱり北陸が強い。
とりあえず北陸に住んでいれば幸せになれそうな気がする。
栃木県(27,25)、群馬県(26,24)
どちらの調査でも中位だった北関東の2県。
なんやかんや仲良しである。
青森県(44,44)、宮城県(39,38)、福島県(45,39)
東北勢はどちらの調査でも下位だった。
寒いからかなあ?
寒くて天気が悪いと気分は沈むし、農作物にも影響が出るし。
②プラスの差が大きい都道府県
つまり、生活基盤は整っているはずなのに、なぜか幸せだと感じている人が少ない都道府県。
山形県(40,8)、佐賀県(46,17)、新潟県(43,18)、愛知県(37,12)、山口県(41,19)
いずれも客観型ランキングでは上位なのに、主観型ランキングだと40位前後という結果になっている。
謎だ。
みんな幸せのハードルが高いのかもしれない。
佐賀県は、九州・四国地方の中では客観型調査の結果が上位であるにもかかわらず、九州・四国地方で唯一のプラス県となっているという異質な県である。
ちなみに東日本はおしなべて、差がプラスになっている都道府県が多い。
つまり、幸せだと感じている人が少ないということ。
幸せのハードルが高いのか、ネガティブな人が多いのか。
③マイナスの差が大きい都道府県
つまり、生活基盤は整っていないのに、なぜか幸せだと感じている人が多い都道府県。ポジティブ県。
沖縄県(2,45)、宮崎県(1,40)、高知県(13,47)、福岡県(14,42)、大分県(3,26)
うん、なんかわかる気がする。なぜか納得感がある。
圧倒的偏見だが、いずれも細かいことを気にしなさそうな県である。
一応真面目に考察すると、これは沖縄が顕著だが、地縁や血縁の繋がりが強固な県なんだと思う。
生活していて問題はいろいろあるけれど、人間同士の強い繋がりで助け合って乗り越えているのだ、たぶん。
だから、これらの県に移住すればすぐにハッピーな生活を送れるというわけではなく、住民は古くからつながる人間関係を大事にして、支え合い、助け合って生活しているということを意味しているのだと思う。
まとめ
北陸勢が強い。
客観的に評価して暮らしやすく、住民も幸福を感じやすいというのは素敵なことだ。
幸せになりたい人は、とりあえず北陸に移住すれば良いと思う。
九州以南は「幸せだ」と感じている人が多いが、必ずしも生活の基盤が整っているわけではない。
むしろ、客観的ランキングでは下位に位置するので、生活上の困難は多い方だと思う。
人間関係を大切にする人、細かいことを気にしない人には向いているのかもしれない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?