「地方での転職を希望する都市部の若者」とは


「コロナの影響で、地方での転職を希望する都市部の若者が増えた」というニュースを目にしました。昨今の現状を鑑みて、けっこう妥当な調査結果ではあると思います。
この報道を受けて、Twitterでは「地方の生活は厳しいぞ」とか、「わざわざ脅かすな」とか、いろいろな反響があったわけですが、ぼくは「地方での転職を希望する都市部の若者」という言い方がものすごくざっくりしているなと感じました。

特に気になったのは以下の2つです。
①都市部とは、具体的にどこに住んでいる人を対象に言っているのか。
②都市部に住む若者の出身地はどこなのか。

①都市部とは、具体的にどこに住んでいる人を対象に言っているのか。
おおもとの情報をあたってみたのですが、明示されていませんでした。
まず、間違いなく東京は都市部に含まれます。ただ、一口に東京と言っても意外と広くて、東京都の離島や町村部は都市部に含まれるのか、悩ましいところです。
また、大阪や横浜、名古屋なども含まれている可能性がありますが、横浜だって横浜駅周辺や臨海部を離れれば意外と田舎です。
東京の近郊といえば、千葉や埼玉は都市部ではないのか。意外と、仙台や札幌、北九州なんかも都市部に括られている可能性があります。

嘲笑派は「都市部の若者が考える地方は、所詮地方都市レベルだろ」なんて言ったりしているのですが、そもそもこの調査における「都市部の若者」も地方都市に住んでいる若者を包含している可能性があるわけですね。

②都市部に住む若者の出身地はどこなのか。
これは、常々ぼくが気になっていることなのですが、そもそも東京に住んでいる人で、東京生まれの人って大体どのくらいいるのでしょうか。結構、地方から出てきた人が多いのではないでしょうか。だったら、「地方(田舎)の暮らしは厳しいぞ。」なんてマウントを取ったところで意味がないのです。なぜなら彼らは地方の厳しさを知っているからです。
調査結果のソースをあたってみたところ、面白いことがわかりました。地方で転職したい最大の理由が「地元に帰りたいから」だったのです。また「地元に貢献する仕事をしたいと思ったから」と答えた人も多かった。結局、都市部の若者といえども、地方出身の人が多かったのです。
Twitter上のコメントでは、「都市部の若者は地方暮らしを甘く見過ぎ」という論調が多かったのですが、これって結構的外れだということがわかりました。

「地方での転職を希望する都市部の若者が増えた」というニュースは、「都市にしか住んだことのない若者が地方のいいところだけを見て、隣の芝生は青い的な感覚で地方移住を考えている」というよりは、「就職(就学)を機に都市部に出てきた、地方出身の若者が、やっぱり地元に帰りたいと考えている」ということを表していると理解した方が良さそうです。

↓調査結果の情報源

https://service.gakujo.ne.jp/data/survey/questionnaire202005-2

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