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私にとって特別な場所①

特別な場所①:上高地 つづき

山歩きが私にとって特別なものになるうえで、上高地という場所がカギになるという話の最初のほうを1月15日に記しました。

今日はその続きになります。
上高地の話の前に、山歩きの始まりについて振り返ってみます。

ひとり山歩きの始まり

毎日なにかが苦しくて、どうしたらいいかわからず、色々な人の話を聴いたり、ブログを読んだり。そのうち「毎日裏山をひたすら歩くうちに、突破口が見出せた」というお話を聞いて、(裏山ではないけど)山歩きをやってみよう、と思いました。

最初にひとりで自分だけのための山歩きをしたのが、埼玉県飯能市の天覧山・多峯主山(とうのすやま)https://yamap.com/mountains/2898でした。実はそのとき、数ヶ月にわたるコーチングセミナーのカリキュラムが終わったところで、スキルを補完する目的でファシリテーションを学ぶセミナーを予約していました。
しかし数日前…”(職場のために)自分だけが頑張るのをもうやめたい”という言葉がふっと浮かんできて…そう、コーチングもファシリテーションも、職場のモチベーションアップのために学んでいたのです。
自分が満たされていないまま周囲のために自己犠牲している自分に、そのとき気がついたのでした。
セミナーをキャンセルし、秋(11月)の秩父へ向かいました。買ったばかりのザックとレインウェアを携えて。

早朝の冷たい空気が頬を刺激し、木々が作り出す林の中の澄んだ空気をたくさん吸い込み、多峯主山の最後の登りを終えたら…気持ちのよい眺望を前に、さまざまな人が思い思いの時間を過ごしていました。
普通のおにぎりが特別においしい。思わず笑顔になります。
そして…良いお天気でしたが、ひと気のない下り道を恐る恐る下りていく途中、こんなことが頭に浮かびました。

ここで転倒しても、だれにもわからないかもしれない。
一歩一歩、足を置く場所も、自分が自分のからだに聞いて決めるんだ。


そう、自分で自分の身を守るしかない厳しさと同時に、全ては自分が決められる自由もそこにある。山歩きはそういうものかもしれない。と感じたのです。同時に、自分の生命力が戻ってくるような、そんな感覚にもなりました。

四角友里さんの本に背中を押され上高地へ通う…そして

初心者が山歩きをするにあたり、どんなギアを揃えたら良いかを知るためにまず手にしたこの本;

2013年の発売。この本に影響された「山ガール」は多いかもしれません。私はガールではありませんが…
四角さんも上高地が大好きで、数年かけてステップアップされた経緯がリアルに記されていました。
そもそも上高地の明神池までも私にとって秘境感があったのに、その奥には徳沢、横尾…と初心者でも散策レベルで行ける場所がある。そしてさらにその奥にある、涸沢という場所を知ることになるのです。でもまだ、この時は半分絵空事でした。

次のステップとして、中学生になった子供を連れて徳沢まで歩き、徳沢園に宿泊してみました。徳沢園は山にまったく興味がない子供にとっての”ニンジン”のつもり。しかし、なんと土砂降りの雨に見舞われてしまいました。レインウエアを着て2時間も歩くなんて…と子供に「2度と行きたくない」という気持ちにさせてしまいました(私は全然平気だったのですが)。

素敵すぎる山小屋で、素敵すぎる美味しい食事を満喫した翌日、晴れたので初めて横尾まで歩きました。

横尾大橋では、涸沢や穂高、槍ヶ岳方面へ向かう登山者の方が笑顔で支度をされています。朝食で同じテーブルだったご夫婦に出会い、「あら、こちらでしたか!今日は私たち涸沢まで行くんですよ〜ではお先に!」と元気に出発されるのをまぶしく見送り…

横尾大橋を渡ってみました。
橋から続く登山道に【ここから山道】【涸沢まで行く方は14時までにここを通過してください】の文字が。

この先へ。涸沢へ行ってみたい。と胸が高まりました。
…そうか、やっぱり私は行きたいんだ。と再確認したのです。

帰りの高速バスで、明らかに日帰りトレッキング装備の女性をみかけました。ああ、夜行日帰りかな、素敵な休日の過ごし方だな、と思い、そこから毎年の上高地散策が始まりました。
早朝にバスターミナルへ着き、朝の木漏れ日がキラキラと輝く林を歩きます。タイミングを合わせ、霧に囲まれる岳沢湿原や明神池にも出会うことができました。
上高地で、日頃疲れ切った心が洗われ透き通っていく…

岳沢湿原 別の角度から

でも、心の中には「いつか横尾から先へ行く」という気持ちがふつふつとしているのです。
私にとっての山歩きの目的は自分の心のリフレッシュであることに間違いないのですが、そこに「涸沢に行く」ということも現実的な目標として加わったのでした。

今日はここまで。
後日、ついに涸沢デビューするまでの過程と、その後の暗黒の時期について書きたいと思います。