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サンタさんからのプレゼント

私が8歳、妹が5歳のときの話。

クリスマス前にサンタさんにプレゼントを入れてもらう用の靴下を買いに行った。

私は小さめの靴下。今でも事あるごとに金銭を要求してくる妹はそのときから強欲で、赤ちゃんがひとりスッポリ入るくらいの大きな靴下を買った。

「サンタさん、この大きい靴下に何を入れてくれるんやろな~」妹は目を輝かせながら言った。

私は当時から非常に冷めており、「どうせオカンがプレゼント入れるんやろ。デッカイの入れやなアカンな。カッカッカ」と思うようなイヤなガキだった。

クリスマスの朝、妹がドタドタと二階から走って降りてきた。

「お兄ちゃん~見て見て! サンタさんにもらった!」

妹は手を高く掲げているが、なにも持っている様子はない。近づいて見てみると、妹の手の平にはキティちゃんの髪留めゴムがひとつだけポツンと乗っていた。

「見て~、サンタさんにもらってん。えへへ」

いや、妹よ。えへへ、やないぞ。

なにこれ? 靴下の大きさとプレゼントのサイズがまったく合ってないやん。

たぶん、このサイズだと靴下からゴムを出すのは大変だっただろう。小さな手をつま先の部分まで突っ込み、苦労して取り出したに違いない。

オカンよ。ウチは別に貧乏でもないんだから、もう少し大きいの買ってやれよ。

そういう私は『ドラゴンボール』の単行本一冊、なぜか27巻だった。

オカン、ワシはドラゴンボールは全巻持ってまんねん。んで、なんで27巻やねん。いや、たしかに対フリーザの一番盛り上がるところやけど。

プレゼント選びが適当過ぎるサンタ(オカン)だった。

#エッセイ #クリスマス

働きたくないんです。