「なんでもいいよ」は思いやりでもなんでもない
以前友達だった人とごはんに行くとき、会うなり言われるのがこのセリフ。
「オレ、なんでもいいよ」
ホントになんでもいいのか? 「今日は肉食いてえ」みたいなのはないのか?
「じゃあカレー食おう」私は言った。すると友人はこう言う。
「カレーは昨日食ったから……」
ほな、なんでもええ、言うな。
と、こういうことになる。
腹が立つので、毎回私が決めていく。すると友人、こう言う。
「遠い」「明日、早いから」「一週間前食った」
なんやねん。全然なんでもいい、ちゃうやんけ。
親しいからこういうことも言ってくるのだと思うが、非常に鬱陶しい。
しかし、親しくなくても平気で文句を言ってくるヤツがいた。
会社の上司だ。
「どこでもいいから予約取っといて」
どこでもいいとは言え、会社の飲み会なのでそれなりに気を使う。
安っぽいところもどうなのか。焼酎が飲み放題に入ってないと論外だな。あとは高層ビルの綺麗な夜景が見えるところとか……
色々考え、予約を取り、そして当日。上司は店に入ると開口一番、
「うわ、オレ鍋好きやないんやけど」
ほな、なんでもええ、言うな。
横から社長が一言、
「オレ、魚介類あかんねん」
入店するや否や文句の嵐。私の努力が水の泡。
もう、お前ら。小3の子供か。文句ばっかり言うな。じゃあ、お魚は食べてあげるからね~。お肉と豆腐を多めに入れてあげるね~。
「なんでもいい」と言って考えることを放棄。そして、後から文句を言う。
しつけの良い子供の方がまだマシだ。どうしようもない。
「なんでもいいから注文しといて」
適当に注文すると、「イカ辛頼まんかったんかい」と怒る。
ほな、なんでもええ、言うな。っていうか店員に言えや。さっき来たやろが。
「どこでもいいから行こう」
と友人が言うから、
「じゃあ法隆寺」と私が言うと、
「法隆寺!? いらんわ。何しに行くねん」と友人は言う。
「じゃあ、明日香村にする?」と私は言う。
「何もないやんけ、あそこ」と友人。
「じゃあ、奈良市のカフェ」と私。
「男ふたりでカフェ行ってどうすんねん」
もうええ! もうええ! もうお前とは遊ばん!
こういう例は枚挙に暇がない。
デートでも男は彼女に合せるのが良いと言われるが、毎回「なんでもええ」と言う優柔不断男はダメだろう。
「今日は焼肉じゃ! 炭火じゃ! 松阪牛じゃ! ほな、行こか」
くらいの男気溢れるヤツの方がいいんじゃないか、と男の私なんかは思う。
相手に選択をゆだねるのは思いやりでもなんでもない。相手に負担を強いるだけだ。
働きたくないんです。