仏具紹介『瓔珞』
今回紹介する仏具は『瓔珞(ようらく)』です。別名『ジャラジャラしたやつ』です。
仏壇の天井に吊り下げます。
仏具それぞれに持前の用途があるのですが、コイツは完全に飾りです。
飾りに特化しただけあって、すごく煌びやかです。私も初めて見たときは心奪われました。
しかし、仏壇屋の仕事に従事するうち、コイツが憎くて憎くて仕方なくなってきました。
なぜかというと、すぐにバラバラになるからです。
古くなった瓔珞に手を振れるのは厳禁です。絶対にバラバラになります。
先輩の山田さんは外回りで基本、店にはいないのですが、たまにいるな~と思ったら寺の瓔珞を修理していたりします。というか、瓔珞修理以外で席に座ることはありません。
したがって、山田さんの前で瓔珞を外してしまうとキレられます。「外すな! バラバラになるから!」
瓔珞の恐ろしさを知っているのでしょう。「そんなキレんでも……」レベルでキレます。
それはともかく見てる側からすると、とっても綺麗で人気のある仏具ですが、扱う側からすると非常にやっかいな仏具です。
素材はプラッチック、アルミ、真鍮、木製、などです。安い順です。
オススメは真鍮です。高級感のある重み、ジャラジャラ感、すべてに置いて他を凌駕しています。錆びるのが玉にきずです。
一番オススメできないのが、一番高い木製です。コイツは木なので重みもありませんし、ジャラジャラ感もありません。
見た目だけではプラッチック製とそう変わりありません。高いクセに安っぽく、バラバラにもなりやすい、もはやどうしようもありません。
田舎の浄土真宗の仏壇には木製の瓔珞が四つくらいついているものがありますが、あれは地獄です。邪魔だし、手を振れるとバラバラになります。
ちなみに真宗大谷派(お東さん)は瓔珞は必要ありません。
瓔珞の取り扱い方としては、「取り扱わないこと」です。ホコリが溜まっていても絶対に触れない。放置。見るだけ。これが瓔珞を長生きさせるコツです。
働きたくないんです。