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Part3 占術|迷いを払い行動を起こす忍術

第3回サークル(Shinobi Design Community)で紹介する忍術は「占術」です。ようするに占いですね。忍者が用いた占いは様々あり、神道伝来の動物の骨の割目から吉凶を占う“太占(ふとまに)”や、密教伝来の星占いである“宿曜道”、法則に則って方位盤を作り吉凶の方角を占う“奇門遁甲”(または八門遁甲)などがありますが、今回扱う占術は「易」です。

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易は他の占術に比べてとっかかりやすく、占いらしい内容で面白いということで今回紹介します。

易のやり方の前に、忍者にとっての占いのあり方、考え方について話しましょう。

忍者にとっての占い

占い、また宗教や呪術もそうですが忍者にとっては100%信用に値する者ではありませんでした。確実にそれが当たるという証拠はなく、でも当たらないという根拠もないので一応扱うというのが占術を使う上での前提です。

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ちなみに、忍術秘伝書である『万川集海』には天時編にて占術が記載されており、ここでは軍を動かす日取り、戦うべき日、または忌むべき日、忍び込みの日など軍隊を動かすための占術で日時を占うもの。雲の動きや動植物の変化で近日中の天気を占う(予想する)ものがまとめられています。現代では天気は過去の記録、衛星写真などで正確な予報がされますが、当時の人間にとって天気の変化はわからないもので、占いで未来の吉凶を予想するのと同じくらいのくくりでした。

万川集海には、占いの有用性について、日取り・時取り・方取り(日時方角の吉凶)に縛られすぎないように注意を促していています。なぜなら味方にとって吉日は敵にとっても吉日だから、敵を倒せるという根拠にはなり得ないからです。カレンダーに書いてある大安や先勝などの六曜はこの類いです。

しかし、占いを無くしてはならないということも説いており、その理由は人心をコントロールする手段として有効だから。臆病な兵士、また軍隊全体の指揮を高めるのに占いによって「今日は勝てる日だ!」と勇めることができるからです。そのため、占術について孔子は「民は日取り・時取り・方取りの吉凶によって動かし、この術のやり方を知られてはいけない。」とも言っています。

孔子曰く
「民は之に由らしむべし、之を知らしむべからず」
(之:日取り・時取り・方取りで、つまり占いのこと)

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また、占いをする上での注意点として兵法書『訓閲集』では、陣中で吉凶を占ってはいけない。と言っており、占いは行動を起こす前に行い、行動中は占いをしてはいけないということを伝えています。

『訓閲集』陣中の法度
陣中に於いて吉凶を占う事なかれ。悪しき時は味方のよわりとなるものなり。

私が考えるに、占いは行動を起こそうとするときに付きまとう自分の不安を払うために使うもので、自分自身では心の弱さから決断できないときに、自分よりも大きな力を持つものに判断を委ねる行為。凶なら今はまだそのタイミングじゃないと心を落ち着かせ時を待ち、吉なら「神がそう言うならそうに違いない!」と勇気を奮い立たせて今すぐに行動を起こす。動くにせよ動かないにせよ、その選択肢という行動を起こすためのキッカケ作りとして扱うものだと思います。

(そのため、行動を起こした後は気持ちのブレを一切作らないために再び占いをしてはならないとも考えます。)

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易の基本

では、いよいよ「易」について説明しましょう。易は占いとしても面白いですが、それ以上に困った時のアドバイスブックとして、自己啓発本的に行動の指標として使えるものです。儒教では「易経」として経典ともなっているものです。

易経は陰陽思想を元に作られているので、思考の幅を広げたり物語を書く人にはネタ探しにも役に立つと思います。まずは易の基本構造を学び、占いのやり方について説明していきます。

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