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現場で働く忍者の知恵!「負けない計画力」【忍者の技と知恵#212 番外編『軍法間林清陽巻中』①】

いつもは『図解万川集海』を元に「忍者の技と知恵」について話す連載記事だが、今回は『軍法間林清陽巻中』を元に全3回で、忍術の図解を交えて話していきたいと思う。

『万川集海』のネタ本になった『間林清要』とは?

『軍法間林清陽巻中』とは、忍術伝書『万川集海』のネタ本といえる伝書である。

『万川集海』は『忍秘伝』『正忍記』と並び三大秘伝書と呼ばれる忍術書の一つで、全21巻+1巻の計22巻から構成される伝書である。その情報量の多さは他の伝書を圧倒し忍術の百科事典と呼ばれることもある。

この『万川集海』の序文に「始めから終わりまで『間林清要』の綱領を挙げて記し、伊賀・甲賀十一人の忍者が秘匿してきた忍術・忍器、並びに諸流の忍術のうち、時代に合わないものを捨て、良いものを選んだ」とあることから、『軍法間林清陽巻中』は『万川集海』の原典となる忍術書と考えられれている。

『軍法間林清陽巻中』は、上・中・下巻から構成される伝書と思われ(上・下巻は現在未確認)、中巻の内容は50ヶ条に及ぶ具体的な忍びの戦法や忍器の説明が載っている。

内容は諜報のポイント、夜討ちの戦法、火付けの役割、忍び込み方、忍器の説明、呪術まで書かれており、具体性が高く実践的である。

「大勢に囲まれた危機を脱する」戦術レベルから戦闘レベルへ

では、『軍法間林清陽巻中』の忍術の中から、僕が面白いと思ったものを紹介しつつ、そこに秘められた忍者の知恵のエッセンスを語りたいと思う。

「大勢に取り籠められた時の習い」
これはもし敵に見つけられ、知略も敵わずに討たれる時は、二人でも三人でも一つに固まり、太刀先を並べ、敵の右へ右へと切り懸り、敵を一つに丸くして討つのである。
『杣中木村本家文書 -尾張藩甲賀者関係資料- 軍法間林清陽巻中』

文中の「知略も敵わず」というのは、要するに戦術レベルでの対処が失敗した場合どうしたらいいのか?ということを示していて、戦術から戦闘(武術)に対応レベルを下げて作戦を考えていることが読み取れて面白い。

戦に関わらず、計画というのは「目的」という戦略レベルから始まり、目的を達成するための具体的な「目標」という戦術レベルに変わり、目標を達成するための「実行手段」である戦闘(武術)レベルに下る。戦略がしっかりしており、戦術レベルが高いものなら戦闘に頼らず戦いを楽に進めることができるが、常にそう簡単にいくものではない。そういう事態もあらかじめ考えておくことでどんな時でも迷わずに進むことができると言える。

なお、この戦法を細かく解説すると、敵は発見した2〜3人の忍者を数の優位で取り囲んで分断し、各個撃破しようと考える。これに対して忍者は分断されないように固まり、味方2〜3対それ以上の敵という不利な状況を、右の敵だけを倒すという考えに絞ることで味方2〜3対1の敵という構図に変え、包囲の一点を破ることに集中できる。

↑『杣中木村本家文書 -尾張藩甲賀者関係資料- 軍法間林清陽巻中』滋賀県甲賀市



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