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【エレキギター回想録・その4】

さて、Vが続きますが、今回はコレです。😊

【Gibson Flying V  Jimi Hendrix Signature Model】

Gibsonのジミヘンシグネイチャーなんですけど、これは1990年〜1991年に掛けて、限定400本で製造されたものの一つです。
オレ自身は、コレを手に入れるまでこのモデルの存在を知りませんでした。
Gibson初のジミヘンシグネイチャーで、68年当時、Gibson社が自ら進呈したジミヘンモデル3本のウチの1本を再生産したような感じになりますね。

【ジミヘンにGibsonを弾かせよう!】

当時のGibson社は、イギリスで人気のジミヘンにギブソンギターを使わせようと必死でした。
ジミヘンの登場で、売上が落ちていたフェンダーが持ち直して、代わりにSGの売上が落ちてきたからです。
当時レスポールは生産中止状態で、Gibsonは主力機種を持っていなかったんですね。

「右用のフェンダーを左で弾くよりも、左用のギターを使った方が良いに決まってる!」と言う、Gibson社の勝手な判断から、右でも左でも違和感のない、シンメトリックなデザインのギターを持たせようとしたようです。
で、白羽の矢が立ったのが、当時再発を狙ってたフライングV。
シンメトリックデザインで、右でも左でも違和感がないので、左でジミヘンが使ってても、右用が売れると思ったんでしょうねぇ〜。

そしてジミヘン用に67年式のVをベースに、3本のプロトタイプが進呈されたわけです。
しかしジミヘンは右用のギターを使い慣れて居たため、左用のギターだとボリュームなどのコントロールがしづらいと言う事で、このフライングVをすぐに回りのスタッフなどにあげてしまったんです。
その後、その3本の行方は分かっていませんが、そのうちの1本だけは、当時のジミヘンのローディーが所有しており、今はハードロックカフェに飾られているそうです。
オレは現物を見たことがないですが…。😅

【ジミヘンが死んで20年】

で、ジミヘンが不審死してから、20年の歳月が流れるわけです。
Gibson社は、没後20年を祈念して、ジミヘンシグネイチャーの制作に出るわけです。
ベースモデルは現行のフライングVで、雰囲気だけ当時のジミの67Vに似せたモデルを限定400本で出すわけです。
ウチのはその400本の中の1本です。

【オレとジミVとの出会い】

オレは、2000年頃にBacchusのコリーナを買ったわけですが、其の直後くらいに行きつけの楽器店から電話がかかってきたんです。

楽器店:「もう、オマエしか買わないVが入荷したから。売約で取ってあるから直ぐに見に来い!」

という事でした。🤣

別に何も頼んでないんですが、売約に成ってるとか…。😅
なんの事か解らないまま、言われるままに楽器店へ言ってみると、そこにはこのVが鎮座しておられました。

【中古のジミヘン】

ジミ・ヘンドリクス シグネイチャーなんて聞いたことも見たこともなかったのですが、当時日本での人気は無かったらしく、普通の中古Gibsonの値段で引き取れと言う話でした。
元の持ち主は女性の方で、余りギターに固執してる感じではなく、通常の中古相場の値段であっさり置いて行ったそうです。

オレは、何事か!?と思ったんで、取り敢えず20万程の現金を用意して楽器店へ行った訳ですが、中古のGibsonVの値段…(当時6万円でした)で良いから買え!と。
札幌ではオマエしかこんなギター買うヤツは居ない。
と言うか、他のヤツが買ったら悔しいだろ?って。🤣

当時、オレは既に「KIYA-HEN」の異名で通ってたので、まぁジミヘン関連はそりゃ電話来ますよ。🤣

で、ふと見ると、そこには魅力的なギターが他にも2本有ったんです…。

【怒涛のGibson3本買い】

ジミVの横には、エボニーカラー(黒)のエクスプローラーと、ブラウンサンバーストのファイヤーバードがありまして、全部6万で良いから持ってけ‼と。
まぁ、店員さんは冗談で言ったんだと思うんですが、それを真に受けたオレは…

心の声:「普通、Vだけで10万はするよな…コレだと3本で18万だぞ?新品だとGibsonは1本しか買えないけど、これなら3本イケるぞ?買うか?」

と言う自問自答が続いてたわけです。
数分悩んで3本共買うことにしました。
まぁ、現金20万もって来てたんで、Gibson新品1本買う気なら、安いものでした。

帰り際、店員から「もう何十年も店やってるが、Gibsonの茶色いケースを3つ一気にぶら下げて帰った客は初めてだよ…。」と呆れられました。🤣

【ヨーロッパへ持ち込む】

その後、オレはマヴェリックと言うメタルバンドのギタリストに就任して、全国ツアーとかに出るようになるわけですが、デビューアルバムの作成の後、ヨーロッパツアーへ出ることになたわけです。
と言っても、ドイツのメタルフェスに出るだけなんですが…。😅

2005年当時としては、札幌のローカルバンドがいきなり海外のフェスに出るなんて、快挙でした。
周りは多分、羨ましがったり、やっかみ半分で噂したりしてたんでしょうね…。🤣

其の時に、メインギターとしてこのジミヘンVを持っていったんですよ。
当時ウチで一番いい音のギターでしたから、オリジナルのパーツはピックガードごとAssenで保管して、メタルに耐えられるように、新しいピックガードにピックアップから何から全部交換して持っていきました。

当時出入りしてた札幌のヴィンテージギター専門店で、半日かけてコンデンサーの選定や配線用のワイヤーの選定などとっかえひっかえやって、ベストと思える仕様で、新しいピックガードに組み込んだんですよ。
当時の仕様は、ダンカンJB+59、CTSにWEの単線、400Vの黄色いフィルムコンデンサーでした。
ガリッとしたサウンドにして、ドイツへ旅立ったんですけどね…。

現地でも、かなり良好なパフォーマンスを見せてくれまして、他所の国から来たバンドマンからも絶賛されましたよ。
だから、このギターはウチでは唯一海外の空気、それもヨーロッパに空気を吸った奴なんですよね〜。
あの当時、常にオレの手元にあって、苦労や苦悩を全部見て知ってるギターなので、オレにとっては宝物なんですよね。😊

【現在の仕様】

ナッシュビル製のこのギター。
木部の加工は、現行の67Vと全く同じ。
違うのは、ピックガードアセンブリと、インレイの類いですね。
あとゴールドパーツってのもあるか…。
オリジナルのジミヘンモデルは、マエストロの板バネアームが付いてるバージョンとついてないバージョンがありまして、これは付いてないバージョンの再現だそうです。
ハードロックカフェに残ってるやつは、アーム付きバージョンですね。

【サイン入りピックガード】

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ピックガードの短い羽部分に、ジミヘンのサインが刻印されて金文字で修飾されています。
これが、このシグネイチャーの特徴ですね。
ピックアップは、57Classicの元になったピックアップじゃないかと思われます。
品番が定かじゃないのと、サウンド的に後の57っぽいテイストが有るからなんですけどね…。

【ネックのインレイ】

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トリニ・ロペス仕様のインレイ。
そして、バインディング。
当時、Vにはバインディグは無いのが普通だったんで、このバインドネックはカッコよく見えましたね〜。
あと、当時のGibsonは、アーティストモデルにはこのダイヤモンド型のインレイを好んで入れてたようですね。
他にもワンオフで同じインレイのギターを複数見たことがあります。
個人的には、このダイヤモンド型のインレイは大好きです。
確か、V90もコレですよね?

【ヘッドストック】

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ペグを交換したまま、放置に成ってるので、ペグがゴトーなんですけど、元はGibsonの純正ペグでした。
良く有るグローバーのクルーソンもどきですね。
オリジナルペグは保管してあります。
オレの実用ギターはほぼペグをゴトーに交換してますね、そう言えば…。

ロッドカバーに番号が…、331 of 400って事で331番です。
Gibsonのメーカーロゴは、レスポールみたいに、シェルインレイになってます。
ヘッドの形も67リイシュそのままです。
オリジナルの67とも、他の年代のVともぜんぜん違うシェイプですが、まぁ3角なので良いか…って感じの低レベルな拘りです。😅

【ヘッド裏】

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ヘッド裏には通しのシリアルナンバーが…。

ウチのは、1991年製の様です。
まぁ、後半のモデルなので、そうだよねって感じで…。
で、HALL of FAME edition と書いてあります。
直訳すると、「殿堂版」って事ですが、まぁジミヘンモデルですからね…。
ロックの殿堂みたいな意味合いなんでしょうね。

【その他のうんちく等】

とにかく、全身クラックが入りまくりで、細かい塗装のひび割れが凄いです。
オレは、レリックとかには全く興味がないので、こういうヒビ割れは単に「傷」に見えるんですよね。
だから、ちょっと悲しいのですが、当時のオリジナル塗装のまま保管したいのでもう諦めてますけど…。

あと、全く同じ仕様で、95年にこのVが追加で作られるんですよ。
これ出た時、もの凄い人気で、あっという間に完売して、再発を望む声が大きかったらしく、95年に再生産するんですが、そっちは限定400本じゃないので、ヘッドが普通のVと同じになるんです。
つまり、Gibsonロゴはロッドカバー上の金文字なる訳です。
後はコレと同じ仕様みたいですが、現物を見たことがないので、よく解りません。

でも、その「95年ジミV」のお陰で、この「91年ジミV」の価値が下がったとも言われてるので、ちょっと複雑な心境です…。🤔

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