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【エレキギター回想録・その5】

Flying V ばかり続きますが、どうしてもVが多いんですよね。
初めてのエレキギターがVだったので、一番使用頻度が高いんですよね。

【Gibson Flying V Designer 1984】

1984年型Vのバリエーションで、Designer's Series というのがありまして、ピックガードレスのボディにストライプなどのペイントが施されたモデルで、当時流行りのヘヴィーメタル需要を意識したデザインに成ってたんですが、いまいちプレーヤーのウケが悪く短命に終わったモデルなんですけどね…。

1970年代後半から、NWOBHM と言う事でイギリスを中心に新たなヘヴィーメタルムーブメントが起きたのですが、その世代へ向けての商品だったようなのですが、Gibsonが参入する頃には既にNWOBHMも下火に成り、発売が遅すぎたと言う、残念な理由でした。😅

【異色なスペック】

Flying Vは、コリーナか、マホガニーという感じだったのですが、80年にオールメイプルのTHE Vとか、ウォールナットとマホガニーやメープルの積層板を使ったV2等、移植のVが何種類か生産されたんですが、このV84は、アルダーボディーに、メイプルネックと言う、Fenderの様な材料のチョイスで、音の立ち上がりも早く、良い音だと思うのですが、大きなボディー(ナッシュビルスタイルのボディー)という事もあって、かなり重たいギターです。

また、時代は既にセイモアダンカン等のカスタムピックアップの時代だったのですが、Gibsonは1時代前の「ダーティー・フィンガー」を搭載しており、サウンド的にもやや古めかしい感じであまりウケが良くなかったんですよね。

そのV84をベースにデザイン装飾を入れたモデルや、ケーラー等近代トレモロシステムを取り付けたモデルとか、バリエーションも有ったのですが、まぁ正直商品企画を失敗したモデルと言えるでしょう。

【出会い】

元々、ハードロック・ヘヴィーメタルを演奏するに、Vと言う形は最適と考えており、よりハードなサウンドがでるVが欲しかっったのですが、Gibsonファンなので、Jackson等よりも、Gibsonを選びたいわけです。
そこで、思いついたのがこの84Vなのですが、思いついた時は、既に2000年代に突入しており既に生産中止で、しかも不人気モデルなので、中々市場に出てきません。

そんな時にいつものヤフオクで、パーツが殆ど無い状態で、しかも塗装も半ば剥げ落ちた酷い状態の物を発見したのです。
当然ジャンク扱いで、格安でしたが、パーツがほとんど付いておらず、ピックアップは一つだけ、電装系は一通り付いてましたが機能せず。
ペグ欠品ナット欠品、フレットはボロボロでブリッジ・テールピース欠品という状態でした。

【補修作戦開始】

取り敢えず、木部の割れや欠けが無いことを確認して、落札。
同時に、パーツ探しを初めたのですが、先ずは塗装を綺麗に仕上げなければ人前に出せないなと…。
当初黒だった色を白に塗り替えてしまおうと思い、地元のヴィンテージギターを扱うギターショップに持ち込み、リフィニッシュの依頼をしたんです。

そこからが物語の始まりに成ったわけです。
すぐに使いたかったのですが、肝心のバンドの方でトラブル発生の後、オレはそのバンドを脱退してしまったので、急ぐ必要がなくなったので、ゆっくりで良いけど、予算を教えてくれないと、お金の都合もあるので、予算を教えて欲しいと伝えたのですが、お店の言い分は、「5〜6万位…」との事でハッキリしないのでハッキリしたら教えて欲しいと言ってたんですよね。

【それから数年】

いつまで経っても、金額を提示してくれないので、取り敢えずいくら用意したら良いか?と聞いたんですが、やはり5〜6万〜との曖昧な返事。
金額決まらないと支払いできないし、まして2年以上経過してて、金額分からないなんて事があるわけがない…参ったな〜と思ってる内に、そのギターショップ、夜逃げしたんです。😅

【空白の半年】

ギターショップが夜逃げして半年経った頃、オレはもうこの84Vの事は半ば諦めてました。
しかし、元店員の方から(この方はオーナーが夜逃げするずっと前にやめている)「キヤさんのV見つかりました!札幌で84Vのリフィニッシュなんて、キヤさん以外に居ないですよね?長野の某工房に放置になってますので、その工房と直接連絡を取って見て下さい!」との事でした。

オレは小躍りして喜んで、その工房に連絡してみた。
すると、工房曰く「このギター以外の作業代金が未納なので、未納分を入金してもらえるまで作業を止めてました。」だそうだ。
しかも、「Vは、剥離だけしてそのまま放置に成ってます。」という事だ。
「もし、塗装するならば4万円。しないならば、剥離の代金2万円を支払ってくれれば、Vは送り返す。」という事だったので、当初6万を考えてたオレとしては、断る理由は全く無かったので、4万円でリフィニッシュをお願いした。

実用的な事を考えて、極薄のウレタンフィニッシュにしてもらい、カラーはポラリスホワイト。
Gibsonのロゴは消さないで欲しいと言うことを伝えた。

【仕上がってきた!】

更に1ヶ月ほどして官僚の通知が届き、支払いを済ませて、ギターが3年ぶりに帰ってきたわけですが、完璧でした。😊
美しい仕上がりで、何も文句はありません。

予め用意してあった、各種パーツを組み込み、仕上げた姿は予想通りの完璧な姿で言うことはありません。
問題は、フレットだけになりました。
フレットは、元BiGBOSSの店員で、ESPのギタークラフトアカデミーの卒業生でも有る知人に頼んで打ち替えてもらいました。
これで完璧に仕上がったわけです。

【実戦投入】

このギターは、オレのバンドPhantom of sorrowが本州遠征を初めた頃に好んで使ってました。
東京や大阪でこのギターを見た人が居ると思います。オレとしては、数年掛けた復活劇だったのでかなり思い入れありますね…。

【現在のスペック】

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元々付いてたダーティーフィンガーは、正直時代遅れ感が否めないので、きっぱり捨てました。
元々ピックアップは一つしかついてなかったので、其の一つは売っぱらって、ブリッジパーツや、エスカッション、電装品へと生まれ変わりました。
で、ピックアップは、フロントが初期の57Classic。
57Classicは後にバーストバッカーなどに進化するのですが、当初の57Classicは今の57Classicよりもよりヴィンテージ感が強かったように思います。
今の57Classicは、ちょっと出力が控えめな490Rの様な感じがしますね。
年々、モダンピックアップに近づいてきて、逆にヴィンテージ感はバーストバッカーシリーズに譲る感じになってるようですね。

リヤピックアップは、断線した1975年のT-TOPをベースに、遠藤氏にリワイヤリングして貰った、後の遠藤ピックアップにつながる試作品をマウントしてあります。
これは、オリジナルのT-TOPよりも、より繊細でレンジも広く、Gibsonピックアップ独特の雑味も兼ね備えてるという、オレの理想に限りなく近い音が出るピックアップです。

今メインで使ってる遠藤ピックアップよりもやや雑味が多く、よりダーティーなロックサウンドを出してくれる気持ちの良いピックアップです。

【内部配線】

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新品のCTSのポットに全て換装。
コンデンサーはTAIHAN(韓国製)のペーパー(オイル)コンデンサ。
ミッドの張りを強調したかったので、コレを選んでみました。
また、リヤにはハイパスコンデンサーを取り付けて、スムーステーパー化してあります。
ハイパスにはブラックビューティーを使ってありますね。
贅沢だな。🤣

HOTLINEは、オレの大好きなヌケヌケ線、ALPHAのAWG24ですな。🤣
EARTHLINEは、0.8mmのスズメッキ線。
当初はWEの単線を使ってたんですが、国産の0.8のスズメッキ線でも大差ない事が分かったために、コストダウンで今はこの国産のスズメッキ線を使うことが多くなりました。
ポット〜スイッチは、Fenderタイプのスロスワイヤと言う、ウチの定番仕様にしてあります。

【ペグ】

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元々、グローバー102Cが標準で搭載されてたんで、そのままです。
ただし、新品にしました。
シリアルナンバーが、リフィニッシュで見えづらく成ってますが、光にかざすとうっすら見えます。

【ヘッドトップ】

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このギターは元々釣り鐘型のロッドカバーで、ヘッド先端にロゴシールが貼ってあるタイプなので、ここも元のデザインをそもまま採用してます。
ある意味、ここが、84Vの特徴でも有るので…。
ヘッドシェイプは、80年のヘリテイジコリーナと同様のヘッドシェイプ。
このシェイプは、ヘリテージコリーナと84Vだけなんですよね。
それ以外の80年代後半以降のVは、67リイシュと同じシェイプなんです。
なぜ、このシェイプを採用したのか不明ですね…。

【まとめ】

今は、あまり外で使わなくなりました。
音は良いのですが、重たいんですよね。
メープルネックの立ち上がりは魅力なんですが、この重さは結構厳しい。😅
なのでこいつは部屋でノンビリ暮らしてます。😊

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