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使っているカメラについて語ってしまおう(OLYMPUS OM-4Ti)

最初に買ったカメラはOM101

 最初に使ったカメラというのは、後々まで尾を引くことが多い。確かに同じメーカーでないとレンズが使えなかったり、リングを回す方向が逆だったりとかで、仕方なく同じメーカーとなる事もあるが、時には同じメーカーでもマウントが変わってしまったりして、レンズが使いまわせないような事態になることもあるのに、やっぱり同じメーカーを使ってしまう。僕の場合は、最初のカメラがオリンパスのOM101というカメラだった。知ってるカメラのメーカーを挙げれば6番目か7番目くらいに出てくるマイナーなメーカーの、しかも当のメーカーでさえ「無かった事」にしたいような不遇なカメラである。
 カメラは少々変わり者だがレンズが良かったので気に入って使っていたのだが、当時のアルカリ電池を使うカメラというのは寒さに弱かった。もう少し後のリチウム電池を使うカメラならそんなことはないのだが、電子カメラの信頼性に疑問を持つようになり、機械式のOM-1に変えた。さすがにこれの信頼性は申し分なく、今でもきちんと動くほどだが、やはり絞り優先くらいの機能は付いていると便利ではある。

愛をください

 そんな訳で東京の中古屋を回り買ってきたのが、OM-4Tiだ。ほとんどのOM-4Tiはブラックボディーだが、僕のは初期型のチタンカラーで、しかもiが付いていない「OM-4T」である。どうもこれは輸出仕様で、そのせいで他より安かったらしい。
 OM-1と比べるとファインダーがクリアーで、視度補正もあるのでピント合わせがしやすい。ファインダー倍率は0.84。OM-1の0.92よりは小さいが、それでも大きい方だ。視度補正を掛けることによりもう少し小さくなるが、これに55mmレンズを装着すると肉眼と倍率がピッタリ合ってしまう。まさに素通し。写ルンですのファインダーだ(褒めてる感じがしないが、褒めてます)。両目を開ければそのまま日常生活が送れそうである。
 測光の精度もいいので、リバーサルでも安心して使える。そして、抜群に使いやすいスポット測光を顔に一発打ち込んでおけば、露出で迷うことはない。
 逆にこれはちょっとという点は、巻上レバーの感触である。どうやら極寒の地でグリスが固まらないよう配慮したという事らしいが、ニコンF3に南極でも動くぞと言われてしまうと、何も言えなくなってしまうのである。

OLYMPUS OM-4Ti ZUIKO90mmMACRO

夏の強い日差しが容赦なく照り付けるアスファルトが背景になってしまったが、スポット測光とネガのラチチュードに救われた。

カメラが小さいというのは性能の一つだと思う

 カメラに限らず車なんかもそうだが、モデルチェンジによって性能が上がり機能が増えてゆく。買い替えを促すためには当然そうなるだろう。ただ、それに伴ってどうしても本体が大柄になってしまう。レベルアップしていくお腹に合わせて愛車がワイドボディー化していく方を、「エラくなられたんだなぁ」としみじみ見送るなんて事がよくあるが、カメラもそんな傾向がある。ところがこのOM-4Tiはサイズが全く変わっていないのがいい。それどころか、元となったOM-1はバルナックライカのサイズを目指したわけで、そこから変わってないとも言える。ペンタプリズムの部分はファインダー情報が増えたせいか大きくなったが、上手い処理でそれを感じさせない。こういう所のデザインがオリンパスはうまいんだよな。その辺ニコンなんかは無頓着で、本当にそれでいいのかというまま発売されたりする。まぁ見かけよりも性能や耐久性を見てくれという事なのだろうな。

 OMはレンズが小さいのも助かる。50mmをつけて、ポケットに24mmを放り込む。もう少しちゃんと撮りたい時は50mmを90mmに変えて、コンパクトカメラをお供に。ずっとこんな感じでやっているから、取り立てて軽装だとは思っていなかったが、カメラをEOS-10Dに変えた時は、嵩張る荷物に閉口した。

世界初のストロボ全速同調

 このカメラの飛び道具の一つにスーパーFP発光というのがある。他社がチタン幕縦走りシャッターなどの新技術を採用していく中、このカメラは昔ながらの布幕横走りを採用していた。このシャッターは静かで振動も少なくとてもいいのだが、その反面フラッシュの同調速度を速くできない。フラッシュの発光時間というのは一瞬なので、その一瞬にシャッターが全開になっている必要がある。だから幕速の遅いカメラは同調速度も遅くなってしまう。なら発光の時間を長くして全開にしなくても使えるフラッシュを作ってしまおうという逆転の発想で、世界初の全速同調を実現してしまったのがこのカメラなのである。今までなら絞りを絞らざるを得なかった日中シンクロで、絞りを開くことができる。その画期的な機能によりカメラは大ヒット・・・とはならなかった。恐らくかなりマニアックな方にしかそのすごさが伝わらなかったのだろう。今ではどのメーカーも採用している機能なのになぁ。名前もハイスピードシンクロとかちょっとかっこいい名前になってるし。
 僕にしても、その技術の素晴らしさは理解していたものの、大柄なストロボをあまり持ち歩かなかったので、その機能を生かした写真はあまり無い。という訳で、前にも載せた写真で申し訳ないが、作例という事で。

OLYMPUS OM-4Ti ZUIKO90mmMACRO

 やがてデジタル時代となり、いつの間にか部屋の隅に転がされたまま20年が過ぎ、最近になってまた使い始めて改めてその使いやすさを再認識。やっぱいいわと思っていたのもつかの間、電装系に不調が出始め、不安定な挙動を示すようになってきた。やはり電子カメラに40年の歳月は厳しいようだ。こうなると機械式カメラは頼りになる。先輩のOM-1にバトンを渡すこととなった。今までオリンパスのカメラをいろいろと使ってきて、電気系統のトラブルは結構あったが、メカニカルな故障は一度もないんだよな。電装系さえもう少し強ければなぁ。いや、40年働いた人に文句を言っちゃいけないか。

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