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採用ツールになることを拒否してピボットしたbosyuが、一年後に採用ツールとして戦っていくことを選ぶことにした話。

ちょうど一年くらい前に、「bosyuはただの採用ツールになりたかったんだっけ」という話を書いた。

bosyuは採用ツールとしての役割を求められていたが、私たちとしては「仕事を生み出すこと」にフォーカスしたいのだと、だからピボットするのだと、そのための意気込みのようなものを表明した。

そのはずなのだが、一年が経った私たちは、結果的として採用ツールとして戦うことを改めて選択することとなった。

ピボットしたはずなのに何故か元の場所に帰ってきてしまい、盛大なブーメランのような形になってしまった。

とはいえ、向き合いたい課題への最善手を探した結果が採用ツールだったというだけであって、解決したい課題は変わっていないし、プロダクトに通した哲学もブレていない。

このnoteでは、一年前から現在にかけて考えてきたこと、今考えていること、プロダクトを育てる中で気付いたこと、そして何故このような選択をするに至ったのかなどを、主に事業戦略の目線で書いていく。

なお、「仕事を生み出す」事業としてのbosyuも勿論継続していくので、「採用目的でbosyuを使う場合に、もっと便利になる」というだけなので、その辺りは安心してほしい。

世の中には仕事が足りないという問いと、私たちが一年前に出した答え

1年前のbosyuは、求人関連の募集が50-60%前後だった。ユーザーさんの認知としても、多くの場合は無料で使える求人媒体という理解だった。

このまま歩を進めていくとWantedlyのようなサービスになるんだろうと思っていたし、それはそれで良い選択だと思っていた。マネタイズを考えるならば勝ち筋のひとつであることは間違いないし、採用媒体として進めていけば一定の立ち位置までいけると考えていた。

とはいえ、世の中にはすでにたくさんの採用媒体があった。としたときに、「採用媒体」という文脈を私たちがわざわざやる理由はなく、餅は餅屋に任せておく方が良いと素直に思っていた。

それゆえに、bosyuというものを通じて私たちだからこそ解決すべき問いがあるのではと考えることが増え、「世の中には仕事が足りない」という問いと、だからこそ「仕事を生み出す」ことが必要だというシンプルな答えを目指すことにした。

上記の決断をしたのが2019年8月頃。そこから数ヶ月の仕込みや既存機能のお掃除期間を経て、2020年1月に募集に報酬を付ける機能をリリースし、bosyuを通じて「世の中に仕事を生み出す」ことをはじめていった。

人は自らの手で仕事を生み出せるのかという問いと、それに対する現時点での答え

リリース後の反応はとても良く、bosyuにおける求人関連の募集の比率は20〜30%まで下がり、「献立を考えるという仕事」「部屋の片付けをサポートする仕事」など、bosyuを通じてたくさんの新しい仕事(その多くはオンラインで完結するもの)が生まれていった。

流通金額自体はそこそこの額でしか無かったものの、リリースして数ヶ月の数値は予想よりも高い状況であった。

リリースしてみて確信に変わったことが2つある。両方ともリリース前から想定はしていたが、どちらかといえば悪い方向に倒れた。

新しい仕事を生み出す難易度の高さ

ここは強く想定していたこともあり、リリース前から試行錯誤していた部分であった。そのため、リリース前から幾つかの施策を仕込んでいた。

例えば人力で募集を作ることをサポートしたり、システム面での改善を繰り返したり、Webだけにとらわれずに新しい仕事を生み出す人のあと押しを続けていた。

とはいえデータを見る限り、bosyuの中でうまく仕事をし続けられている人の多くはフリーランス等で既に手に職を持った人たちであった。他方、一見面白い仕事を生み出せていた人の多くは、一回募集を作るまでは上手くいくものの、その後が続かないという問題があった。

つまり結果としては、一定の後押しをすることで新しい仕事を生み出すことは出来るという確信を得つつも、「複数個・複数回」の仕事を生み出すことの難易度の高さに対しての確信を得るにも至った。

仕事をつくるという選択が出来る人は限られているという事実

こちらはリリース後にヒアリングを進める中で気付いたことなのだが、「仕事をつくる」という選択は余裕がある状況でしか出来ないという事実であった。

自分で「仕事を作り、お金をもらう」という流れ自体はとても綺麗なものの、そこには不確実性が付きまとう。

そのため、本当にお金が必要な状況では、仕事を作るよりも目の前のお金を稼ぐこと、つまりは日雇いのアルバイトなどに走るという事実であった。

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他にも幾つかのファクトに出会うことが出来たが、結論は人が新しい仕事を生み出すことを日常にすることは現時点では難しいというものになった。

そのため、中長期的には四方八方から攻めつつも、短期的には何らかの軌道修正が必要だとの考えに至っていた。

サービスの成長と緊急事態宣言化での成長鈍化

話の確度が少し変わるのだが、bosyuの現状を語る上で緊急事態宣言は切っても切り離せないためお伝えしておく。

2020年3月以降、日本ではコロナウィルスの感染拡大が始まり、多くの働き手がリモートワークへと移行していった。

「オンラインで働く」手段を提供していたbosyuにとっては追い風だと考え、プロモーションの施策の拡大や、オンラインで働くことを加速させるための仕掛けを提供していこうと幾つかの仕込みをはじめていた。

とはいえ、緊急事態宣言が発令された2020年4月以降、bosyuの成長は大幅に鈍化した。

当初は、世界的な経済低迷を受けた採用停止等による求人募集数の減少に連動する形で成長が鈍化していると考え、様子見の姿勢をとった。とはいえ、世の中全体の採用市場の回復傾向とは相反する形で、bosyuの成長鈍化は続いていた。

この間、検索機能の改善などを含めた大きめの改善を幾つかリリースし、施策ごとのKPIの多くは改善していたが、主要なKPIの成長は鈍化したままだった。

このままではマズいと思い、成長鈍化の理由を突き止めにかかったが、真因を突き止められないでいた。正直、色んな角度から分析したものの、本当にわからなかった。

成長鈍化のなかでの私たちの気付き

わからないなりに前にすすめるしか無く、無理やり成長施策を考えていく中で、「オンラインランチとか、明らかにみんな飽きてるよね?」という話をbosyuさんとしていた。

確かに、bosyuにおいても2020年4月頃はオンラインランチやオンライン飲みの募集が数多く作られていたが、2020年7月になるとこれらの殆どは無くなっていた。

このN数の少ない状態を世間と捉えてよいのかは定かではないが、Googleトレンド等々で見る限りも、「オンラインで何かをする」という行為に、世の中の人は当たり前のように飽きているように見受けられた。

もう少し深堀りしていくと、「人は本来的にオフラインで会いたいのではないか」という本能に近いものが確実にあるという確信が、データを見る限りでは生まれつつあった。

他方、インタビュー記事の施策等々を進める中で、bosyuを通じて「誰かに出会えた」という事実に満足されているユーザーさんの多さにも気付きつつあった。

諸々考えてみたときに、bosyuの本来提供していた価値の多くは「知らない誰かと出会える」ことなのだという確信に至った。そして、お金を通じたやり取りを行うことで、その関係値が強化されるという仮説もより確信に近づいた。

オンラインで働けることでも募集にすぐに回答が来ることでもなく、知らない誰かとまずはオンラインで触れ合い、そしてリアルの場でランチに行ったり飲みに行ったりし、友人関係を広めていく。そんな、「オフラインでの出会い」が本質的には求められていたのだと、その時にやっと腹落ちした。

ゆえに、コロナ禍による外出自粛の影響がbosyuには大きく降り掛かっており、当初追い風だと考えていた「オンラインで働く」という文脈は、追い風ではなく向かい風だということに気付くに至った。

採用媒体はたくさんある。求人もたくさんある。なのに、なぜか世の中には仕事が足りない。なんで「今すぐ」働けないんだろう?

向かい風の中で耐えることも必要だが、リソースを使うという意味ではあまり良い案だとは思えなかった。そのため、コロナ禍が落ち着くまでの間は、新しい武器を磨いていくべきだと考えていた。

新しい武器を増やすに当たって根底にある課題感をズラすことはあまり考えておらず、なぜ「世の中に仕事が足りない」と感じていたか、そのときに感じていた課題の本質の部分は何かということを、ゼロから考え直していった。

思考を深める中で、「仕事が足りない」のは事実であると確信する一方、それ以前の問題が本質的には解決できていないのではと考えるに至った。

つまりは、本当にお金が必要な状況で、何故私たちは「今すぐ」納得感をもって働くことが出来ないのかという問いである。

日雇いバイトにしろ、夜のお仕事にせよ、今すぐ働くための手段は少なからず存在している。他方で、それらを続けた先の未来があまり良いものではないと本能的に気付いている。だから、それらの選択を心の底から納得して行っている人は圧倒的に少ない。(もちろん、天職だという人がいるのも理解している)

転職活動にしても同じことがいえる。ヒアリングをする範囲では、「一番最初に内定が出たから」という理由で会社を選択した人が半数以上いた。これは、本当に納得感をもった選択といえるのだろうか。

じゃあ何故今すぐ納得感をもった職業選択が出来ないのかといえば、「書類選考」と「選考スピード」という2つの根源的な問題があるからであり、これらに真正面から向き合うプロダクトがないのではと考えるに至った。

無いものは作るしか無い。

だから、採用ツールになることを拒否してピボットした私たちは、その一年後に採用ツールとしても戦っていくことに決めた。

おわりに

ここまで、一年前に決めたことを振り出しに戻すような選択を行った流れを書いてきた。

年初の私たちからすると想定外の決断であったため、未だに少し戸惑いはある。また、プロダクトマネージャーとしては、コロナ禍を追い風と思っていたがゆえに判断が遅れたことをとても反省している。

思うところは色々あるが、私たちとしては引き続きより良いプロダクトを世の中に届けていけたらと、心からそう思っている。

なお、先にも書いたが、「仕事を生み出す」文脈や、仲間集め等々でのbosyuも引き続き改善を続けていくので、採用する側/転職する側に立ったときにより便利になると覚えておいてほしい。

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