富山で演劇ユニットを結成すること②
2017年の春頃、演劇ムーブメントえみてんが立ち上がることになりました。その時まだこのユニット名は決まっておらず、「のとえみと天神祐耶が何か面白いことをする」という集団コンセプトを名前として掲げていました。
どこもそうなのかは分かりませんが、ユニットをやるからといって、それまでの所属団体をすぐにホイホイ抜ける、という感覚はありませんでした。やり辛さや折り合いをつける面倒さはありましたが、劇団フロンティアは、シアターフロンティアという劇場を持っているので、そのメリットは生かしたいなという気持ちもありました。
結成してから決めたこと
ユニット結成にあたり、まず次の事をやることにしました。
①ユニット名を決める
②ユニットのコンセプトを決める
③ユニットのメインビジュアルを撮影する
④ユニットのチラシを作製し、県内の団体やお客様に周知してもらう
①②は、目的を見失わないように、どのくらいのレベルの集団として県内の劇団と差別化をするのかを分かりやすくするために決めました。趣味でやるのではなく、趣味以上のクオリティを目指す集団という点が、県内の劇団とは異なっている部分なので、希望すれば誰でもえみてんの舞台に参加できるわけではない、という所がポイントでした。実際、「参加したいけど、自分の力量ではちょっと難しいのだろうなと思っている」という感想も聴いたことがあります。
③は、②にも関係しますが、ユニットのブランディング化を目指してやることにしました。また、天神さんがビジュアルにこだわりを持っている人といのも大きかったです。県内で公演チラシにこだわりを持って作成している所がないイメージだったので、差別化するという意味でもビジュアル作成はとても良かったと思います。
④は、今後の集客などを見据えての活動でした。劇団フロンティアのお客様や県内劇団関係者には、私たちの存在はある程度認識されています。フロンティアでも、スタッフのみで参加した時は、「今回は出演していないの?」とよくお客様から声をかけて頂きました。(ありがたかったです)
ただ、それ以外の、私たちに興味を持っていない方々へのリーチする手段がなかったので、ユニットの紹介チラシを作成し、公演チラシに折り込みをしてもらうことにしました。また、ユニットの名刺代わりとしても役に立ちました。
①ユニット名を決める
ユニット名はそれぞれアイディアを出し合って、その中から選びました。(メモが残っていないのが残念)20個くらいはアイディアが出ていたと思います。
・誰でもすぐに読める
・覚えてもらいやすい
というのが選ぶための前提でした。
これは、県内のお客様の年齢層や全体の年齢層が高めのため、ローマ字や英語だと覚えてもらいにくいのでは、という理由からでした。
「えみてん」というのはすぐに決まりましたが、それだけでは何をしているのかわからないため、「演劇」というのはつけよう、というのはありました。「演劇ユニット」にするか、もっと別のものにするかというのを考えた時に、演劇は面白い、というムーブメントを起こしたい、というコンセプトから、「演劇ムーブメント」という冠にすることにしました。
②ユニットのコンセプトを決める
ユニットのコンセプトは、天神さんと「こういうことをやりたい」というのを出し合って、それをまとめました。
あくまでもこのユニットは、個人それぞれが活躍し、それが集まって作品にいい影響を及ぼすというのを目指しました。ユニットにしばられず、自由に活動し、公演を行う時にはその力を集めて作品を作れる集団にしたいという思いがありました。県内の劇団によっては、客演にネガティブなところもあり、客演に行きたいけれど行けない、客演を呼びたいけれど劇団員だけでやりたい、というところも存在します。そういった劇団の方向性によって、役者の可能性が狭まるのが嫌だなという思いがあり、個々を尊重する集団にしようという風になりました。
③ビジュアル撮影
ユニット名を決めた後は、ユニットチラシの撮影に行きました。個人のメインカラーを決め、それを取り入れつつビジュアルを3パターン撮影しました。
・メインビジュアル
・役者イメージ
・本人イメージ
④ユニットチラシ
撮影した写真から、ユニットチラシを作成しました。
県内でのSNSやwebでの周知よりも、まだまだ紙媒体での周知の方が効果的という印象だったので、周知のためのチラシは良かったと思いました。効果の確認は行っていませんでしたが、この後えみてんの公演をした際、劇団フロンティアのお客様が多く観に来て下さったので、ある程度の効果は体感しました。
このチラシを、劇団フロンティアの公演をはじめ、2017年に公演した県内の主なアマチュア劇団の公演に折り込んでもらいました。
ユニットの周知
ユニットの周知のために、
・チラシを県内劇団の公演に折りこむ
・えみてんのふたりが出演する舞台をやる
・外部作品に出演する
などができればよいなと考えていました。
チラシは県内の劇団公演に折り込んでもらいました。この時は1,000枚印刷し、その後、2018年公演が決定してからは公演決定の文字を追加したバージョンを1,000枚印刷、折込しました。余った分はそれぞれ持ちあるき、名刺代わりに配りました。名刺もそれぞれの写真を入れ、宣材写真代わりになるようにしました。
えみてんの公演の前に、劇団フロンティアの公演に出演する予定がありました。その公演にも、えみてんチラシを折り込みつつ、フロンティア以外の公演でも、「このふたりが出演しているのなら」と、観に来てもらえるような作品になるように作りこみました。
外部出演はこちらからアプローチをしたわけではないですが、『みんなの宅配便』を観に来てくれたことがきっかけになり、翌年2018年の夏に『まちむすび』という映画作品に出演することができました。
外部作品に演劇ムーブメントえみてんとしてクレジットされたのは、この作品が初めてになりました。県内の劇団関係者が沢山出演していた作品だったので、関係者各位には周知されたと思っています。
えみてんの公演までにこのような活動をしつつ、公演の準備を行っていきました。
えみてんは割と運が良かったユニットかなと思います。観てほしいと思った方々に舞台を観て頂き、それが次の作品に繋がる、というのがユニット立ち上げ当初にありました。舞台公演をするまで、「あのユニットは何をやっているんだ?」と思われがちですが、前哨戦となる舞台や、映像作品に関わらせていただいたお陰で、「お芝居をしっかり作るユニット」という風に認識してもらえたかなと思っています。
そして、いよいよユニットの初公演を迎えます。
サポートいただいた分は全てお芝居をつくる何かになります。 一緒にお芝居をつくってくださったら嬉しいです。