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演劇を続けられない「内側の」理由のいくつか①

先の記事で書いた、演劇を続けられなくなる「内側の」理由について、細かく書いてみようと思う。

元々プロの役者、声優になりたいと関東に行き、そこでお芝居を学んでいたのだが、その感覚で地元に戻った時に、地元で演劇を続けている人たちとの考え方や取り組み方、熱量にこれほどまでに差があるのか、と思ったことは何度もある。一つや二つではなく、細かい部分を見れば、私が「当たり前」だと思っていたことも「意識して、意思表示をしないといけない」というハードルが地元の役者さんたちにはあったと思う。

私みたいな、プロ志望あがりの役者が県内に数名戻ってきたことや、やっぱり面白いものを作りたいみたいな意識が高まってきたことで、少しずつ良い方向に進んでいると私は思っている。決してダメだ、というわけではなく、歩みはゆっくりだけれども、時間をかければ地方の演劇も面白いものを目指していけるのではないかと思っている。

それでは、内側の理由について書いていく。


【①稽古に人が来ない】
来ない。とにかく人が来ない。本当に驚くくらいこないのだ...。
稽古開始時間に人が沢山いる、というのはまとまりのある座組のひとつの指針になるかもしれない。20時からスタートする稽古なのに、人が揃うのが21時というのはよくあることだ。
自分の所属劇団だけの話なのかと思ったら、他劇団に客演に行った人も「集まってない」という話をしていた。全部が全部ではないが、時間通りに始まる劇団は少ないような気がする。少しずつ人が集まって、人が増えたら稽古を始める、という劇団が多いような気がする。

なぜ人が来ないのか?
連絡であるのは「仕事が長引いているので」というのが良くある。実は私はこれには半信半疑だ。本当にそこまでしなければいけない仕事なのかいつも疑問に思う。稽古と仕事を天秤にかけていつも仕事が勝つのだろうと思う。常識的に考えればその通りだと思うけど、本当に稽古に行きたければ何とかするんじゃないか、というのが頭をよぎってしまう。
あとは家の都合。子供がいる人は子供が理由の事が多い。子供を理由にされると何も言えなくなってしまう。仕方がない理由NO.1である。自分の中では。
風邪、体調が悪いというのもよくあるが、こちらも私は半信半疑だ。なぜなら、どの程度の具合の悪さなのかわからないからだ。そして私はさぼりたい時にこの理由を一番使う。(笑)

色々な理由があるが、要は「稽古よりも他に優先したいことがあるから」だ。稽古が一番ではない。そこは常々思っておかないと、温度差が生まれてこじれる原因になる。やる気が、熱意がある人が来ない人に対して失望していく、逆に、来れない人は来れないことや熱意がある人の熱によってやる気を失っていく。そこまでできないよ、という感じで。この温度差はかなり大きいと私は思っている。
私が地元に戻ってきて最初につまづいたのは、この「熱量の差」である。

【②次の公演や作品が決まらない】
【③キャスト、スタッフが足りない】

このふたつは相互関係にあると思う。公演や作品が決まらないのはなぜか?それはキャストもスタッフも足りなくて、やりたい作品ができないからだ。

キャストやスタッフが足りないのはなぜか?中途半端な舞台の仕上がりであったり、やりたい作品ではなかった、関わって面白くなかったから離れていくからだ。

もちろんこれが全ての理由ではないけれど、ある程度関係があるのではないかと思っている。

この作品を上演したいけどキャストが足りない、じゃあ、このメンバーでできる作品をやろう、という風に妥協していく。やりたくないけれど、この人数だとこの作品しかできないからこの作品をやるしかない。そうやってじわじわとモチベーションが下がっていく。メンバーや団員がひとり、またひとりと減っていくのが目に見えるというのも実感を後押ししているように見える。

【④公演のノウハウがない】
演劇公演をやりたいと思って、メンバーを集め、稽古をする。
ここまでのハードルは多分低いのだろう。その次に公演にするというところになって、やり方がわからなくてつまづく。その部分でモチベーションが下がったり、そこで集団が空中分解していく。立ち上げたばかりの劇団がこういう部分につまづいていつの間にか消えてしまう。1回、2回と公演はできたが、公演のための労力は大きいので、続けられなくてやめてしまう。

分かる人たちに聴く、というのが地元では少ないように思う。自分達だけでやらなければ、という真面目な気持ちがそうさせるのかもしれない。ほかの集団にサポートや手伝いをお願いして助力してもらうっていうこともできるんじゃないかと私は思うが、そうはならない。これは県内のいくつかのアマチュア劇団にある思いが邪魔をしているのかもしれないとも思う。閉鎖的と言われる県民性や県内の空気がそうさせているのかもしれない。


次は残りの3つについて書いていこうと思う。私はこの口調が書きやすいのだが、もしかしたら読み手にとってはちょっと怖い口調なのかしら...?と先の記事を読んでもらえているのかわからないので少し心配である。

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