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先日、青山ブックセンターのTさんからメールがありました。現在発売中のMONKEYという雑誌に僕の名前が載っているとのことでした。

MONKEYといえば、知っている人は知っていると思いますが、柴田元幸さん責任編集の、あの硬派な雑誌です。

僕はMONKEYの存在は知っていましたが、仕事で関わったことは今までありません。僕のようなイラストレーターが相手にされるような媒体ではないでしょう。

ちなみに最新号の表紙はこんな感じです。

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青山ブックセンターのYさんが、最新号の雰囲気がいつもと違うと思い、パラパラとめくっていた時に僕の名前に気がついたそうで、それを伝えられたTさんがメールをくれたのでした。ほんの小さく名前が載っていただけなのに、それを見つけたYさんは凄いです。

この号はサリンジャーとニューヨークの特集で、もちろん柴田元幸さん翻訳のサリンジャーの「いまどきの若者」「針音だらけのレコード盤」といった作品が掲載されています。その他に、著名イラストレーターである父R・O・ブレックマンと雑誌The New Yorkerのクリエイティブ・ディレクターである息子ニコラス・ブレックマンのインタビューが載っています。

そのニコラス・ブレックマンのインタビューの中に、日本のアーティストで影響を受けた人、関心のある人はいますか?という質問があって、驚くことにイラストレーターとして僕の名前が挙がっていたのでした。映画では宮崎駿、文学は村上春樹、建築は安藤忠雄といった名前と並んでです。

このような超有名な名前が並んでいる中に唐突に僕の名前が挙がっているのを見るに、たぶん、きっと日本のイラストレーターといってもそんなに詳しくご存知ではなく、僕の名前くらいしか思い浮かばなかったのではないかと想像します。とはいえ思い出していただけただけでも、素直に光栄に思います。

ただし、とても残念なことに僕の名前が「木内達郎」になっていました。ニコラス・ブレックマンさんが漢字を書くはずはないので、日本語に変換するときに間違えられたのでしょう。

僕の名前の漢字は「木内達朗」でして、これは非常によく間違えられるのです。ついここ一週間の間だけでも別件で二回間違えられました。これはイラストレーターの中村佑介さんであれば、それだけで仕事お断りの案件です。実際、名前の漢字を間違えられることは誰にでもよくあるのではないかと思うので、その都度指摘するべきかどうかも迷います。

ちなみにニコラス・ブレックマンさんには、彼が数年前にまだThe New York Timesにいたときに、一回だけイラストレーションを依頼されたことがあります。そのときは、いろいろあって都合がつかずお引き受けできなかったのですが、今思い出しても勿体なかったです。

それはそうと、お父さんのほうのR・O・ブレックマンのインタビューも極めて面白いです。彼は大文字のArtという概念には批判的で、クレメント・グリーンバーグはアメリカの芸術に害を為したと思うと言っています(!)。今日最良のアートはイラストレーションなのではないかとのことで、イラストレーターとしては頼もしく思う限りです。彼の著作である、イラストレーターの卵に向けて職業上のアドバイスを綴った『Dear James』という本もオススメです。

追伸です。10月30日

この記事を読んだMONKEYの編集者の方からメールをいただきまして、SWITCH ONLINEのページに訂正文が掲載されました。柴田元幸さんからもお詫びのメッセージをいただいてしまい、恐縮しております。ということでここにご報告いたします。

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25年以上フリーランスのイラストレーターとして生きてきた経験から、考えていることや考えてきたたことを綴ります。海外の仕事のことや、ときには…

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