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パーソナルワークとゲームの関係

 イラストレーターとして三十年以上絵を描いてきました。イラストレーションですので、当然のことながらクライアントのリクエストに応えるタイプの絵です。自分には人のために絵を描くことがとても性に合っていたと思っています。なぜなら自発的に描きたい絵が何も思いつかなかったからです。外側からテーマが与えられて、制限のある中でいかに面白いものを作れるかというところにやり甲斐を感じていました。 

 ところが、三十年以上人のために描いてきて、なんとなくですが自分のために描きたいという気持ちが芽生えてきました。描きたい絵の雰囲気も漠然と頭の中に見え始めていました。おそろしく時間がかかってしまいましたが、自分にも好きなモチーフがあることに気づきました。そうは言っても具体的にこんな絵というのは依然として明確ではありませんでした。

 そこにパンデミックです。家に篭っていなければならず、外に出る機会が劇的に減りました。というのは一般的によく聞く話で、もともと部屋にこもって絵を描いていた自分にはそれほど変化はありませんでした。

 それでも家で楽しめる何かを探すという口実のもとにゲームを始めました。実は僕は中学生の頃からゲーセンに住んでいたと言ってもいいくらいゲーム好きな人間だったのですが、イラストレーターになった初期の頃にF/A-18 Hornetというフライトシムにハマった期間を除いて、ゲームからは遠ざかっていました。

 それを再開しようという気持ちになって、まず興味を持ったのがVRです。Oculus Questを購入してバーチャルリアリティの世界に感動し、しばらくしてスタンドアロンのVRゴーグルでは物足りなくなってゲーミングPCを購入し、Half-Life: Alyxというゲームの素晴らしい臨場感に衝撃を受けました。キリがないのでゲームはVRのみに限定しようと思っていたところ、ゲーミングPCがあるせいでVR以外のゲームにも手を出してしまい、現在はプレステ5で遊ぶまでに至っています。

 Red Dead Redemption 2、The Last of Us、Death Stranding、Days Gone、 Ghost of Tsushima、Elden Ringが特に好きでやってきました。その中でも最もインスパイアされたのが、Red Dead Redemption 2のオンライン版であるRed Dead Onlineです。西部劇というテーマ、馬、植物、動物、コスチュームや小物のデザイン、ストーリーなど自分にとっては全てが好みに合いすぎて2000時間以上プレイしています。間違いなく人生で一番ハマったゲームです。

 最近のゲームは世界観の描写が素晴らしく、その中の風景は絵心をくすぐります。Fast Travelは一般的な英語としては聞き慣れない言葉ですが、ゲームをやる人なら知っているゲーム用語で、過去に行ったことのある地点に瞬時に移動するためのゲーム内コマンドです。今回の個展では、自分が実際に行ったことのある現実の場所とゲームの世界をFast Travelによって往き来した作品が中心となっています。また、オンラインゲームは主人公が自分のアバターなので、絵の中に登場する人物は自分自身であるともいえます。

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