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【ベトナムのダーちゃん】


1992年夏、日本人ジャーナリストの早瀬はベトナムの地に足を踏み入れた。著作のモデルであるダーちゃんに会うためである。彼女に初めて会ったのは71年、ブダペストのレストランで、席を隣り合わせた時。
13才の少女・ダーちゃんは、ベトナムで行われている戦争犯罪の実態をヨーロッパの国々に訴え歩いており、母親をはじめ村中の人々がアメリカ兵に虐殺された戦争のつらい体験を早瀬に語った。
1969年4月 アメリカ軍の掃討作戦によりベトナムのハンティ村で暮らす民間の女性、子供達を一堂に集め一斉射撃。
あのソンミ村の大虐殺の1年後の話である。
生き残ったのはダーちゃんと幼い妹のティンのみ。
解放軍の少年兵とともに逃げるダーちゃんたちを米軍のヘリが執拗に追いたて銃撃する。絨毯爆撃により妹のティンと生き別れてしまった・・。

これはベトナム戦争で家族を失った少女と日本人ジャーナリストの再会を通して、戦争の悲劇を訴える痛烈な反戦映画。
アメリカ軍のパルチザン掃討作戦によりベトナムのハンティ村で暮らす民間の女性、子供達を一堂に集め一斉射撃するなど、人間の狂気の沙汰である大犯罪。それを隠蔽若しくは正当化するなどの行為がまかり通る世界であって良い筈がない。そんな思いを携えベトナムと日本の映画人が立ち上がった。「これからの私たちを、これからのベトナムを見て下さい」と答えるダーちゃんの笑顔が印象的。
早乙女勝元の原作をもとに、当時のニュースフィルムを交えつつ、「オーロラの下で」の後藤俊夫が監督。
人気女優ミン・ハンをはじめベトナム人俳優が出演。
唯一の日本人として古谷一行が主演している。


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